仏マクロン大統領と独ショルツ首相 ウクライナ支援の姿勢強調

ロシアのプーチン大統領が戦勝記念日の式典でウクライナへの軍事侵攻を正当化する中、フランスのマクロン大統領がドイツを訪れ、ショルツ首相との共同会見に臨み、ウクライナに対して両国が結束して支援を続ける姿勢を強調しました。

ドイツのショルツ首相とフランスのマクロン大統領は9日、首脳会談を前に共同で記者会見を行いました。

この中で、ショルツ首相は、ロシアのプーチン大統領が戦勝記念日の式典で軍事侵攻を正当化したことについて「われわれの要求は明確だ。この戦争は終わるべきだ」と述べ、軍の撤退を求めました。

そのうえで「両国はウクライナのそばにしっかりと並んで立つ。この戦争を終わらせるために財政、人道、そして軍事的な支援を続ける」と述べ、軍事面も含め一致して支援を続ける姿勢を強調しました。

また、マクロン大統領は「制裁を実行し、ロシアへのエネルギーの依存度を下げることに伴う影響から市民と企業を守らなければならない」と述べ、EUとしてロシア産エネルギーの輸入禁止に伴う価格高騰の影響を受ける市民や企業への支援策を打ち出す考えを示しました。

マクロン大統領による今回のドイツ訪問は、先月の大統領選挙で再選を果たしてから初めての外国訪問で、ロシアの軍事侵攻が続く中、EUをけん引する両国が結束してウクライナを支える姿勢を強調するねらいがあるとみられます。

仏マクロン大統領 「ヨーロッパ政治共同体」を提案

ドイツのショルツ首相は9日、マクロン大統領との共同会見で記者からマクロン大統領が呼びかける「ヨーロッパ政治共同体」についての考えを聞かれ「非常に興味深い提案だ」と述べて評価し、話し合いを進める考えを示しました。

「ヨーロッパ政治共同体」は、フランスのマクロン大統領が9日、ドイツ訪問に先立って、フランス東部ストラスブールにあるヨーロッパ議会で行った演説で提唱したものです。

この中でマクロン大統領は「勇気をもって戦い続けるウクライナは、すでに心ではヨーロッパの一員だ」と述べました。

一方で、ウクライナが求めるEU=ヨーロッパ連合への加盟の実現は、条件面から相当時間がかかり、加盟国と同様にウクライナを支援するには課題があるとの認識を示しました。

そのうえで、マクロン大統領はウクライナとの協力関係を強めていくためにも、民主主義などの価値観を共有する国に開かれた、EUの枠組みを超えた新しい政治的な共同体「ヨーロッパ政治共同体」が必要だと訴えました。

松野官房長官「ヨーロッパの安全保障情勢を引き続き注視」

松野官房長官は閣議のあとの記者会見で「国際秩序の根幹がロシアのウクライナ侵略により脅かされている今こそ、基本的価値を共有する国々の結束を強めることが重要だと考えており、本件を含め、ヨーロッパの安全保障情勢を引き続き注視していく」と述べました。