中高生「いじめ相談したあとが心配」は6割超 NPO法人調査

深刻ないじめが後を絶たない中、中学生や高校生ではいじめについて相談すれば「相手を注意して、やめさせてくれる」と考える生徒が3割程度だったのに対し、「相談したあとのことが心配」とする割合は6割以上に上っていることがNPO法人によるアンケート調査でわかりました。

調査は、いじめなどの解決に取り組むNPO法人「プロテクトチルドレン」がことし1月から2月にかけて教育委員会や学校を通じて行ったもので、全国の小中学生と高校生2万6652人から有効な回答を得ました。

このうち、いじめを相談することについての考えを複数回答で尋ねたところ、「相手を注意して、いじめをやめさせてくれると思う」と回答したのは、小学生で46%だったのに対し、中学生は33%、高校生では30%でした。
一方、「相談したあとのことが心配」としたのは小学生では43%でしたが、中学生は60%、高校生は65%に上っていました。

自由記述では「本当に解決してくれるか心配だ」といった声や、「相談したことが知られると逆恨みされると思う」などの不安の声も多く寄せられたということです。

また、いじめなど困ったことを相談できるところが「ある」と回答した生徒は全体の58%にとどまり、相談先が「ない」または「わからない」とした割合は※40%に上りました。

※「ない」27%
 「わからない」13%
「プロテクトチルドレン」の森田志歩代表は「子どもたちが『相談しづらい』とか『相談後が心配だ』と感じるのは、大人への信頼がとても少ないからだと思う。声をあげてもらうには相談窓口を単に増やすのでなく『ここに相談すれば大丈夫』と感じられるような安心感を与えるメッセージを日頃から発信することがとても大切だ」と指摘しています。

そのうえで「中にはなかなか声をあげられない子どももいるので、保護者や学校の先生など周りの大人たちも、変化に気付くようにすることが重要だ」と話していました。

いじめを受けた高校生「報復されるのが怖い」

いじめを受けても、報復されるのが怖くてすぐには相談できなかったという高校生が取材に応じました。

中国地方の高校2年生の男子生徒は、去年9月以降、複数の同級生から「死んじゃいな」とか「殴りたい」などと言われ、いじめられるようになりました。

一時は、食べ物がのどを通らず「死にたい」とまで思い詰めるようになったといいます。

当時の状況について、この生徒は「学校に行ったら毎日のように嫌なことを言われて、その場から逃げ出したい気持ちになりました。気持ちがいろいろあふれ出て死のうと思いました」と振り返ります。

しかし、1か月近く、親にも友達にも悩みを打ち明けることができませんでした。

相談してもうまく解決してもらえずにいじめがひどくなったり報復されたりすることをおそれたためです。

大好きな家族や友達を悲しませたくないという気持ちもありました。

生徒は「周りの人に見て見ぬふりをされたことでみんながいじめた側の味方だと感じるようになっていました。相談すれば、加害者側が自分に対して強く出てくる、いじめがエスカレートすることが怖かったです」と当時の心境を語りました。

その後、これ以上は我慢できないと、勇気を出して親など周りの人に相談したところ、今回、アンケート調査を行った「プロテクトチルドレン」の森田代表にたどりつき、協力を得られたということです。
森田代表は、生徒の親にいじめの被害を記録として残すことなどをアドバイスし、学校に対しては、いじめの具体例を挙げて全校生徒に注意喚起をし、被害に遭っている生徒を守るなどの対応をとるよう求めたということです。

いまは、学校側と解決に向けた協議を進めているということです。

生徒は「自分の経験では、相談しても実際に力になってくれる人は少なかった。怖いと感じる中でも声を上げる勇気を持ち、なるべく多くの人に相談することでまずは力になってくれる、安心できる人を見つけることが大切だと思いました」と話しています。

現役教員「業務繁忙 いじめ対応難しい」

学校現場では業務が忙しいことなどからいじめへの対応が難しくなってきていると話す教員もいます。

関東地方の公立中学校で生徒指導を担当している教員は、これまで勤務した複数の学校で主導的な立場でいじめの対応にあたってきました。

多くのケースを解決に導いた一方、年々、教員の業務が増え、忙しくなっているため、学校現場だけでは対応が難しくなってきていると打ち明けます。

この教員は「求められる役割が増える中で生徒に目を向ける時間がなかなかとれないのが現状で、学校だけでいじめに対応するのはかなり負担が大きいと感じる。このまま仕事が増え続けるといじめを発見できないばかりか大きな問題が起きても対応できなくなってしまうおそれがある」と話します。

さらに教員によってはいじめに対応するノウハウや経験が不足していることも大きな問題だといいます。

生徒どうしの言い分が食い違い事実関係の確認に時間がかかるなど対応が難しいケースが少なくないからです。

この教員は「子どもへのことばのかけ方や保護者への連絡のしかたを少し間違えただけで、うまく伝わらずにこじれてしまうこともあり、経験の浅い先生に対応してもらうのは難しいと感じる。さらに、この数年でいじめの対応の方法も大きく変わる中で、ベテランの先生の指導も必ずしも時代にあわなくなってきている」と話します。

そのうえで、「子どもたちに大人を信頼し、相談してもらえるような環境を作るためにもどうすれば子どもが話しやすくなるのか、真剣に考えていかなくてはいけない。いじめ問題は学校で対応できるのがいちばんだと思うが、うまくいかない場合は子どもに寄り添う形で、学校側と保護者側、双方に中立的に対応に協力してくれる存在があればありがたい」と話していました。

毎日 24時間相談の窓口は

NPO法人「プロテクトチルドレン」では毎日24時間相談を受け付けているということです。

電話などの相談窓口は、「プロテクトチルドレン」のホームページを参照してください。