作家 早乙女勝元さん死去 90歳 戦争の悲惨さなど伝え続ける

東京大空襲での体験を基に、戦争の悲惨さと平和の大切さを伝え続けた作家の早乙女勝元さんが10日、老衰のため、埼玉県内の病院で亡くなりました。90歳でした。

早乙女さんは東京都の出身で、12歳のとき、1945年3月10日未明の東京大空襲を経験し、下町が火の海に包まれる中、多くの人たちが亡くなるのを目の当たりにしました。

終戦後は、町工場で働きながら文学の道を志し、18歳のときに書いた「下町の故郷」が直木賞の候補になりました。

1970年には「東京空襲を記録する会」を結成して、「東京大空襲・戦災誌」の編集に携わるとともに、「東京大空襲」や「東京が燃えた日」などの作品を通じて、戦争の悲惨さと平和の大切さを伝えました。

また、戦争の記憶を語り継ぐために、「東京大空襲・戦災資料センター」の開設に力を尽くして初代館長に就任したほか、全国の空襲被害者や遺族で作る「全国空襲被害者連絡協議会」の共同代表も務めました。

関係者によりますと、早乙女さんは10日、老衰のため、埼玉県内の病院で亡くなったということです。

90歳でした。

山田洋次監督「かけがえのない友人失った」

早乙女さんと50年以上親交があり、早乙女さんが館長を務めていた東京大空襲・戦災資料センターをたびたび訪れた映画監督の山田洋次さんは、「彼は東京の下町に生まれて、かの下町大空襲の中を必死に生きのびた。旧満州で育ったぼくは引揚者としてリュックひとつで日本に戻った。戦後の日本について、平和と戦争について語り合えるかけがえのない友人を失ったことを、心から淋しく思います」とコメントしています。

山田監督は、早乙女さんに東京・柴又の町を案内してもらったことをきっかけに柴又にひかれて、映画「男はつらいよ」の舞台を柴又に設定したということです。