ロシア軍 9日の「戦勝記念日」前に東部で攻勢強める

ウクライナへ侵攻を続けるロシア軍はウクライナ東部で支配地域を広げていると主張するなど、プーチン大統領が重視する9日の「戦勝記念日」を前に東部で攻勢を強めています。またウクライナ側が武器や弾薬を前線に運ぶ鉄道施設も攻撃の標的にしていて、欧米からの軍事支援に対してけん制を強めています。

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は4日、東部ハルキウ州イジュームやルハンシク州などでウクライナ軍の無人機を撃墜したと発表するなど、東部を中心に攻勢を強めています。

ロシアのショイグ国防相は4日に行われた会議で東部のルハンシク州とドネツク州で支配地域を広げていると戦果を強調し、要衝マリウポリについてはすでにロシア側が掌握し平和な市民生活が確立されていると主張しました。

そのうえで「最高司令官の命令に従いマリウポリのアゾフスターリ製鉄所の一帯にまだ残っている戦闘員を強固に封鎖している」と述べ、プーチン大統領の命令のもと製鉄所の包囲を続けているという考えを示しています。

これに対し4日、ウクライナ国防省の報道官はマリウポリの製鉄所について「周期的に砲撃や空爆が続けられている」として、今もロシア軍からの攻撃が行われているという認識を示しました。

そのうえで「ロシア軍はウクライナ東部への攻勢を強めようとしている」と述べ、ロシアがさらなる攻撃のため軍の再編成や強化を進めていると分析し警戒を強めています。

またイギリス国防省も「ロシア軍はハルキウ州のイジューム近郊に22の部隊を配備し、東部ドンバス地域の北側から前進しようとしている」という分析を示し、ロシア軍はイジュームの南にあるドネツク州のクラマトルスクとルハンシク州のセベロドネツクを掌握しようとしているという見方を示しています。

欧米からの軍事支援にけん制強める

さらにロシア国防省は4日、ウクライナ西部のリビウ州、東部ドニプロペトロウシク州など6つの鉄道駅近くの変電所をミサイルで破壊したと発表し、鉄道を通じて前線のウクライナ軍に欧米側から供与された武器や弾薬が運ばれていたと主張しました。

ショイグ国防相も「ウクライナ軍への武器や物資を積んで到着したNATO=北大西洋条約機構の輸送機関はわれわれの合法的な標的となる」と強調し、欧米からの軍事支援に対してけん制を強めています。

ロシアでは第2次世界大戦で旧ソビエトがナチス・ドイツに勝利した今月9日の戦勝記念日が迫っていて、欧米側の支援をけん制しながら東部の支配地域を拡大しようとしているものとみられます。

一方、戦勝記念日に、プーチン大統領がウクライナと「戦争状態にある」と宣言しロシア国民が総動員されるという見方が出ていたことについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「それはない。ばかばかしいことだ」などと否定しています。