EU ミシェル大統領「プーチン大統領は多くの間違い」 結束強調

EU=ヨーロッパ連合のミシェル大統領は、NHKの単独インタビューに応じ「プーチン大統領は多くの間違いを犯した」と述べ、ウクライナへ侵攻を続けるロシアに対して、EUとしての結束を強調するとともに、ウクライナの復興における日本の協力にも期待を示しました。

岸田総理大臣との首脳会談のため、日本を訪れているEUのミシェル大統領は12日、都内でNHKの単独インタビューに応じました。

ロシアからの軍事侵攻が続くウクライナ情勢について、ミシェル大統領は今月9日、南部のオデーサを視察中にミサイル攻撃があったことにふれ「私が見たものは、日々の状況が悲劇だということだ」と述べ、ロシアを非難するとともに、今後もEUとしてウクライナへの連帯を示す姿勢を強調しました。

また、ウクライナのEUへの加盟については、加盟の時期を予測することは難しいとしながらも「ウクライナが加盟申請を決めたときに、通常は8、9か月かかるところを、ほんの数日で、ヨーロッパ委員会に意見を求める決断をした」と述べ、来月公表されるヨーロッパ委員会からの意見が、重要なステップになると指摘しました。

そのうえで「プーチン大統領は多くの間違いを犯した。彼はEUが直ちに分裂すると考えたが、そうはならなかった。いまではフィンランドやスウェーデンのように、NATOに加盟することを考えている国もある」と述べ、ロシアの軍事侵攻に対し、ヨーロッパの結束が強まっていると強調しました。

一方、EUがロシアへの経済制裁として、ロシアからの石油の輸入を年内に禁止する方針に対し、加盟国の間で反発の声もあがっていることについては「いくつかの加盟国にとっては、ロシアの化石燃料への依存から抜け出すために、短期的には、困難になるという事実を考慮したい」と述べ、加盟国への資金支援などを進める考えを示しました。

そのうえで「時間がかかるかもしれないが、遅かれ早かれ、ガスも制裁の対象になるだろう」と述べて、今後、ロシアからの天然ガスの禁輸も含めて、ロシアへの依存を断つ方針に変わりはないという考えを強調しました。

また、日本の役割については「日本には、インフラの連結やデジタル分野における多くの専門知識がある」と述べ、ウクライナの復興のため、技術面での協力に期待を示しました。

さらに、ミシェル大統領は被爆地・広島を訪れ、13日、原爆資料館などを視察するほか、被爆者との面会も予定していて「広島は、世界の歴史における悲劇だ。ロシアが核兵器で脅しをかけている今、世界は過去の過ちを繰り返さないという決意を示すことは非常に大事だ」と述べました。