北朝鮮 感染者確認で「最大非常防疫態勢」全市郡封鎖を指示

北朝鮮は、12日に開かれた朝鮮労働党の政治局会議で、これまで1人もいないとしてきた新型コロナウイルスの感染者が確認されたとして「最大非常防疫態勢」に移行することを決めました。

キム・ジョンウン(金正恩)総書記は初めてマスク姿で登場し、すべての市や郡を封鎖するよう指示していて、さらなる弾道ミサイルの発射や、7回目の核実験に向けた準備に影響が出る可能性もあります。

北朝鮮国営の朝鮮中央テレビは、キム・ジョンウン総書記が出席して12日に開かれた朝鮮労働党の政治局会議の映像を放送し、今月8日に首都ピョンヤン(平壌)で新型コロナウイルスの変異ウイルス、オミクロン株の感染者が確認されたとして「最大非常防疫態勢」に移行することが決まったと伝えました。

北朝鮮は、これまで国内に新型コロナの感染者は1人もいないとしていました。

キム総書記は初めてマスク姿で登場したあと、マスクをはずして発言し「すべての市や郡を徹底して封鎖し、ウイルスが広がる空間を完全に遮断する」と述べ、感染拡大の抑え込みに全力を挙げるよう指示しました。

そのうえで「ウイルスよりも危険な敵は、非科学的な恐怖や弱い意志だ」と強調し、北朝鮮内部で動揺が広がりかねないとして、神経をとがらせていることをうかがわせています。

北朝鮮指導部は、党の重要政策を決めるため、中央委員会総会が開催される来月上旬に向けて感染を封じ込めたい構えで、さらなる弾道ミサイルの発射や、7回目の核実験に向けた準備に影響が出る可能性もあります。

これまでの新型コロナ対策

北朝鮮は、新型コロナウイルスの国内への流入を防ぐためとして、おととし1月末に国境を封鎖し、これまで国内には感染者が1人もいないと主張してきました。

キム・ジョンウン総書記は、去年12月に開かれた朝鮮労働党の中央委員会総会で、新型コロナ対策について「最優先の国家事業だ」と述べ、感染対策を徹底するよう指示していました。

また、国営メディアは、世界の感染状況やウイルスの特徴などを連日伝え、警戒を続けるよう呼びかけていました。
一方、北朝鮮は、もともと医療体制がぜい弱であるうえに、国境封鎖が続く中で、国外からの新型コロナワクチンの提供が一向に進んでいませんした。

また、長引く経済制裁に加えて、国境封鎖に伴い、後ろ盾である隣国の中国やロシアとの間の貨物列車の運行が停止されたことで、北朝鮮経済は打撃を受けました。

去年1年間の中国との貿易総額は、新型コロナの影響がなかった2019年と比べて9割近く減少しました。

その後、ことし1月になって、中国東北部の丹東と北朝鮮北西部のシニジュ(新義州)を結ぶ貨物列車の運行が再開されましたが、先月下旬には、中国で新型コロナの感染が拡大したため、再び運行が停止され、船による輸送に限られていて物資不足が懸念されています。

韓国統一省 「人道支援について最大限準備する」

北朝鮮が新型コロナウイルスの感染者が確認されたと初めて明らかにしたことについて、韓国統一省は「これ以上、感染が広がらず、早期に沈静化することを願う」とする声明を発表しました。

声明では「北の住民に対する支援や南北間の防疫・医療の協力は、人道的な次元からいつでも推進できるという立場であり、積極的に検討していく」としています。

また、統一相候補のクォン・ヨンセ(権寧世)氏は、12日に国会で行われた人事聴聞会で「大きな人道危機を招くおそれがあるだけに、制裁とは関係なく、人道支援について最大限準備する」と述べ、ワクチンや解熱剤などの提供を検討する考えを示しました。