EU “ロシアからの石油輸入 年内に禁止” 一部加盟国から懸念

EU=ヨーロッパ連合はウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアへの追加の制裁として年内に石油の輸入を禁止する方針を発表しましたが、一部の加盟国からは懸念の声が上がっており実施までには難しい調整が求められそうです。

EUの執行機関、ヨーロッパ委員会は4日、ロシアに対する追加の制裁案を発表しロシアからの石油の輸入を年内に禁止することが盛り込まれました。

外交筋によりますと、4日に開かれた加盟国の大使級の会合では制裁案への支持が表明された一方で、一部の国からは石油の輸入禁止について懸念も示されたということです。

チェコのフィアラ首相は記者会見で年内に輸入を禁止することは難しいとしたうえで「実施を遅らせることができるなら支持する用意がある」と述べ、ほかの調達先から石油を確保するため2年から3年の猶予期間を求める考えを示しました。

またハンガリーのシーヤールトー外相はフェイスブックに投稿した動画で「今の形では制裁案を支持できない」と述べ、ロシアからパイプラインで運ばれる石油は輸入禁止の対象から除外するべきだと主張しました。

制裁の実施にはすべての加盟国の同意が必要でEUでは協議を続けることにしていますが、実施までには難しい調整が求められそうです。

萩生田経済産業相「しばらく様子を見たい」

EUがロシア産の石油の輸入を禁止する方針を発表したことについて、ワシントンを訪問中の萩生田経済産業大臣は記者団に対し「日本としても石炭の輸入を減らしていこうと決めているし、将来的には、天然ガスも石油もロシア依存を下げていくという大きな方向を示しているが、EUの発表内容については詳しく承知していないので、しばらく様子を見たい」と述べるにとどめました。

また、これに関連してアメリカのバイデン大統領がG7=主要7か国の首脳とロシアへのさらなる制裁について今週、協議することを明らかにしたことについて「G7の一員である日本としては方向性は共有したい。ただ、石油の問題を直ちに言われても日本の場合、資源に限界があるので直ちに足並みをそろえてやるのは難しい部分もある」と述べました。