アメリカで「武器貸与法」成立 ウクライナへの支援が加速へ

アメリカで、ロシアの軍事侵攻が続くウクライナなどに対して軍事物資を迅速に貸与することを可能にする法律が成立しました。
バイデン大統領は「ウクライナへの支援は今が極めて重要なときだ」と述べて、支援を加速させていく考えを示しました。

ウクライナを支援するための「レンドリース法=武器貸与法」は、ロシアによる軍事侵攻を受けるウクライナや近隣の東欧諸国に対して、来年9月末までの間、軍事物資を貸与するための手続きを簡略化し、迅速に提供することを可能にするものです。

バイデン大統領が9日、ホワイトハウスで署名し、法律が成立しました。

「武器貸与法」は、第2次世界大戦中にも制定され、ナチス・ドイツと戦うイギリスなどに対して武器や装備を提供し、大きな役割を果たしたとされています。

バイデン大統領は法律について「ウクライナの人々がプーチン大統領による残虐な戦争から民主主義を守るための重要な手段を提供することになる。今が極めて重要なときだ」と述べて、ウクライナへの支援を加速させていく考えを示しました。

「武器貸与法」とは

アメリカの「レンドリース法=武器貸与法」は、第2次世界大戦中の1941年、ナチス・ドイツと戦うイギリスが武器を賄う資金の不足に追い込まれ苦戦を強いられる中で、制定されました。

当時のルーズベルト大統領は「アメリカが民主主義の偉大な兵器庫になるべきだ」として、軍事支援の必要性を訴えました。

この法律のもとでアメリカからイギリスなど連合国へ供給された武器や装備品といった物資は1945年までに総額およそ500億ドルに上り、連合国勝利の要因のひとつになったとも言われています。

またドイツと戦っていたソビエトに対する支援にも適用されました。

当時の法律は効力を失っていますが、今回、ウクライナに対する軍事物資の供給に必要な手続きを簡略化するため、新たな「武器貸与法」が制定されました。

ことし2月にロシアが侵攻を始めて以降、アメリカによるウクライナへの軍事支援は合わせておよそ38億ドル、日本円にして4900億円あまりに上っていますが、新たな「武器貸与法」によって、大統領の権限でより迅速に支援を提供することが可能になります。

署名にあたってバイデン大統領は「ウクライナの人々が民主主義を守るための重要な手段を提供することになる」と述べ、アメリカが軍事支援をさらに推し進めるという決意を表明した形です。