「移動中は車を意識し緊張」88% 大津園児事故3年アンケート

滋賀県大津市で散歩中の保育園児の列に車が突っ込み、園児ら16人が死傷した事故から8日で3年となるのを前に、事故現場で6日警察が献花を行い、ドライバーに安全運転を呼びかけました。

NHKが大津市内すべての保育施設を対象に行ったアンケートでは、多くの園が付き添いを増やすなどの安全対策を講じる一方、今も不安を感じながら散歩を続けている実態が明らかになりました。

3年前の5月8日、大津市の交差点で、直進していた車が右折車と衝突したはずみで歩道に突っ込み、散歩をしていた園児2人が亡くなり、保育士を含む14人が重軽傷を負いました。

この事故で、右折車のドライバーは安全を確認しないまま曲がろうとして事故を引き起こしたとして過失運転致死傷などの罪で禁錮4年6か月の実刑判決がおととし確定しています。

8日で事故から3年になるのを前に現場には6日、警察官などおよそ20人が集まり、発生時刻の少し前の午前10時すぎに黙とうし、花を手向けて亡くなった園児を悼みました。

このあと現場では「子どもを守ろう」と記されたプレートを持った警察官らが道路脇に立ち、安全運転の啓発が行われました。

大津警察署の時田保徳署長は「市内で発生した痛ましい事故から3年が経過する中、決して風化させないため官民一体となって交通事故を減らすための取り組みを続けたい」と話していました。

大けがを負った女の子の父親「事故のこと知っていてほしい」

当時3歳で骨盤などを折る大けがをして、2か月半の入院を余儀なくされた女の子の父親が事故を風化させたくないと、リモートインタビューに応じました。

6歳になった娘について「後遺症の心配は今のところはないが、今後も10年くらいは定期的な通院が必要で、激しく運動したあとなどに骨折した左足が痛くなることがある」と話しました。

そして、事故から3年たつことについて「時がたつにつれて記憶も薄れていくと思うが、この事故のことを知っているだけでも事故の抑止になると思うので、1人でも多くのドライバーに知っていてほしい。ちょっと気をつけるだけでも事故は防げると思うので、何が事故につながるのかは誰にも分からないと意識して、安全運転を心がけてほしい」と事故の風化を危惧するとともに、ドライバーの安全運転に対する意識の向上を訴えていました。

保育施設では今も不安を感じながら散歩を続ける

NHKは、事故の後の散歩の実態を探ろうと大津市内の保育施設152園を対象にアンケートを行い、120園から回答を得ました。

この中で、事故をきっかけに行っている安全対策について選択式でたずねたところ「散歩の付き添いを増やしている」と答えた園が全体の70%に上りました。

一方、自由記述欄では、人手が確保できないときは散歩を中止したり、回数を減らしたりしているといった回答も寄せられ、一部の園では慢性的な保育士不足が散歩に影響している実態が明らかになりました。

また、散歩の際の不安などをたずねた設問では「移動中は車を意識し緊張している」という園が88%、「いまの道路環境では車に突っ込まれれば完全に防ぐことはできない」という園が75%に上り、今も不安を感じながら散歩を続けている実態が明らかになりました。

アンケートでは最後に、散歩の安全を確保するため社会に求めたいことをたずねたところ、最も多かったのが「ドライバーの安全運転への自覚」で83%の園が挙げました。

事故から3年がたつ今、小さな命を守るために改めてハンドルを握る私たち大人の心がけが問われています。

大津市の保育施設アンケートの詳細

NHKが行ったアンケート結果の詳細です。(152園対象120園回答)

▼「園児事故をきっかけに行っている安全対策を教えてください」(複数回答、多い順)

▽「散歩の付き添いを増やしている」70%(84園)
▽「園独自の安全マニュアルを運用している」68%(82園)
▽「安全対策のグッズを導入している」68%(81園)
▽「散歩の内容を見直した」65%(78園)
▽「警察に散歩コースなどについて安全指導を受けている」62%(74園)▽「安全対策の研修を行っている」57%(68園)
▽「警察が配布した安全マニュアルを運用している」43%(51園)
▽「一時的に安全対策を行った」8%(10園)
▽「散歩の際、地域の見守りが続いている」7%(8園)

▼「園児の散歩の際の不安や課題、感じていること」(複数回答、多い順)

▽「移動中は車を意識し緊張している」が88%(105園)
▽「いまの道路環境では車に突っ込まれれば完全に防ぐことはできない」75%(90園)
▽「防護柵やガードレールなどの車止めが少ない」63%(75園)
▽「安全確保が難しい」33%(39園)
▽「警察や行政の対策は不十分」23%(27園)
▽「散歩の代替案を探し続けている」13%(15園)
▽「散歩コースのどこに危険があるかわかりにくい」7%(8園)
▽「安全確保を求める保護者との間で板挟みになる」4%(5園)
▽「散歩を取りやめたい」0%(0園)

▼「散歩の安全を確保するために社会に求めたいこと」(複数回答、多い順)

▽「ドライバーへの安全運転への自覚」83%(100園)
▽「道路への防護柵やガードレールなどの増設」68%(81園)
▽「道路と歩道の完全な分離」63%(76園)
▽「キッズゾーンなどドライバーへの視覚的な注意喚起の増設」49%(59園)
▽「保育士の増員」が41%(49園)
▽「園への警察の定期的な安全指導、アドバイス」38%(46園)
▽「散歩の際の地域の見守り」28%(33園)
▽「通行禁止などの交通規制」14%(17園)
▽「自動運転社会の実現」8%(10園)