ドイツ LNG調達に必要な船を借りる契約調印 脱ロシア依存へ

ドイツ政府は、ロシア産の天然ガスに代わるLNG=液化天然ガスの調達に必要な特殊な船を借りる契約を民間の企業と初めて結びました。
ロシアのエネルギーに依存する現状からの脱却に向けて一歩踏み出した形です。

ドイツのエネルギー政策を担当するハーベック経済・気候保護相は5日、北西部の港を訪れ、ドイツ企業などとの間でLNGの調達に必要な特殊な船4隻を借りる契約に調印しました。

この船は、港に浮かんで陸上の受け入れ基地と同じように機能し、タンカーからLNGを受け取りパイプラインにガスを供給します。

ドイツは、ウクライナへの軍事侵攻前に輸入するガスの55%をロシア産が占めていて、今後、中東などからのLNGで代替しようとしていますが、受け入れに必要な基地を国内に持っていません。
陸上の基地の建設は数年がかりとなることから政府が特殊な船の確保を進めていたもので、4隻のうち最も早いものはことし年末にも稼働を始めるということです。

また、5日はこの船とパイプラインを結ぶための工事も港で始まり、関係者が船の上から視察しました。

視察を終えたハーベック経済・気候保護相は「外交や安全保障などさまざまな政策を縛りつけていたものから自由になれる」と述べ、ロシアのエネルギーに依存する現状からの脱却の意義を強調しました。

ポーランド リトアニアからのガスパイプラインが開通

ロシアのエネルギーに依存する現状から脱却に向けた取り組みがヨーロッパ各国で進む中、ロシアからの天然ガスの供給が止まったポーランドに、隣国のリトアニアからガスを送るパイプラインが開通し、5日、リトアニア側の起点で開通式が行われました。

式には、ポーランドのドゥダ大統領やリトアニアのナウセーダ大統領らが出席し、全長500キロ余りにわたるパイプラインを開通させる大きなボタンを押して開通を祝いました。

ロシアのガスをめぐっては先月下旬ロシア最大の政府系ガス会社ガスプロムが、ポーランドとブルガリアへの供給を完全に停止したと発表し、影響が懸念されていました。

今回開通したパイプラインはロシアによるウクライナへの軍事侵攻の前から建設されてきましたが、ドゥダ大統領は「おかげでロシアからのガスの供給停止の通告にも冷静に対応し、恐喝もされずにいる」と述べ、重要性を強調しました。

パイプラインの運営会社によりますと、開通によりポーランドとバルト3国、そしてフィンランドがパイプラインで結ばれるということです。

式典にかけつけた、EU=ヨーロッパ連合でエネルギーを担当するシムソン委員は「さらなる安全装置になる」と述べ、ロシアへの依存から脱却するためEU域内で供給網が広がることに期待を示しました。