プーチン大統領 戦勝記念日に合わせて “戦争状態” 宣言か

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について「特別軍事作戦」と表現してきたプーチン大統領が、今月9日のロシアの「戦勝記念日」に合わせて「戦争状態だ」と宣言する可能性が指摘されています。ウクライナ軍への支援を強化する欧米側との戦いにもなっていると強調する可能性もあり、戦闘が一層長期化するという見方が広がっています。

ウクライナ東部では激しい戦闘が続いていて、イギリス国防省は先月(4月)30日、「ロシアは、戦力を地理的に集中させて補給経路を短くし、統制しやすくすることでこれまでの課題を修正しようとしている」と分析しています。

ただ「上空からの援護も一貫性を欠くなど、戦力を最大限に生かせていない」として、ロシア軍の苦戦が続いていると指摘しています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は30日、ロシア軍と戦っている国境警備隊の代表らを前に演説し「ロシアの悪はまだ私たちの領土にいる。占領者たちを追い出さなければならない」と述べ、徹底抗戦する姿勢を改めて強調しました。

ウクライナ軍に対して欧米側は軍事支援を強化していて、地元メディアによりますと、ウクライナ大統領府の顧問のアレストビッチ氏が「5月下旬か6月上旬には、必要な数の兵器が供与され、戦場に大きな影響を与え始める」と述べ、今後、反撃に転じるという見方を示したということです。
一方、ロシアのプーチン大統領は、第2次世界大戦で、旧ソビエトがナチス・ドイツに勝利して今月9日で77年となるのを記念して、ウクライナ国内でロシア軍が掌握したと主張している地域などに住む退役軍人を対象に、1万ルーブル、日本円にしておよそ1万8000円を一時的に支給することを決めました。

ロシア国内と同じく「戦勝記念日」を祝う機運を高め、この地域の支配の既成事実化を進めたいねらいがあるものとみられます。

こうした中、イギリスのウォレス国防相は地元ラジオ局の番組で、具体的な情報があるわけではないとしながらも、プーチン大統領が「特別軍事作戦」と表現してきた軍事侵攻について、「戦勝記念日」に合わせて「戦争状態だ」と宣言する可能性があるという見方を示しました。

戦闘は、欧米側との戦いにもなっていると強調することで、国民にロシア軍にも犠牲が出ていることなどへの理解を求める可能性もあり、戦闘が一層長期化するという見方が広がっています。