マリウポリ製鉄所からの避難「戦闘停止が必要」ICRC代表

ウクライナ東部、マリウポリの製鉄所からの市民の避難を支援するICRC=赤十字国際委員会の現地代表が、NHKのインタビューに応じ、戦闘が止まった限られた時間に市民を断続的に救出している厳しい現状を明らかにし「避難を続けるためには紛争当事者が、その時間は戦闘を停止すると合意することが必要だ」と訴えました。

首都キーウで5日、NHKの単独インタビューに応じたICRCのウクライナ代表部のパスカル・フント首席代表は、国連などと共に支援にあたっているマリウポリの製鉄所からの市民の避難について、ロシア側とウクライナ側が毎日、その日になって、戦闘を停止するかどうか合意する形になっていると説明しました。

そして「避難を行うためには、何よりも、その時間は、紛争当事者が戦闘を停止すると合意する必要がある。停戦が何時から始まり何時までなのか合意してもらう必要がある」と述べ、戦闘が止まった限られた時間に市民を断続的に救出している厳しい現状を明らかにしました。

さらにフント首席代表は「製鉄所の周囲だけではなく、マリウポリから市民が逃れるザポリージャまでのおよそ200キロの区間についても、戦闘を停止すると合意されなければならない」と述べ、より広い範囲で戦闘を停止することが不可欠だと訴えました。

フント首席代表は「すでに避難した人々に話を聞くと、製鉄所の地下では、少しの食べ物と水しかなく、電気はないということだ。その中で最も大きな困難は『このまま生き埋めになるのではないか』という恐怖を感じ続けたことだと話している。今も残っている可能性がある市民についても、より多くの人を地獄のような状況から救出できることを願っている」と述べました。