【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(5月2日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる5月2日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

住民1人が死亡した キーウ中心部の集合住宅は

ウクライナの首都キーウでは先月28日、国連のグテーレス事務総長が訪問してゼレンスキー大統領と会談した際、その直後にロシア軍による複数のミサイル攻撃がありました。NHKは2日にこの攻撃で住民1人が死亡したキーウ中心部の住宅街にある集合住宅を取材しました。

22階建ての建物は1階から3階までの外壁が崩れ、鉄筋がむき出しになっているほか、多くの部屋の窓ガラスが割れています。集合住宅は現在立ち入りが禁止されていて、住民や近所の人が心配そうな様子で見ていました。

15階に自宅がある歯科医のイーホル・バラネイチャさんは(25歳)「ひどいできごとで、ショックを受けています。攻撃があった時は、別の場所にある両親の家にいて無事でしたが、こんなことが、私たちの国の首都の中心部で起きるなどあってはならないことです。ここは軍事施設でもありません」と話していました。

“100人以上のマリウポリ市民 南東部のザポリージャ到着”

ウクライナ軍は2日、東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所を5月1日に出発した子どもや女性など100人以上の市民が南東部のザポリージャに到着したとSNSの投稿で明らかにしました。
SNSには写真も投稿され、市民が乗ってきたとみられるバスや、到着した市民などの様子が写されています。

マリウポリの製鉄所社長「けが人の避難を最優先に」と訴え

アゾフスターリ製鉄所のツキティシュビリ社長は日本時間の2日夜にオンラインでNHKのインタビューに応じ、現在首都キーウから状況の把握に努めているとしたうえで、5月1日に第1陣として製鉄所を出発した市民はおよそ120人で、生後6か月から6歳までの子どもたちおよそ20人が含まれていたことを明らかにしました。
そして「人道回廊が機能したことはゼレンスキー大統領や各国のリーダーなどの働きかけの成果だ」として感謝の意を示しました。

一方でツキティシュビリ社長は「製鉄所には爆撃でけがをした人がたくさんいて、手足を失った人もいますが救急車を製鉄所に向かわせることをロシア側が拒否しました。薬も足りないため、けがをしている人たちの避難を最優先にしてほしい。彼らが遺体となって製鉄所から運び出される悲劇が起きないよう、努力をすべきだ」と述べて、けが人を一刻も早く避難させるべきだと訴えました。

ウクライナ軍「製鉄所から市民避難直後にロシア軍が攻撃再開」

東部の要衝マリウポリのアゾフスターリ製鉄所から市民の避難が始まる中、マリウポリでロシア軍と抗戦を続けている部隊の担当者は1日、現地テレビ局とのインタビューに対し「製鉄所にはまだ子ども20人を含む、数百人の市民がいると推定される」と述べました。

そして「製鉄所から最初の市民が避難し終わると、ロシア軍はあらゆる武器を使って攻撃を再開した」と述べました。

また、マリウポリ市長の側近は、ロシア軍が製鉄所を再び攻撃したことについて、SNSに「近くに暮らす市民の住宅が揺れるぐらいの規模で、精神的にも影響を与えるほどだ」と投稿しています。

ウクライナ軍の副司令官「製鉄所からの避難 続くことを望む」

ウクライナ東部の要衝マリウポリにあるアゾフスターリ製鉄所から市民の避難が始まったとゼレンスキー大統領が明らかにする中、ロシア軍と抗戦を続けるウクライナの「アゾフ大隊」の副司令官が1日、AP通信のインタビューに応じ「避難が続くことを望んでいます。製鉄所にはけがをした兵士が残されているほか、高齢者や女性、子どもたちも多くいます」と述べてほかの人たちの避難についても進めてほしいと訴えました。

ウクライナ検察 ロシア軍による戦争犯罪9000件超

ウクライナの検察当局は、軍事侵攻を続けるロシア軍による戦争犯罪が、5月2日の時点で9247件に上り、捜査をしていると発表しました。

また、これまでにロシア軍の幹部や政治家など621人の容疑者を特定したとしています。

ウクライナのベネディクトワ検事総長は1日、ウクライナメディアの取材に対し「ロシア軍から解放されたキーウ州、スムイ州、チェルニヒウ州において裁判へのプロセスに着手しており、 このうちキーウ州では15人を拷問や性暴力、略奪の罪で裁判にかけることにしている。またチョルノービリ原発の占拠に関する訴追も始まっている」として、ロシアの戦争犯罪に関して責任を追及する姿勢を強調しました。

米紙「ロシア軍トップの総長 戦闘の最前線を極秘訪問」

1日付けのアメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは、ウクライナ政府高官らの話として、ロシア軍の制服組トップのゲラシモフ参謀総長が、先週後半、戦況をばん回するために戦闘の最前線であるウクライナ東部を極秘に訪れていたと伝えました。

それによりますと、ゲラシモフ参謀総長は、先週、数日間にわたってウクライナ東部に滞在し、4月30日にはハルキウ州イジュームの、ロシア軍が拠点としている学校を訪れたということです。

この情報を入手したウクライナ軍が、30日夜に学校に攻撃を加え、指揮官1人を含むおよそ200人を殺害したものの、ゲラシモフ参謀総長はすでに帰国のため出発したあとだったとしています。

ゲラシモフ参謀総長は、ロシアのプーチン大統領の側近で、ニューヨーク・タイムズは、軍の最高幹部が戦闘の最前線に入るのは極めて異例だと伝えています。

ウクライナ軍「製鉄所から避難する市民」映像公開

ウクライナの東部マリウポリでロシア軍と抗戦を続ける「アゾフ大隊」は1日、拠点としている製鉄所から市民が避難する様子だという映像を公開しました。

映像では、多くの人たちがはしごを伝って地下から地上に出てくる様子や製鉄所の敷地内とみられるがれきの中を歩く様子が撮影されています。

バスの中には生後6か月になったばかりだという赤ちゃんの姿もあり、一緒にいた女性は「2か月もの間、待っていました」と話していました。

また別の女性は「大人は耐えることができていましたが子どもたちはいつも食べ物を欲しがっていました」と食料不足だった状況について話していました。

その後、映像では、人々が乗り込んだバスが荒廃した町の中を移動する様子や国連やICRC=赤十字国際委員会のスタッフであることを示す服装をした人たちがバスから降りる人たちを出迎える様子も確認できます。

ウクライナ東部でロシアによる攻撃 7人死亡

ウクライナ東部のドネツク州とハルキウ州では1日、ロシア軍による攻撃で合わせて7人が死亡したと、それぞれの州知事が、SNSへの投稿で明らかにしました。

このうち、ドネツク州のキリレンコ知事の発表によりますと、州北部でロシア軍による攻撃があり、市民4人が死亡、11人がけがをしたということです。

また、ハルキウ州のシネグボフ知事の発表では、住宅地がロシア軍の攻撃を受け、3人が死亡、8人がけがをしたとしていて、市民に対し避難所にとどまるよう呼びかけています。

ゼレンスキー大統領「停戦 はじめて実現」市民100人超避難

ウクライナのゼレンスキー大統領は、1日に公開した動画で「ついにアゾフスターリ製鉄所から人々の避難を開始することができた。戦争において、この重要な回廊がはじめて機能し始めている。2日間にわたる停戦がこの地域ではじめて実現した」と述べました。

そのうえで「すでに100人を超える市民が避難した。手順の煩雑さを考えると、最初の避難者はザポリージャにあすの朝、到着するだろう。われわれのチームはそこで彼らと合流する」と明らかにし引き続き、市民の避難に尽力する姿勢を示しました。

ロシア メーデー集会 参加者が軍事侵攻支持を強調

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、メーデーの1日、ロシア各地で労働組合による集会が開かれました。

このうち、首都モスクワの中心部では、参加者らがロシア国旗や軍事侵攻を支持するシンボルとなっている「Z」のマークが記された旗などを車に掲げ、プーチン大統領への支持を訴えていました。

参加した男性の1人は「労働組合は、軍事作戦を決断した大統領と政府を支持していることを行動で示す」と強調していました。

ウクライナ 燃料不足広がる キーウ近郊で給油待ちの列

ウクライナでは、ガソリンなどの燃料不足が広がっていて、ガソリンスタンドでは給油待ちの車の長い列ができるなど、戦時下の市民の暮らしにとって深刻な課題となっています。背景には、4月下旬、ウクライナ中部にある国内最大規模の石油精製施設が、ロシア軍のミサイル攻撃を受けて稼働を停止したことや、ヨーロッパから輸入される燃料の価格高騰などがあるとみられています。
首都キーウ近郊の複数のガソリンスタンドでは、給油待ちの車の長い列ができていて、中にはガソリンなどの燃料が販売されていないことを表示する案内板を掲げているところもありました。

給油待ちをしていた男性は「ロシアが石油の精製施設を攻撃したため、燃料が不足しています。500キロ以上離れた遠い外国からガソリンを運んでこないといけません」と話していました。

ロシア 軍事侵攻「支持」7ポイント減 独立系の世論調査機関

ウクライナへの軍事侵攻について、ロシア国内で「支持する」と答えた人は74%となり、3月と比べて7ポイント減ったと独立系の世論調査機関が発表し、戦闘の長期化がロシアの世論に影響を及ぼし始めていることをうかがわせています。

ロシアの民間の世論調査機関「レバダセンター」は、4月21日から27日にかけて、ロシア国内の18歳以上の1600人余りに対面方式で調査を行いました。

それによりますと
▽「軍事作戦を支持する」と答えた人は74%で、前の月と比べて7ポイント減った一方
▽「支持しない」と答えた人は19%と5ポイント増えました。

また「軍事作戦は成功しているか」という質問に対し
▽「非常に成功」▽「おおむね成功」と答えた人は、合わせて68%だった一方
▽「どちらかといえば失敗」は12%
▽「完全に失敗」は5%となり、
情報統制が強まる中でも「失敗」と答えた人が合わせて17%に上りました。

ゼレンスキー大統領 製鉄所から市民の避難開始と明らかに

ウクライナのゼレンスキー大統領は、1日、自身のツイッターで、東部の要衝マリウポリのアゾフスターリ製鉄所から市民の避難が始まったことを明らかにしました。
第1陣のおよそ100人がすでに出発し、2日、南東部のザポリージャでウクライナ側の担当者と合流する予定だということです。

ロシア国防省「プーチン大統領主導 市民80人が解放された」

ロシア国防省は1日「プーチン大統領の主導によって、ウクライナの民族主義者に拘束されていた女性や子どもを含む市民80人が、マリウポリにあるアゾフスターリ製鉄所の敷地内から解放された」と発表しました。

また、安全に避難させるための人道回廊を開設し、全員を同じドネツク州内の東部にある村に移したとしたうえで、ウクライナ側に行くことを希望する人は国連や赤十字国際委員会に引き渡されたとしています。

赤十字国際委員会 “国連と協力しながら避難進めている”

ICRC=赤十字国際委員会はNHKの取材に対し、国連などと協力しながら、マリウポリから市民を避難させるための活動が進められていることを明らかにしました。
およそ230キロを車列で移動し、現地時間30日の朝、製鉄所に到着したということです。

ただ、安全上の理由から、現時点では詳細について明らかにできないとしています。

国連報道官「製鉄所の市民の避難 いまも続いている」

ウクライナ国内にいる国連の人道問題調整事務所の報道官は1日、NHKの取材に対し「マリウポリの製鉄所に取り残されていた市民の避難は30日から始まり、いまも続いている。避難を継続して進め市民の安全を守るために、詳しいことは明らかにできない」と話し、国連や赤十字国際委員会とウクライナ、ロシアの当局が連絡をとりながら、マリウポリの製鉄所からの市民の避難を進めていることを明らかにしました。