ロシア軍 東部2州の掌握目指し攻勢も ウクライナ軍が集落奪還

ロシア軍は、ウクライナ東部2州の掌握を目指し攻勢を強めていますが、ハルキウ州では、ウクライナ軍が集落を奪還するなど、ロシア軍を押し戻す動きが見られます。

一方、南部ヘルソン州では、親ロシア派勢力がプーチン大統領に編入を求め、支配の既成事実化を進めようとするなど、双方の攻防が激しさを増しています。

ロシア国防省は12日、ウクライナ各地をミサイルで攻撃し、このうち東部のハルキウ州とドネツク州では、ウクライナ軍の兵器や弾薬庫などを破壊したほか、南部オデーサの近郊では、ウクライナ軍の対空ミサイルシステムを破壊したなどと発表しました。

東部2州についてロシア軍は、掌握を目指して攻勢を強めていますが、攻撃拠点の1つとなっているハルキウ州では、ウクライナ軍が10日、4つの集落を奪還したと発表するなど、ロシア軍を押し戻す動きが見られます。

イギリス国防省は、12日の分析で「ウクライナ軍はハルキウの北側で反撃を続け、ロシア国境に向かって複数の町や村を奪還している。ハルキウ州からのロシア軍の撤退は、住民の限定的な抵抗しか想定していなかった都市部を占領する能力がないことを示している」と指摘しています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」も11日「ウクライナ軍の反撃でロシア軍は守勢に追いやられ、ハルキウへの砲撃の圧力が減っている」と分析しています。

また、ハルキウ州と国境を接するロシア西部のベルゴロド州について、地元の州知事は11日、国境からおよそ10キロの地点にある村がウクライナ側から砲撃を受けたと主張し、住民1人が死亡、7人がけがをしたとしています。

ロシアの一部メディアは、ウクライナ側からの越境攻撃で住民が死亡するのは初めてだと伝えています。

一方、ロシアが掌握したと主張するウクライナ南部のヘルソン州では11日、親ロシア派勢力の幹部がプーチン大統領にヘルソン州を編入するよう要請するとして、住民投票を経ずに編入を進めるための法的な枠組みを年内に整える考えを明らかにしていて、ウクライナとロシア双方の攻防が激しさを増しています。

こうした中、ウクライナの検察当局は11日、北東部スムイ州にある村で、ことし2月、自転車に乗っていた62歳の男性に発砲し殺害した疑いで、21歳のロシア軍兵士を訴追したと発表しました。

軍事侵攻後、戦争犯罪の疑いでロシア兵が訴追されるのは、これが初めてです。

ウクライナの検察当局は、ロシア軍による戦争犯罪が疑われるケースが、今月12日の時点で1万1022件に上り、ロシア軍幹部や政治家など、容疑者622人を特定したとしています。