第2次世界大戦で、旧ソビエトは、世界で最も多い少なくとも2600万人の兵士と市民が死亡したとされています。
なかでもナチス・ドイツとの戦いは、ロシアでは「大祖国戦争」と呼ばれ、苦難の末に勝利した栄光の日と位置づけられています。
こうした歴史は、ロシアの学校現場でも詳しく教えられていて、この日はロシアの人たちがソビエト軍の功績や戦争に加わったそれぞれの祖先に思いをはせるなど、愛国心が最も高まる日とされています。
毎年5月9日は、首都モスクワにある赤の広場で記念式典が開かれ、軍事パレードや大統領による演説なども行われています。
このうち2005年の60周年の式典には、日本からも当時の小泉総理大臣や、アメリカの当時のブッシュ大統領など、欧米を含む50か国以上の首脳が出席し、戦勝国・敗戦国を問わず犠牲者を追悼するなど、平和に向けた国際社会の結束が誓われました。
このように「戦勝記念日」は、「追悼と和解」の象徴という側面もありましたが、プーチン政権は、近年、この祝日を国威発揚の場として利用する傾向が強まっています。

【詳しく】ロシア 5月9日の「戦勝記念日」とは
ロシアで、5月9日は第2次世界大戦で旧ソビエトがナチス・ドイツに勝利したことを祝う「戦勝記念日」で、最も重要な祝日の1つとなっています。


プーチン大統領は、パレードで最新の兵器を披露させるとともに、欧米との対決姿勢を鮮明にする演説も行っています。

また、「ゲオルギー・リボン」という黒とオレンジ色でデザインされた、勝利のシンボルを普及させる市民が始めた運動をここ最近では、政権側が積極的に主導しています。
77周年となることしの記念日は、ウクライナへの軍事侵攻が続く中で迎えることになります。
プーチン大統領は、ウクライナのゼレンスキー政権を「ネオナチ」だと一方的に主張しながら2か月以上にわたって軍事侵攻を続けています。
ロシアのラブロフ外相は今月(5月)1日に公開されたインタビューで「ロシア軍は、戦勝記念日を含む特定の日にもとづいて行動を調整することはない。5月9日はいつものように厳粛に祝う」と述べ、1つの節目ともみられてきたこの記念日のあとも戦闘が継続されるという見方を示しています。
ただ、「非ナチ化」を掲げて軍事侵攻を正当化するプーチン大統領は、ナチス・ドイツへの勝利を記念した日を強く意識しているとみられ、式典の中でどのような演説を行うか注目されています。
77周年となることしの記念日は、ウクライナへの軍事侵攻が続く中で迎えることになります。
プーチン大統領は、ウクライナのゼレンスキー政権を「ネオナチ」だと一方的に主張しながら2か月以上にわたって軍事侵攻を続けています。
ロシアのラブロフ外相は今月(5月)1日に公開されたインタビューで「ロシア軍は、戦勝記念日を含む特定の日にもとづいて行動を調整することはない。5月9日はいつものように厳粛に祝う」と述べ、1つの節目ともみられてきたこの記念日のあとも戦闘が継続されるという見方を示しています。
ただ、「非ナチ化」を掲げて軍事侵攻を正当化するプーチン大統領は、ナチス・ドイツへの勝利を記念した日を強く意識しているとみられ、式典の中でどのような演説を行うか注目されています。
軍事パレード ウクライナ南部クリミアでも

ロシアでは、第2次世界大戦でナチス・ドイツに勝利した「戦勝記念日」の5月9日、毎年、各地で軍事パレードが行われます。
特に首都モスクワでは、中心部の「赤の広場」で大規模なパレードが行われ、大勢の兵士が参加するほか最新の兵器なども披露され、ロシアの軍事力を内外にアピールする機会にもなってきました。
ロシア国防省は、ことしの軍事パレードについて28の都市で実施されると発表し、一方的に併合したウクライナ南部のクリミアでもロシアによる軍事パレードを行うとしています。
モスクワのパレードでは、兵士およそ1万1000人が参加するということで、去年と比べて1000人ほど少なくなっています。
また131の兵器が披露される予定で去年と比べて60台ほど少なくなっています。
特に首都モスクワでは、中心部の「赤の広場」で大規模なパレードが行われ、大勢の兵士が参加するほか最新の兵器なども披露され、ロシアの軍事力を内外にアピールする機会にもなってきました。
ロシア国防省は、ことしの軍事パレードについて28の都市で実施されると発表し、一方的に併合したウクライナ南部のクリミアでもロシアによる軍事パレードを行うとしています。
モスクワのパレードでは、兵士およそ1万1000人が参加するということで、去年と比べて1000人ほど少なくなっています。
また131の兵器が披露される予定で去年と比べて60台ほど少なくなっています。

なかにはアメリカのミサイル防衛網に対抗するICBM=大陸間弾道ミサイルの「ヤルス」や、ウクライナへの攻撃でも使用されている短距離弾道ミサイルの「イスカンデル」など、核弾頭も搭載できるロシア製のミサイルが登場するということです。
さらに、ことしは、戦後77年にちなんだ77機の戦闘機や軍用ヘリコプターなどが参加するということです。
さらに、ことしは、戦後77年にちなんだ77機の戦闘機や軍用ヘリコプターなどが参加するということです。

このうちロシアの主力戦闘機の「ミグ29」は、8機が「Z」の文字を表す編成で飛行するとしていて、ウクライナへの軍事侵攻を支持する象徴となっている「Z」を用いて、国民にも支持を訴える演出となっています。

また核戦力による戦争など非常時に大統領などが乗り込み、上空から部隊を指揮することから「終末の日の飛行機」とも呼ばれる特別機「イリューシン80」も飛行することになっています。
ロシアのメディアによりますと「イリューシン80」が最後に軍事パレードに参加したのは戦勝65年を祝う2010年以来だということです。
プーチン大統領は核兵器を使用する可能性も辞さない構えを示していて、軍事パレードでは核大国であることを誇示し、ウクライナを支援するアメリカをはじめNATO=北大西洋条約機構の加盟各国をけん制するねらいもあるとみられます。
ロシアのメディアによりますと「イリューシン80」が最後に軍事パレードに参加したのは戦勝65年を祝う2010年以来だということです。
プーチン大統領は核兵器を使用する可能性も辞さない構えを示していて、軍事パレードでは核大国であることを誇示し、ウクライナを支援するアメリカをはじめNATO=北大西洋条約機構の加盟各国をけん制するねらいもあるとみられます。
プーチン大統領 「戦争状態」を宣言するとどうなる
ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアで、仮にプーチン大統領が「戦争状態」を宣言すると、「戒厳令」が導入されたり、国民を対象に「動員」が宣言されたりすることになります。
国防に関する法律によりますと、「戦争状態」は、他国から武力攻撃を受けたり、国際条約の履行において必要があると判断されたりした場合に宣言され、その時点から「戦時」になるということです。
そして、大統領は、ロシアが侵略または侵略の脅威を受けた場合や、ロシアに対する武力紛争が起きた場合に、総動員または一部の動員を宣言し、戒厳令を導入する権限があると規定されています。
そして、大統領は、ロシアが侵略または侵略の脅威を受けた場合や、ロシアに対する武力紛争が起きた場合に、総動員または一部の動員を宣言し、戒厳令を導入する権限があると規定されています。
戒厳令が導入されると、国民が出国することが禁止されたり、居住地からの移動が制限されたりするほか、敵国の市民の抑留なども可能になるということです。
また、当局は、国民の財産や企業の資産を差し押さえることができるほか、防衛のための作業や施設の復旧などのために国民を徴集できるとしていて、ロシアの独立系メディアは、強制労働につながると警戒しています。
さらにデモやストライキなどが禁止されるほか、外国や国際組織の活動を強制的に止める措置がとられる可能性もあるということです。
また、当局は、国民の財産や企業の資産を差し押さえることができるほか、防衛のための作業や施設の復旧などのために国民を徴集できるとしていて、ロシアの独立系メディアは、強制労働につながると警戒しています。
さらにデモやストライキなどが禁止されるほか、外国や国際組織の活動を強制的に止める措置がとられる可能性もあるということです。
一方、大統領には戒厳令とは別に「動員」を宣言する権限も与えられています。
独立系ネットメディアの「メドゥーザ」によりますと、兵役を終えたか、予備役に登録された50歳未満の男性は、総動員令が宣言されると徴兵される可能性があるということです。
また、予備役に登録されていなくても領土防衛のため動員されることはありうるとしています。
このほか大統領令によって手紙や電話、インターネットを対象に「軍事検閲」が導入される可能性もあり、「メドゥーザ」は、「ロシアにはおよそ3万5000ものネット事業者がいる中ですべて強制的に遮断することは不可能だ。ただ、当局が複数の大手事業者を閉鎖すれば、ユーザーの80%の生活は困難に陥るだろう」と伝えています。
独立系ネットメディアの「メドゥーザ」によりますと、兵役を終えたか、予備役に登録された50歳未満の男性は、総動員令が宣言されると徴兵される可能性があるということです。
また、予備役に登録されていなくても領土防衛のため動員されることはありうるとしています。
このほか大統領令によって手紙や電話、インターネットを対象に「軍事検閲」が導入される可能性もあり、「メドゥーザ」は、「ロシアにはおよそ3万5000ものネット事業者がいる中ですべて強制的に遮断することは不可能だ。ただ、当局が複数の大手事業者を閉鎖すれば、ユーザーの80%の生活は困難に陥るだろう」と伝えています。