ウクライナ「アゾフ大隊」の幹部 “製鉄所の大部分は維持”

ウクライナ東部の要衝マリウポリの製鉄所を拠点にロシア軍と戦闘を続ける「アゾフ大隊」の幹部がNHKのインタビューに応じ、ロシア軍は9日に大規模な攻撃を仕掛けてきたものの、現状では製鉄所の大部分は維持しているという認識を示しました。

NHKのオンラインインタビューに応じたのは、ウクライナの準軍事組織アゾフ大隊の司令官で首都キーウからマリウポリでの戦闘の指揮をとっているというマキシム・ゾリン氏です。

ゾリン氏は、マリウポリではロシアが東部ドネツク州などから人を集めてパレードを行ったとしたうえで「パレードはマリウポリで亡くなった人たちの骨と血の上で行われ、そのために一部の通りがきれいに掃除された。しかし数キロ離れた場所では戦闘が行われていた」と述べ、パレードと戦闘が同時に行われていた異様な状況について説明しました。

抗戦の拠点となっているアゾフスターリ製鉄所については「歩兵などロシア軍が持っている軍事装置のすべてを使って突入しようとした。こうした大規模な攻撃は今回も含めてこれまでに5回行われた」と明らかにしました。

そして、9日にはロシア軍から激しい攻撃を受けたとしたうえで「食料や水がなくなっているにもかかわらずロシア軍の攻撃に耐えることができた」と述べました。

ゾリン氏は、マリウポリではロシア軍が75%を掌握している一方、アゾフスターリ製鉄所では5%以下しか掌握できていないとして製鉄所ではロシアの攻撃の大部分を退けているという認識を示しました。

ウクライナとロシアの双方は7日、避難が完了したと明らかにしていますが、ゾリン氏はまだ少なくとも数十人の市民が地下に残っているとして、8日には地下にある病院が空爆されて治療中だった市民を含む10人が死亡したと説明しました。