【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(5月10日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる10日の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナの製鉄所 シェルターに少なくとも100人の市民か

ウクライナ東部マリウポリの市長の顧問を務めるアンドリュシェンコ氏は10日、SNSに投稿し、アゾフスターリ製鉄所のシェルターには「軍人に加え、少なくとも100人の市民が取り残されている」と明らかにしました。そして「製鉄所では重火器や航空機による攻撃が一日中続いている」と訴える一方「襲撃は失敗し続けている」と抵抗する姿勢を示しました。
製鉄所に取り残された市民の避難をめぐって、ゼレンスキー大統領は今月7日、第1段階が完了し、第2段階に向けた準備を進めているとしていました。

ゼレンスキー大統領「オデーサにEU大統領が滞在中に攻撃」

ウクライナ南部のオデーサで9日にあったミサイル攻撃についてゼレンスキー大統領は新たに公開した動画の中で「オデーサにEU=ヨーロッパ連合のミシェル大統領が滞在していたさなかにロシア軍はミサイル攻撃を行った。これがロシアのヨーロッパに対する本音だ」と述べて強く非難しました。

避難民の支援で専用のマッチングサイト開設 古川法相

ウクライナからの避難民への支援をめぐり古川法務大臣は閣議のあとの記者会見で、企業などから申し出のあった支援物資やサービスの提供を受けられるようにするため、専用のマッチングサイトを開設したと明らかにしました。
この中で古川法務大臣は先月、全国の出入国在留管理局などにウクライナから避難してきた人たちや自治体からの相談に応じるための担当者を配置したと説明し「自治体との情報共有を進め、地域に居住している避難民の方々にしっかりと寄り添う支援に努めていく」と述べました。また古川大臣は企業などから申し出のあった支援物資やサービスの提供を受けられるようにするため9日、専用のマッチングサイトを開設したと明らかにしました。そのうえで「避難民の方々にはサイトにアクセスするためのIDとパスワードを発行する。企業などの支援物資やサービスを日本での生活に役立てていただけるよう取り組んでいく」と述べました。

自民 “政府要人 ウクライナに派遣を”

欧米各国の要人が相次いでウクライナを訪問していることをめぐり、自民党の会合では日本政府も国際社会と歩調を合わせて要人をウクライナに派遣し、連帯する姿勢をより強く示すべきだという意見が出されました。
ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナには、先月から今月にかけてアメリカのジル・バイデン大統領夫人やカナダのトルドー首相など欧米各国の要人みずからが相次いで訪れ、直接支援の意向を伝えるなどしています。これについて10日の自民党の会合では、日本政府も国際社会と歩調を合わせてキーウを含めたウクライナの都市に要人を派遣しウクライナの人たちと連帯する姿勢をより強く示すべきだという意見が出されました。また会合ではフランスやカナダなどでキーウの大使館業務を再開させる動きが出てきていることについて、日本の大使館も同様に再開すべきだという指摘も出され、外務省の担当者は現地の治安状況などを踏まえ対応を検討する考えを示したということです。

ウクライナ南部のオデーサにロシア軍が攻撃 1人が死亡

ウクライナ南部のオデーサで9日、ロシア軍によるミサイル攻撃があり、ウクライナの公共放送は1人が死亡、5人がけがをしたと伝えています。
ウクライナ当局が9日、SNSに投稿した動画には、広い範囲にわたって建物が大きく壊れ、がれきが散らばっているのが確認できます。
オデーサにはこの時、EU=ヨーロッパ連合のミシェル大統領がウクライナのシュミハリ首相との会談のため滞在していました。シュミハリ首相は9日、ツイッターに「ミサイル攻撃によって会談が中断され一緒に防空ごうに避難した」とミシェル大統領とともに防空ごうの中で撮影したとみられる写真を投稿したうえで、ロシアによる攻撃を止める方法やウクライナの再建について議論したとしています。

アメリカ供与のりゅう弾砲 ほとんどが現地に到着

アメリカ国防総省の高官は9日、ウクライナへの軍事支援として供与を決めたりゅう弾砲のほとんどが現地に到着したと明らかにしました。
りゅう弾砲は大口径の砲弾を敵の陣地などに撃ち込む兵器で、アメリカが供与するとしている90門のうち85門以上がウクライナ国内に到着したということです。またこの兵器を使う訓練は310人以上のウクライナ兵が終えたほか、50人以上が訓練中だとしています。さらにウクライナに供与する攻撃用の無人機「フェニックスゴースト」の訓練もおよそ20人の兵士が終えたとしていてアメリカは軍事支援を加速させています。

「ピュリツァー賞」特別表彰にウクライナのジャーナリスト

アメリカの優れた報道などに贈られる「ピュリツァー賞」の選考委員会は9日、通常の選考対象とは別に、ウクライナのジャーナリストたちを特別に表彰すると発表しました。
理由について選考委員会のマージョリー・ミラー事務局長は「ウラジーミル・プーチンによる自国への侵攻と、ロシアにおけるプロパガンダ戦争の中、勇気と忍耐力、そして真実の報道への献身を示した」と説明しました。
さらに「砲撃や拉致、占領、仲間の死にもかかわらず、彼らはウクライナと世界中のジャーナリストに敬意を表し、恐ろしい現実の正確な映像を提供する努力を続けた」として、その功績をたたえました。

米国務省報道官 プーチン大統領の軍事侵攻正当化を非難

ロシアのプーチン大統領が戦勝記念日の式典でウクライナへの軍事侵攻を正当化したことについて、アメリカ国務省のプライス報道官は9日、記者会見で「プーチン大統領とその代弁者たちは、国民たちが真実を知れば、拒否するような戦争に納得してもらうため、偽情報を提供し続けている」と述べ、非難しました。

アメリカ国防総省のカービー報道官も記者会見で「われわれがプーチン大統領から聞くべきだった話は、どのように戦争を終わらせ、ロシア軍の部隊を撤退させるのか、そして最終的にウクライナをどのように主権国家として尊重していくつもりなのかということだった」と述べました。

北朝鮮 キム総書記 “プーチン大統領に祝電” 朝鮮中央通信

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は、キム・ジョンウン(金正恩)総書記が9日、第2次世界大戦で旧ソビエトがナチス・ドイツに勝利したことを祝う戦勝記念日に合わせて、ロシアのプーチン大統領に祝電を送ったと伝えました。
この中で、キム総書記はウクライナへの軍事侵攻も念頭に「敵対勢力の政治・軍事的脅威と恐喝を根源的に除去し、国の平和と安全を守るロシア人民の偉業に固い連帯の思いを届ける」として、欧米をけん制するとともに、プーチン大統領への支持を表明しました。
そのうえで「戦略的、伝統的な親善関係が時代の要求と両国民の根本利益に合うよう強化・発展していくと確信している」と強調し、今後の関係強化を呼びかけました。
北朝鮮は、ウクライナへの軍事侵攻により国際的な孤立を深めるロシアを擁護する立場を重ねて表明していて、核・ミサイル開発を加速し、アメリカへの対抗姿勢を鮮明にする中、後ろ盾であるロシアとの伝統的な友好関係をアピールするねらいがありそうです。

ウクライナ市民 少なくとも3381人死亡 うち235人は子ども 国連

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月8日までに、ウクライナで少なくとも3381人の市民が死亡したと発表しました。
このうち、235人は子どもだとしています。
地域別でみると、東部のドネツク州とルハンシク州で1810人、キーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで1571人の死亡が、それぞれ確認されているということです。
また、けがをした市民は3680人に上るとしています。
ただ国連人権高等弁務官事務所は、東部のマリウポリなど激しい攻撃を受けている地域での死傷者の数については、集計が遅れていたり、確認がまだ取れていなかったりして統計に含まれておらず、実際は大きく上回るという見方を示しています。

ポーランド 軍事侵攻に抗議 ロシア大使に赤い液体

ロシア各地で第2次世界大戦の戦勝記念日に合わせて記念式典が行われた9日、ウクライナの隣国ポーランドでは旧ソビエト兵の墓地を訪れた現地のロシア大使が、ウクライナへの軍事侵攻に抗議する人たちから赤い液体をかけられる事態がありました。
液体をかけられたのは、ポーランドに駐在するロシアのセルゲイ・アンドレーエフ大使で、第2次世界大戦で従軍した旧ソビエト兵の墓に献花するため首都ワルシャワの墓地を訪れたところ、待ち構えていた人たちから顔などに赤い液体を投げつけられました。
待ち構えた女性の1人は「ウクライナを侵略している最中に献花しに来るなんてありえない。私たちはこれ以上、戦争をしてほしくない」と話していました。
一方、液体をかけられたアンドレーエフ大使は報道陣に対し「私は祖国と大統領に誇りを抱いている」と述べました。
この事態を受け、ロシア外務省はポーランド側に抗議したということです。

マリウポリ “アゾフスターリ製鉄所をロシア軍が攻撃”

ウクライナの通信社などによりますと、ウクライナ国防省の報道官は9日、東部の要衝マリウポリのアゾフスターリ製鉄所を、ロシア軍が攻撃していると発表したということです。
複数の戦車と迫撃砲の支援を受けたロシア軍の部隊が襲撃を試みているということで、報道官は、ロシアのツポレフ長距離爆撃機が製鉄所に空爆を行う可能性も「否定できない」と述べました。
また、マリウポリ市議会の副議長は9日、SNSのテレグラムで「ロシア軍が、5月11日にアゾフスターリ製鉄所への化学兵器による攻撃を計画しているようだ」と述べました。
マリウポリでは、市民に対して家の外に出ないよう注意を呼びかけているということです。

ウクライナからの国外避難者 約589万人 国連

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、8日の時点でおよそ589万人に上っています。
主な避難先は、ポーランドがおよそ321万人、ルーマニアがおよそ88万人、ハンガリーがおよそ56万人、モルドバがおよそ45万人などとなっています。
また、ロシアに避難した人はおよそ73万人となっています。