ウクライナ “ロシア軍が攻撃再開” さらに避難進むか見通せず

ウクライナでは5月1日、ロシア軍が包囲する東部マリウポリの製鉄所から、およそ100人の市民が避難しました。避難は2日も行われる予定だとされていましたが、ウクライナ側は、初日の避難が行われたあとロシア軍が攻撃を再開したと主張していて、さらなる避難が順調に進むのか見通せない状況が続いています。

ロシア軍がウクライナ東部2州の完全掌握に向け攻勢を強める中、アメリカ国防総省の高官は2日、東部ハルキウ州のイジュームの東側などでロシア軍の前進はわずかにとどまっているという分析を明らかにしました。

ロシア軍に対するウクライナ側の抵抗も続いていて、ハルキウの周辺に展開していたロシア軍の部隊が東におよそ40キロの地点まで押し返されたとしています。

ただ、この高官は、マリウポリなど東部で現在も空爆が行われていると指摘していて、引き続き一進一退の攻防が続いているものとみられます。

さらに南部のオデーサでも2日、ミサイル攻撃があり、ウクライナのゼレンスキー大統領は、寮が破壊されて、14歳の少年が死亡し、17歳の少女がけがをしたと明らかにしました。

一方、ロシア軍に包囲されたマリウポリのアゾフスターリ製鉄所にとどまっていた市民のうち、およそ100人が1日、製鉄所から避難し、ウクライナ軍は2日、一行が南東部のザポリージャに到着したと明らかにしました。

製鉄所からの避難は2日も行われる予定だとされていましたが、マリウポリでロシア軍と抗戦を続けている部隊の担当者は1日、地元テレビ局のインタビューに対し「製鉄所から最初の市民が避難し終わると、ロシア軍は、あらゆる武器を使って攻撃を再開した」と述べました。
2日に撮影された映像では、製鉄所から黒い煙が立ち上り、何かが爆発するような音が一帯に鳴り響いている様子が確認できます。

また、ICRC=赤十字国際委員会はNHKの取材に対し「現段階で進展があったかどうかについて言えない」などとしていて、2日も避難が行われたのかはわかっていません。

ウクライナのクレバ外相は2日、記者会見で、製鉄所からの避難について「すべてがぜい弱で、いつ崩壊してもおかしくない」と述べていて、さらなる避難が順調に進むのか見通せない状況が続いています。