【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(5月8日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。
戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる8日の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナの戦勝記念日 2015年以降は5月8日に

ウクライナでは、旧ソビエト時代から戦勝記念の式典は、ロシアと同じ5月9日に行われてきましたが、ロシアによるクリミア併合などを受けて、2015年以降はヨーロッパ各国に歩調を合わせてナチス・ドイツが降伏した5月8日に行われるようになっています。

首都キーウにある記念碑の周りでは8日朝、兵士や治安関係者が厳重な警備体制をしく中、ゼレンスキー大統領から贈られた花束が用意されるなど、記念式典に向けた準備が進められていました。

また、市内の公園にある第2次世界大戦に関する歴史博物館では、この日に合わせてロシアによる軍事侵攻をテーマにした特別展が始まり、ロシア軍の兵器や破壊された文化財なども展示されています。中には、ことし3月にキーウ近郊でウクライナ軍によって撃墜されたロシア軍のヘリコプターの後部のローターや、エンジンなどがあります。
また、ロシア軍の攻撃を受けた教会にかかっていた絵画もあり、金属製の破片があたって一部が破損しています。

博物館職員のドミトロ・ハイネトジノフさんはNHKのインタビューで「特別展を通して、今回のロシアの軍事侵攻の残酷さや市民が受けた被害の大きさを伝えたい」としたうえで、ロシアが9日に戦争記念日を祝うことについて「ロシアは第2次世界大戦の歴史を使って今回の軍事侵攻を正当化しようとするかもしれないが、根拠がないことだ」と批判していました。

“ロシア軍 東部のハルキウ州の博物館にミサイル攻撃” AP通信

AP通信によりますと、ウクライナの東部ハルキウ州の博物館で6日、ロシア軍によるミサイル攻撃があり、被害が出ているということです。
50年前に開館したこの博物館では、18世紀のウクライナの哲学者の生涯などを紹介していたということです。
AP通信が配信した映像では建物の外壁や窓が大きく壊れ、がれきが散らばっているのが確認できます。
また映像には、博物館のスタッフが哲学者の像を外に運び出す様子や、地面に落ちている本を拾う様子がうつっています。
博物館の担当者は、「5月6日はひどい夜だった。夜遅くに博物館が燃えているという電話があった。博物館に爆弾が落ち、大きな被害が出た」と話していました。
博物館への攻撃について、ゼレンスキー大統領は7日に投稿した動画の中で、「博物館へのミサイル攻撃は、すべてのテロリストが思いつくことではない。しかし、私たちはそのような軍隊と戦っているのだ」とロシア軍を批判しました。

東部のルハンシク州知事 “ロシア軍が学校を空爆 2人死亡”

ウクライナ東部ルハンシク州のガイダイ知事は8日、SNSに投稿し、ロシア軍が学校を空爆し、2人が死亡したと明らかにしました。
学校には攻撃を受けた当時、およそ90人が避難していたということで、これまでに27人が救助されたものの、今もおよそ60人ががれきの下に取り残されている可能性があるということです。
知事が投稿した映像では、建物が大きく壊れあちこちで火の手が上がっていて、煙が立ちこめるなか消防隊が消火活動を行っている様子が写されています。

国連 ウクライナで市民少なくとも3309人が死亡 (~5月5日)

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月5日までに、ウクライナで少なくとも3309人の市民が死亡したと発表しました。
このうち234人は子どもだとしています。
地域別でみると、
▽東部のドネツク州とルハンシク州で1754人、
▽キーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで1555人の死亡が、それぞれ確認されているということです。
また、けがをした市民は3493人にのぼるとしています。
ただ国連人権高等弁務官事務所は、東部のマリウポリなど激しい攻撃を受けている地域での死傷者の数については、集計が遅れていたり、確認がまだ取れていなかったりして、この統計には含まれておらず、実際の死傷者の数はこれを大きく上回るという見方を示しています。

ウクライナ検察当局 子ども少なくとも225人が死亡(5月8日時点)

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で犠牲になった子どもについて、ウクライナの検察当局は、8日の時点で少なくとも225人の子どもが死亡したと発表しました。
また、少なくとも413人がけがをしたとしています。
死傷した子どもが最も多いのは
▽東部ドネツク州で139人、
次いで
▽首都があるキーウ州で116人、
▽東部ハルキウ州で98人、
▽北部チェルニヒウ州で68人などとなっています。

また、爆撃や砲撃による被害を受けた学校などの教育施設は1635にのぼり、このうち126の施設は完全に破壊されたということです。

WHO「医療機関への攻撃は戦争犯罪」

WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は7日、ウクライナの首都キーウを訪れ、リャシュコ保健相らと面会しました。
テドロス事務局長は、保健衛生に関する需要や支援策について意見を交わしたとしたうえで、WHOはウクライナでの医療支援を続けるとみずからのツイッターに投稿しました。

また、WHOで危機対応を統括し、ともにキーウを訪れたライアン氏は記者会見で、ウクライナの医療機関などへの攻撃はすでに200回にのぼったとしたうえで、医療機関への攻撃はいかなる状況であろうと戦争犯罪だと述べました。
ゼレンスキー大統領は5日、ウクライナでは400近い医療機関がロシア軍の攻撃で被害を受け、特に東部と南部では壊滅的な状態だと述べています。

ゼレンスキー大統領「製鉄所から市民の避難完了」

ウクライナのゼレンスキー大統領は7日、新たに動画を公開し、東部の要衝マリウポリで、ロシア軍が包囲するアゾフスターリ製鉄所に取り残されていた市民の避難について「女性や子どもなど300人以上が救助された。アゾフスターリ製鉄所から民間人を避難させた」と述べ、市民の避難が完了したと明らかにしました。
そのうえで「私たちはマリウポリとその周辺の住民のために人道回廊の継続を計画している」と述べ、ウクライナ政府として、マリウポリからの市民の避難をさらに進める考えを示しました。

ウクライナ東部ドネツク州 ロシア軍の攻撃で少なくとも3人死亡

第2次世界大戦で旧ソビエトがナチス・ドイツに勝利した今月9日の「戦勝記念日」が迫る中、ウクライナ東部のドネツク州では7日、各地でロシア軍による攻撃が相次ぎ、ロイター通信は、少なくとも3人が死亡したと伝えています。
現地からの映像では、道に大きな穴があいて周囲の住宅が崩れ落ちている様子が確認できます。

イタリア「ロシア政府の有力者」関係ある豪華船差し押さえ

イタリア政府は6日、所有者が「ロシア政府の有力者」と関係がある豪華船を差し押さえたと発表しました。
差し押さえられたのはイタリア中部トスカーナ州の港に停泊していた「シェヘラザード」という船名の「スーパーヨット」です。

AFP通信によりますと、「シェヘラザード」は全長140メートル、2つのヘリポートやプール、映画館などを備えた6階建ての豪華船で7億ドル、日本円でおよそ914億円の価値があるということです。
イタリア政府は船の所有者を明らかにしていませんが、「ロシア政府の有力者」とビジネス上の関係があるとしています。
ロシア人が所有する豪華船をめぐっては、ことし3月、イギリス政府がプーチン大統領に近い「オリガルヒ」と呼ばれる富豪の船を差し押さえたほか、ウクライナのゼレンスキー大統領もイタリア議会で演説した際、「シェヘラザード」について差し押さえるよう、イタリア政府に求めていました。

ウクライナ国防省「無人攻撃機でロシア軍の揚陸艇を破壊」

ウクライナの国防省は7日、ツイッターで、南部オデーサ沖の黒海にある島でロシア軍の揚陸艇を破壊したと明らかにしました。
攻撃には、トルコ製の無人攻撃機「バイラクタルTB2」を使用したとしていて、公開された映像では、港に接岸しているように見える揚陸艇が攻撃を受けて爆発し、煙が上がる様子などが確認できます。

ウクライナの副首相「製鉄所からの避難は完了」

東部の要衝マリウポリで、ロシア軍が包囲するアゾフスターリ製鉄所に取り残されているとみられる大勢の市民について、ロシア側が、避難させるための戦闘停止の期限としていた7日、日本時間の8日午前0時を迎えました。
これを受けて、ウクライナのベレシチュク副首相は、日本時間の8日午前1時すぎにSNSで「大統領の命令は実行された。アゾフスターリ製鉄所からすべての女性、子ども、高齢者を避難させた。この部分においての人道的活動は完了した」と発表しました。
ただ、人数など詳しいことは明らかにしていません。

ウクライナからの国外避難者 約580万人に上る 国連

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、6日の時点でおよそ580万人に上っています。
主な避難先は、ポーランドがおよそ316万人、ルーマニアがおよそ85万人、ハンガリーがおよそ55万人、モルドバがおよそ45万人などとなっています。また、ロシアに避難した人はおよそ73万人となっています。

米バイデン大統領夫人 ウクライナから避難の子どもたちと面会

アメリカのジル・バイデン大統領夫人は7日、ウクライナの隣国、ルーマニアにある学校を訪れ、ウクライナから避難してきた子どもたちと面会しました。
UNHCR=国連難民高等弁務官事務所によりますと、ルーマニアには、ロシア軍の侵攻を受けているウクライナから1日当たりおよそ7000人が避難して来ていて、その数はこれまでに合わせておよそ90万人に上っています。

こうした中、ジル氏が訪れたのは首都ブカレストにある学校で、ウクライナから避難してきた5歳から15歳の子どもたちが学んでいます。
教師でもあるジル氏は、子どもたちが工作に取り組む様子を見て回ったり、子どもたちに将来の夢を尋ねたりしていました。
訪問を終えたジル氏は、記者団に対し、避難生活が長引いている子どもたちやその母親への精神的なケアの必要性を訴え、アメリカ政府として引き続きルーマニアと協力しウクライナを支援していく姿勢を示しました。
ジル氏はこのあとスロバキアに移動して、ウクライナとの国境沿いにある避難民の受け入れの拠点を訪れ、避難してきた親子や、支援活動にあたるNGOの関係者などと面会することにしています。

「戦勝記念日」を前に警戒呼びかけ

今月9日のロシアの「戦勝記念日」を前に、ロシア軍が砲撃などの攻勢を強めることが予想される中、ウクライナの首都キーウのクリチコ市長は6日、SNSへの投稿で「防空警報を無視せず、すぐに避難してほしい。今後数日、ウクライナ全域で攻撃される可能性が高くなっている」と警戒を呼びかけました。

また、ウクライナ国家安全保障・国防会議は6日、今月8日から9日にかけて、防空警報に特に注意するようSNSを通じて呼びかけています。
この中では「ロシア軍は戦勝記念日を前に重要な成果をあげることができないので、大規模な攻撃のリスクが高まっている」としています。