ロシア軍 黒海の島でも攻勢強める ベラルーシも欧米側けん制か

ロシア軍は、ウクライナ東部2州の掌握とともに、南部の支配地域の拡大に向けて黒海にある拠点の島でも攻勢を強めています。
さらに、ロシアと同盟関係にあるベラルーシは、国境近くに軍の部隊を配備したと発表し、ウクライナを軍事支援する欧米側をけん制するねらいとみられています。

ロシア国防省は11日、ミサイル部隊がウクライナ各地の指揮所や弾薬庫など407か所をミサイルなどで破壊したと主張しました。

また、南部オデーサ州の沖合にあり、ロシア軍がことし2月に占拠した黒海の島、ズミイヌイ島近くなどでウクライナ軍の無人機を撃墜したと発表するなど、島の奪還を目指すウクライナ軍との戦闘が激しさを増しています。

ロシアは、9日の戦勝記念日のあとも、ウクライナ東部2州で攻撃を強め、完全掌握を目指していますが、ウクライナ軍は10日、東部ハルキウ州で4つの集落をロシア軍から奪還したと発表するなど、反撃の動きもみられています。

ロシア軍が戦闘を強化しているズミイヌイ島について、イギリス国防省は11日、「ロシアは、黒海艦隊の旗艦『モスクワ』を失って海軍がクリミアに撤退している。こうした中でロシア軍は、島で防空面や、巡航ミサイルの配備を強化することで黒海の北西部を支配しようとしている可能性がある」として島の戦略的な重要性が増している背景を説明しています。

一方、ウクライナの北部と国境を接し、ロシアと同盟関係にあるベラルーシの国防省は10日、「アメリカや同盟国がベラルーシの国境沿いで軍事的なプレゼンスを強化し続けている。ウクライナ軍への対応も必要だ」として、ウクライナやポーランドなどとの国境近くに軍の特殊部隊を配備したと発表しました。

この動きについてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は10日、ベラルーシがウクライナに参戦する可能性は依然として低いと指摘する一方、「NATO=北大西洋条約機構が行っているウクライナへの支援を混乱させることが目的とみられる」として、ウクライナに対して兵器を供与するなど、軍事支援する欧米側をけん制するねらいだとしています。

ズミイヌイ島 攻略拠点として重視か

ロシアは、ウクライナ南部オデーサ州の沖合30キロ余りの位置にあるズミイヌイ島を戦略的な重要拠点とみて、ことし2月にウクライナへの軍事侵攻を始めた直後、占拠しています。

ロシアのメディアによりますと、ロシア軍にとってズミイヌイ島は、南部の港湾都市オデーサとその周辺一帯を攻略する拠点として重視しているとみられます。

また、ズミイヌイ島は、ウクライナの南西に位置するルーマニアに近く、NATO=北大西洋条約機構の加盟国であるルーマニアからウクライナへの武器の供与を阻止するねらいもあるとみられます。

さらにイギリス国防省は、11日の分析でロシアは先月、黒海艦隊の旗艦「モスクワ」を失ったことなどからズミイヌイ島を死守することで黒海の北西部の支配を強化したい思惑があると指摘しています。