ロシア軍 ウクライナ東部で攻勢 ドネツク州で市民21人死亡

ウクライナ東部では、ロシア軍が攻勢を強めていて、3日にはドネツク州で市民21人が死亡しました。欧米側は、ウクライナへの軍事支援をさらに強化する姿勢を鮮明にしていますが、ロシアのプーチン大統領は、欧米側による武器供与をけん制するなど、緊張が続いています。

ロシア国防省は3日、ウクライナ東部のルハンシク州やドネツク州にあるウクライナ軍の地対空ミサイルやアメリカ製のレーダーを攻撃したほか、司令部を含む軍事施設を破壊したと発表し、東部への攻勢を一層、強めています。

ドネツク州のキリレンコ知事は3日、自身のSNSで、ロシア軍の攻撃によって州内で市民21人が死亡したと明らかにしました。

また、西部リビウでは3日夜、市内の3か所の変電所や水道関連の施設にロシア軍のミサイル攻撃があり、2人がけがをしたほか、市内の電力供給に影響が出たと、市長がSNS上で明らかにしました。
こうした中、イギリスのジョンソン首相はロシアによる軍事侵攻以降、外国の首脳としては初めて、ウクライナの議会でオンラインによる演説を行い、日本円でおよそ490億円相当の追加の軍事支援を表明しました。
また、アメリカのバイデン大統領は、ウクライナへの軍事支援の象徴ともなっている対戦車ミサイル「ジャベリン」を生産している南部アラバマ州の工場を視察し、さらなる支援の強化のために議会に求めている330億ドル、日本円でおよそ4兆3000億円に上る大規模な追加予算を承認するよう重ねて呼びかけました。

ロシア軍による攻撃が続く中、欧米側は、ウクライナへの軍事支援をさらに強化する姿勢を鮮明にしています。
こうした動きに対して、プーチン大統領は、3日に行われたフランスのマクロン大統領との電話会談の中で「西側諸国がウクライナへの武器供与を停止することで、残虐行為を阻止できる」と一方的に主張して、欧米側による武器供与をけん制するなど、緊張が続いています。
一方、ロシア軍は3日、東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所への攻撃を再開したと発表し、製鉄所にとどまっているウクライナの「アゾフ大隊」の副司令官は、攻撃で女性2人が死亡、およそ10人がけがをしたとしています。

製鉄所からは、国連などの支援でこれまでに101人の市民が避難したということですが、攻撃が再開されたことで今後の避難の見通しはたっておらず、製鉄所の中に残っているとされる数百人の市民が戦闘に巻き込まれることが懸念されています。