新型コロナ対策検証 有識者会議が初会合 議論踏まえ見直しも

これまでの新型コロナ対策を検証する政府の有識者会議の初会合が開かれ、山際担当大臣は、会議での議論を踏まえ新型コロナ対策を見直していく考えを示しました。

東京 永田町の合同庁舎で開かれた初会合には、座長を務める自治医科大学学長の永井良三氏や社会学者の古市憲寿氏、東京大学大学院の教授で憲法が専門の宍戸常寿氏らが出席しました。

この中で、山際新型コロナ対策担当大臣は「この2年数か月にわたって人類はコロナと戦ってきた。これまで、どういう戦いをしてきたかをしっかりと検証したうえで次に備えていく必要がある」と述べ、会議での議論を踏まえ、新型コロナ対策を見直していく考えを示しました。

会議では岸田総理大臣が、来月までに感染症危機管理の抜本的強化策を取りまとめる考えを示していることから、感染拡大時にひっ迫した医療提供体制や保健所の機能強化のほか、ワクチンや治療薬の生産・確保の体制などについて課題を洗い出し、将来の感染拡大に備える方策を検討していくことにしています。

古市憲寿氏「医療体制をもっと整備しておけば」

社会学者の古市憲寿氏は記者団に対し「医療体制をもっと整備しておけば、国民への自粛を呼びかけずに済んだ局面があった。もう1回、パンデミックが起きた場合に同じような間違いや私権制限が繰り返されなければいいと思う。この会議を通じて2年間の新型コロナ対応を後世に残す意味は大きい」と述べました。

宍戸常寿氏「足りない部分検証し必要なこと提言」

東京大学大学院の教授で憲法が専門の宍戸常寿氏は記者団に対し「感染者とそれ以外の人の状況や、社会全体の状況について、どういう情報を把握して分析し、政策の効果を出せるのかが基本的な課題だという意識を持っている。足りない部分があるかどうかを検証し、必要なことを提言するのがこの会議の役割だと思っている」と述べました。

官房長官「議論踏まえ 次の感染症危機に備える」

松野官房長官は午前の記者会見で「新型コロナ対策について、ことし6月を目途にこれまでの対応を客観的に評価したうえで、危機に迅速、的確に対応するための司令塔機能の強化や感染症法の在り方、保健医療体制の確保など中長期的観点から必要な対応を取りまとめることを目指している。今後の有識者会議での議論なども踏まえて、次の感染症危機に備えた必要な対応の取りまとめを進めていきたい」と述べました。

また、病床確保の実効性を高めるため、感染症法を改正する必要性を問われたのに対し、「目下のコロナ対応を適切に行いつつ、対策の取りまとめに向けた過程の中でさらなる検討を進めていく」と述べました。