防災「タイムライン」推進へ 自治体や専門家などが初会合

大雨や台風など災害が起きる前に行政や住民のとるべき行動をあらかじめ定めておく「タイムライン」の取り組みを進めるため、各地の自治体や専門家が参加した初めての会合が開かれ、活用事例の共有など被害の防止に向けた連携を確認したほか、国に対して財政支援の拡充を求めました。

東京 千代田区で開かれた会合には、「タイムライン」に取り組む北海道から九州にかけての34の市区町村の代表や、専門家、国などの防災機関が参加しました。

このなかで防災の専門家が、大規模な河川の流域では防災機関による計画の策定が進んでいるものの、住民の避難につなげるためには地域や家族などにも広げる必要があると報告しました。

そのうえで全国の自治体や防災機関、自主防災組織などが連携して活動を推進するため、▽効果的な事例や改善点を共有する場を設けることや▽各地域での取り組みを指導する人材の育成などを盛り込んだ決議を採択しました。

また決議では、国に対し「タイムライン」を活用した対策を防災基本計画に位置づけるとともに、必要な財政支援を行うよう求めています。

「タイムライン防災・全国ネットワーク国民会議」の議長を務める三重県紀宝町の西田健町長は、「タイムラインをうまく活用すれば住民の命を守ることができる。タイムラインを日本の防災の文化にするために活動を広げていきたい」と話していました。

「タイムライン」とは

「タイムライン」は、災害の発生が見込まれる時間帯から逆算して、自治体や防災機関、交通事業者などが「いつ」「誰が」「何をするか」それぞれが取るべき対応を時系列で定めた行動計画です。

具体的には
▽災害時の態勢や▽危険箇所の点検、
▽避難所の開設準備、
▽交通機関の運休などで、
それぞれの行動を整理しておくことで、
災害時に連携した対応が期待されています。

国内では平成25年から策定が進められ、国土交通省によりますと現在、国管理河川の流域にある730の市区町村すべてで策定されているほか、都道府県管理の河川流域の自治体でも取り組みが進んでいるということです。

また専門家によりますと、「タイムライン」をもとに住民の避難につながった事例がある一方で、計画が実用的でなかったり、防災機関どうしの連携が十分に取れていなかったりするケースもみられるということです。

住民の避難につなげるため、国や専門家などは地域や家族などさらに細かな単位で計画を作り、訓練や見直しを継続して効果的なタイムラインに改善していく必要性を訴えていますが、取り組みを進めるための人材の確保や育成が十分でなく一部の地域に限られているのが現状です。

専門家「国による担い手の育成や財政の支援が必要」

今回の会合を呼びかけた一人で、タイムラインを活用した防災について詳しい東京大学大学院の松尾一郎客員教授は、「温暖化によって、災害の激甚化が懸念される中で、住民一人一人が避難するには、地域ごとにタイムラインを作っていくことが必要だ。自治体の財政力だけでは、これまでの取り組みを町内会や住民レベルに広げていくには限界があり、国が基本的な方針として位置づけ、担い手育成や財政の支援を行っていく必要がある」と話しています。