ロシア ウクライナ南部ヘルソン州で支配を既成事実化する動き

ロシアが掌握したと主張するウクライナ南部のヘルソン州では、親ロシア派勢力がプーチン大統領に編入を求める考えを表明し、支配の既成事実化を進めようとしています。
一方、ロシア軍の激しい攻撃が続く東部マリウポリでは、ウクライナ側が負傷兵とロシア側の捕虜との交換を提案し、兵士の解放に向けた交渉が行われているものと見られます。

ロシアが掌握したと主張するウクライナ南部のヘルソン州では11日、親ロシア派勢力の幹部が記者会見を開き、今後、プーチン大統領にヘルソン州を編入するよう要請するとして、住民投票を経ずに編入を進めるための法的な枠組みを年内に整える考えを明らかにしました。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は「ロシアの一部になるかどうかは、ヘルソンの住民が決めることだ」と述べました。

これに対し、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は「何を言おうとも、ウクライナ軍はヘルソンを解放する」とツイッターに投稿し、ロシア側による支配の既成事実化に警戒感を示しました。

また、ロシア国防省は11日、ウクライナ各地の指揮所や弾薬庫などの施設407か所をミサイルなどで破壊したほか、東部のハルキウ州やルハンシク州などで無人機を撃墜したと発表しました。

ただ、ハルキウ州ではウクライナ軍が10日、4つの集落を奪還したと発表するなど、押し戻す動きも見られます。

こうした中、東部ドネツク州のマリウポリで製鉄所を拠点に戦闘を続けているウクライナの「アゾフ大隊」は11日「製鉄所ではこの24時間で38回の空爆があった」とSNSに投稿し、ロシア軍の激しい攻撃を受けているとしています。

ウクライナ 重傷兵士の避難でロシア側と交渉か

マリウポリの部隊について、ウクライナのベレシチュク副首相は「重傷を負った兵士を避難させる代わりに、ロシアの捕虜を引き渡すことを提案した」と明らかにし、兵士の解放に向けロシア側と交渉が行われているものと見られます。