米情報機関 “プーチン大統領 支配地域の拡大目指す兆候”

アメリカの情報機関のトップは、ロシアのプーチン大統領がウクライナでの戦闘の長期化に向けて準備していると指摘し、ウクライナ東部の掌握にとどまらず、さらなる支配地域の拡大を目指す兆候があるとの認識を示しました。

アメリカの情報機関を統括するヘインズ国家情報長官は10日、議会上院の公聴会に出席し、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について分析した結果を説明しました。

この中でヘインズ長官は、ロシア軍が軍事作戦の重点をウクライナ東部に移していることについて、首都キーウの掌握に失敗したロシア軍が主導権を取り戻すため、一時的に重点を移しているにすぎないと指摘しました。

そのうえで「プーチン大統領は、ウクライナでの戦闘の長期化に向けて準備しており、東部ドンバス地域をこえた目標を達成するつもりでいる」と述べて、プーチン大統領の目標がウクライナ東部の掌握にとどまらないとの認識を示しました。

そして、ヘインズ長官は、ロシアが2014年に一方的に併合した南部クリミアから東部にかけての支配を強めたうえで、ロシアの強い影響下にあるモルドバの沿ドニエストル地方にまで支配地域の拡大を目指す兆候があると指摘しました。

ただ、ロシア軍が兵士の増員などを行わなければ、南部の港湾都市オデーサや沿ドニエストル地方までの一帯の支配はできないとの認識を示し、今後数か月間の展開は予測が難しく、事態がエスカレートする方向に進む可能性があると警戒感を示しました。

また、停戦交渉については、ロシアとウクライナの双方が軍事的な成果をあげられると考えているため「少なくとも短期的には実行可能な交渉の道筋は見えない」と述べました。

一方、ロシアによる核兵器の使用についてヘインズ長官は「プーチン大統領が国家や体制への脅威を感じとった場合にのみ使用を許可するだろう」と述べて、引き続き状況を注視する考えを示しました。