マリウポリ 製鉄所から避難見通せず 欧米 軍事支援強化の構え

ロシア軍が包囲するウクライナ東部のマリウポリでは、製鉄所の中にとどまっている市民の避難が5月3日も計画されていますが、ロシア軍が攻撃を再開したとみられる中、先行きが見通せない状況が続いています。
一方、イギリスなど欧米側は、徹底抗戦するウクライナへの軍事支援をさらに強化する構えです。

ロシア国防省は3日、ウクライナ南部のオデーサ近郊にある軍用飛行場の施設をミサイルで攻撃し、欧米などから供与されたとする武器や弾薬、無人機を破壊したと明らかにするなど、ウクライナの東部や南部でミサイル攻撃を続けています。

一方、ロシア軍に包囲されている東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所では、中にとどまっている市民のうち、およそ100人が5月1日に避難したのに続いて、2日もさらなる避難が行われるとされていました。

しかしロシア軍への抗戦を続けるウクライナの「アゾフ大隊」の副司令官は2日、製鉄所の中におよそ20人の子どものほか、女性や高齢者を含む数百人がいると明らかにしたうえで「1日から2日にかけて艦隊などからの砲撃があり、2日も一日中、航空機が爆弾を落としている」と述べました。

ウクライナのゼレンスキー大統領は2日「避難の計画は続いていて、あすはベルジャンシクなどからの人道回廊も計画されている」と述べ、市民の避難が3日も計画されていると説明しましたが、クレバ外相は「すべてがぜい弱で、いつ崩壊してもおかしくない」としていて、ロシア軍が攻撃を再開したとみられる中、先行きが見通せない状況が続いています。
一方、OSCE=ヨーロッパ安全保障協力機構を担当するアメリカのカーペンター大使は2日の記者会見で、マリウポリやその周辺にロシア側が設置した4つの収容所があるなどの情報が寄せられていて、子どもや高齢者を含む住民が強制的に連行されている可能性があるとして懸念を示しました。
こうした中、イギリスのジョンソン首相は3日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって以来、外国の首脳として初めて、ウクライナ議会でオンラインによる演説を行います。

ジョンソン首相は、3億ポンド、日本円でおよそ490億円相当の軍事支援を表明するほか、ウクライナ政府から要望があった物資を運ぶための無人機や、市民の避難などに使われる特別仕様の車両を近く提供することを明らかにする予定です。

ロシア軍はウクライナ東部2州の完全掌握などをねらって戦闘を続けていますが、欧米側は徹底抗戦するウクライナへの軍事支援をさらに強化する構えで、戦闘が長期化する可能性が指摘されています。