日・EU定期首脳協議 ウクライナ情勢 連携働きかけで一致

岸田総理大臣と日本を訪れているEU=ヨーロッパ連合のミシェル大統領らとの定期首脳協議が行われました。ウクライナ情勢をめぐって、日本とEUで協力してアジアやアフリカ諸国に連携を働きかけていく方針で一致しました。

岸田総理大臣とEU=ヨーロッパ連合のミシェル大統領、フォンデアライエン委員長との定期首脳協議は午前10時半からおよそ1時間行われました。

就任後初めての定期協議となる岸田総理大臣は「ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがすものだ。日本はEUと協調して強力な対ロ制裁を実施し、ウクライナへの支援を強化しており、引き続き断固とした決意で対応していきたい」と述べました。

そのうえで「ヨーロッパとインド太平洋の安全保障は不可分であり、力による一方的な現状変更は世界のどこであれ断じて許されない。基本的な価値を共有する日本とEUで、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けても連携していきたい」と述べました。

これに対しミシェル大統領は「われわれは民主主義やルールに基づいた国際秩序という価値を共有している。今回の協議でさまざまな分野の協力を強化していきたい」と述べました。

協議では、ウクライナ情勢をめぐって、日本とEUを含むG7=主要7か国と協調してロシアに対する強力な制裁とウクライナへの支援を継続する方針を確認しました。

そのうえで、日・EUで協力し、ロシアの軍事侵攻や原材料価格の高騰などの問題で、アジアやアフリカ諸国に連携を働きかけていく方針で一致しました。

また、中国を念頭に、東シナ海・南シナ海への海洋進出や、急速かつ不透明な形での軍事力の強化、そして軍事活動の活発化への強い懸念を共有するとともに、台湾海峡の平和と安定が極めて重要だという認識で一致し一方的な現状変更の試みや経済的威圧に対し、きぜんと対応していくことを確認しました。

さらに新型コロナ対策、気候変動対策、経済安全保障、それにエネルギー分野での協力を進めていくことも確認しました。

そして、ルールに基づく自由で公正な経済秩序の維持に向けて、経済協力をさらに進めることで一致し、岸田総理大臣は、EUが続ける日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃を重ねて要請しました。

また、デジタル分野の包括的な協力の枠組みとなる「日EUデジタルパートナーシップ」を立ち上げることで合意し、閣僚級の会合を設置することになりました。

協議のあと、共同声明が発表されました。

共同声明では「ロシアによる侵略を強く非難しロシアによる戦争犯罪と残虐な行為に責任を有するものが追及され、裁きにかけられなければならない」としたうえで、ロシアが軍事侵攻を直ちに停止しすべての軍と軍事装備を即時かつ無条件に撤収させることなどを要求するとしています。

そして「ロシアに対する制裁の一層の拡大を含め、G7やほかの同志国と協力し、ウクライナを支援する。国際社会とともに侵略によって引き起こされた世界的な負の影響に対処し、緩和するために取り組む」としています。

また、海洋進出を強める中国を念頭に、沖縄県の尖閣諸島周辺の海域を含む東シナ海や南シナ海の状況に深刻な懸念を表明し、場所のいかんを問わず、力による一方的な現状変更の試みは国際秩序全体に対する深刻な脅威であり強く反対するとしています。

岸田首相「日・EUの力強い前向きなメッセージ発信したい」

岸田総理大臣は共同記者発表で「きょうの協議の成果として共同声明を発出し、国際社会に対する日・EUの力強い前向きなメッセージを発信したい」と述べました。

また、ミシェル大統領が13日、広島を訪問し、原爆資料館などを視察することを歓迎するとして「『核兵器のない世界』という大きな理想に向け、EUとも協力していきたい」と述べました。

EU ミシェル大統領「最も緊密な戦略的パートナーだ」

共同記者会見で、EU=ヨーロッパ連合のミシェル大統領は「日本とEUは大きな市場を持ち、民主主義の価値観に基づいた深い関係を有しており、インド太平洋地域における最も緊密な戦略的なパートナーだ」と述べたうえで、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐって「私たちはともに、人道的や財政的、軍事的な支援をウクライナとその人々に送っている。制裁逃れを防ぎ、偽情報と戦うための協力についても話し合った。さらに私たちは、戦争犯罪の責任者を裁判にかけなければならないと確信している」と述べました。

また、ミシェル大統領は13日に広島を訪問し原爆資料館などを視察することについて「ウクライナでの戦争に照らし、平和と希望の強力なメッセージを発信する重要な機会になるだろう」と述べました。

EU委員長 “EUはインド太平洋で積極的役割果たしたい”

またEU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長は「ロシアはウクライナへの野蛮な戦争を行っており、きょうの世界秩序のもっとも直接的な脅威だ。日本はロシアに対して厳しい制裁を科した中心的な国であり、ウクライナやヨーロッパの将来だけでなく、世界の秩序にとって何が問われているかを理解している」と述べ、ロシアに対する制裁について日本と連携して対応していく考えを示しました。

また、中国や北朝鮮を念頭に「インド太平洋は、東シナ海や南シナ海、北朝鮮からの継続的な脅威にさらされ緊張が続いている。EUはインド太平洋で積極的な役割を果たしたいと考えている」と述べ、インド太平洋地域でも日本と協力していく姿勢を強調しました。