知床 観光船沈没事故 水中カメラ備えた無人機で捜索続く

北海道の知床半島沖で観光船が沈没し14人が死亡、12人が行方不明になった事故で、第1管区海上保安本部などは、30日に続き、沈没した船体の中に取り残された人がいないか水中カメラを備えた無人機を使って捜索を続けています。

4月23日、北海道の知床半島の沖合で乗客・乗員26人を乗せた観光船「KAZU 1」(19トン)が沈没した事故は、これまでに乗客14人が死亡、12人が行方不明になっています。

第1管区海上保安本部と海上自衛隊は、「カシュニの滝」付近の海底で沈没しているのが見つかった船体の中に取り残された人がいないか確認するため、水中カメラを備えた無人機を遠隔操作して調べていて、1日は新たに警察の水中カメラも使って海中での捜索が行われています。

30日、後方にある客室のドアが開いているのが確認され、このドアからカメラを入れて船内を捜索できないか検討していますが、午前11時現在、行方不明者や手がかりが見つかったという情報はないということです。
現場周辺の海上は、1日は天候が悪く地元の漁船による捜索は中止となりましたが、海上保安庁などが巡視船や航空機などで行方不明者の捜索を続けています。

家族に補償など 運航会社が説明へ

国土交通省は、乗客の家族への今後の補償について、近く運航会社による説明会を開く方針を明らかにしました。
これは、国土交通省の坂巻健太大臣官房審議官が1日午前、乗客の家族への説明会のあとに明らかにしました。

それによりますと、30日の説明会で、沈没した観光船「KAZU 1」の運航会社に対して家族から、事故による今後の補償や乗客の救出を待つ間の滞在費などについて、対応を求める意見が出たということです。

これを受けて国土交通省は、運航会社が損害保険を契約している保険会社や弁護士らによる乗客の家族への説明会を開くことを決め、近く開催する方針だということです。

坂巻大臣官房審議官は「ご家族からは、運航会社にはもっと早く対応してほしかったが、進展は評価しているという声が聞かれた。国土交通省としては支援を続けてほしいという家族の要望に応えたい」と話していました。

大型観光船が捜索も手がかりなし

北海道の知床半島の沖合で観光船が沈没した事故で、1日午前中、ウトロ港で運航している大型の観光船が行方不明者を捜索しました。

大型観光船の運航会社によりますと、捜索したのは、観光船「KAZU 1」が沈没しているのが見つかった現場に近い「カシュニの滝」から知床岬にかけて沖合10キロから20キロの海域で、1日朝早くから捜索にあたりましたが、途中で波が高くなったため正午前に港に戻りました。

捜索で手がかりにつながるものは見つからなかったということです。

大型観光船を運航する道東観光開発の東海林竜哉営業部長は「行方不明になっている人を少しでも早く見つけて、家族の元に返してあげたい。できるかぎりのことはやりたいと思います」と話していました。

海上保安本部 “通報は乗客の携帯電話から”

事故当日に観光船が行った救助を要請する118番通報について、第1管区海上保安本部は、乗客の携帯電話が使われていたことを明らかにしました。

「KAZU 1」は、事故当日の午後1時18分、海上保安庁への118番通報で「船首が浸水している。エンジンが使えない。救助を頼む」と救助を要請しました。

この通報について、第1管区海上保安本部警備救難部の横内伸明次長は1日午前、記者団に対し、「船長や乗組員の電話番号ではなく、乗客の携帯電話だったと聞いている」と述べ、乗客の携帯電話が通報に使われていたことを明らかにしました。

「KAZU 1」の通信設備については、事故の当日、
▼船の衛星電話が修理中で使えない状態だったほか、
▼事務所の無線のアンテナが故障していて、
▼事故の3日前に行われた船舶検査で、会社側が陸上との通信設備として申請した携帯電話に電波が届かないエリアがあったことがわかっています。

船体引き揚げについて「サルベージ会社と協力していく」

沈没しているのが見つかった「KAZU 1」の船体の引き揚げについて、第1管区海上保安本部警備救難部の横内伸明次長は1日午前の家族説明会のあと記者団に対し、「今はまず行方不明者の捜索を第一に考えてやっていく。船体の状況が引き揚げに耐えられるのかどうかについて、関係機関や専門的な知見を持った方々と相談しながら進めていく」と述べました。

また、現地対策本部長を務める国土交通省の坂巻健太大臣官房審議官は「海上保安庁に引き揚げの能力はなく、民間のサルベージ会社の能力を使うしかないのでそこと協力していく」と述べました。

そのうえで「何をやれるのか政府全体でいろいろな方策を考えている。ご家族の期待に添えるようにしていく」と話していました。