韓国ユン大統領 “北朝鮮 非核化転換なら経済改善の計画準備”

韓国で10日就任したユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は、就任式に臨んで演説を行い、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮に対し「実質的な非核化に転換するなら経済と市民生活を画期的に改善できる大胆な計画を準備する」と呼びかけ、核問題の平和的な解決のため、対話する用意があるという姿勢を示しました。

10日午前0時をもって韓国の第20代大統領に就任したユン・ソンニョル大統領は、10日朝、ソウル市内の国立墓地に参拝したあと、午前11時から国会前の広場で開かれた就任式に臨みました。

ユン大統領は、ムン・ジェイン(文在寅)前大統領やパク・クネ(朴槿恵)元大統領、それに日本の林外務大臣をはじめ外国からの来賓や一般市民など4万人余りを前に、宣誓をしたうえで就任演説を行いました。

この中でユン大統領は、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮に対し「核開発を中断して実質的な非核化に転換するなら国際社会と協力して経済と市民生活を画期的に改善できる大胆な計画を準備する」と呼びかけました。

そして、核問題の平和的な解決のため、北朝鮮と対話する用意があるという姿勢を示しました。

また、ユン大統領は、貧富の拡大など社会の二極化が韓国の発展を妨げているとして、科学技術の進展をもとに成長を急ぐことが重要だと強調しました。

ユン大統領はこれまで、アメリカとの同盟関係を基盤に北朝鮮への抑止力を強化する姿勢を鮮明にするとともに、日本を含む3か国の連携を重視すると繰り返し強調していますが、10日の演説では言及しませんでした。

ユン大統領は午後、林外務大臣や中国の王岐山国家副主席など各国の代表と会談し、本格的な外交をスタートさせます。

林外相 就任式出席 ユン大統領と会談へ

韓国のユン・ソンニョル大統領の就任式には、日本政府から林外務大臣が出席しました。

林大臣は、このあとユン大統領と会談する予定で、日韓の間の懸案を解決し、悪化した両国の関係を改善していくきっかけにしたい考えです。

林外務大臣は岸田総理大臣の特使として、10日行われた韓国のユン大統領の就任式に出席し、新政権への祝意を示しました。

林大臣はこのあとユン大統領と会談する予定で、岸田総理大臣の親書を手渡すとともに、日韓関係などをめぐって意見を交わす見通しです。

林大臣はこれに先だって、9日夜、新政権の外相候補のパク・チン氏と会談し、ウクライナ情勢や北朝鮮問題などを踏まえ、日韓関係の改善は待ったなしだという認識を示す一方、改善に向けては太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題など、両国の間の懸案を解決することが必要だと伝えました。

そして両者は懸案の早期解決に向け、政府間でスピード感をもって協議していくことで一致しました。

林大臣は9日夜、パク氏と一致した内容も踏まえてユン大統領との会談に臨み、日韓の間の懸案を解決し、両国の関係を改善していくきっかけにしたい考えです。

松野官房長官「日本の立場に基づき 新政権と緊密に意思疎通」

松野官房長官は、閣議のあとの記者会見で「ユン・ソンニョル大統領の就任を歓迎し、心からお祝い申し上げる。国際社会が時代を画する変化に直面する中、健全な日韓関係は、ルールに基づく国際秩序を実現し、地域と世界の平和や安定、それに繁栄を確保するうえで不可欠だ。国交正常化以来、築いてきた友好協力関係に基づき関係を発展させていく必要があり、ユン大統領のリーダーシップに期待している」と述べました。

そのうえで「両国間の懸案などを早期に解決すべく、今後、両政府がスピード感を持って協議していくことで一致している。林外務大臣の訪問を機に健全な関係に戻すべく、日本の一貫した立場に基づき、新政権と緊密に意思疎通を行っていく」と述べました。

岸防衛相「課題解決のためにリーダーシップ発揮を期待」

岸防衛大臣は閣議のあとの記者会見で「北朝鮮の核・ミサイルをめぐる状況もあり、日韓両国を取り巻く安全保障環境は非常に厳しさと複雑さを増している。北朝鮮への対応をはじめ、インド太平洋地域の平和と安定のため、韓国のユン新政権と緊密に意思疎通を図り、日米韓3か国の連携強化を推進していく」と述べました。

また、岸大臣は、4年前の12月、海上自衛隊の哨戒機が韓国軍の駆逐艦から射撃管制用レーダーを照射された問題を念頭に「日韓の防衛当局間ではさまざまな課題があり、両国の防衛協力・交流に影響をおよぼしている。これらの解決のために韓国のユン新政権がリーダーシップを発揮することを期待している」と述べました。

自民 茂木幹事長「実際の具体的行動をしっかり見ていく必要」

自民党の茂木幹事長は、記者会見で「前の政権のもとで、韓国側の問題によって崩れてしまった日韓関係を立て直していくことは極めて重要だ。ユン大統領がそういう姿勢を示していることは評価したいが、実際の具体的な行動をしっかり見ていく必要がある。関係改善には、韓国側の対応を見ながら、応じていきたい」と述べました。

自民 高市政調会長 “約束違反など 対応や改善見定めなければ”

自民党の高市政務調査会長は、党の政調審議会で「ユン政権の誕生にまずは祝意を表したい。北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、近々、核実験を行うという推測もあり、日米韓3か国の協力強化は非常に大事だ」と述べました。

一方で「慰安婦問題の合意が守られていない約束違反や、日韓請求権協定違反、それに在外公館の前に慰安婦像を設置するといった国際儀礼の違反にどう対応するか、しっかり改善を見定めていかなければならない」と述べました。