ウクライナが東部で徹底抗戦 一進一退の攻防続く

ロシア軍が侵攻を続けるウクライナ東部では、ウクライナ側が徹底抗戦していて、ロシア軍の支配地域の拡大が限定的になっているとみられるなど一進一退の攻防が続いています。
ロシア軍は部隊の一部を移動させる動きを見せていて、来月9日の「戦勝記念日」に向け、攻勢を強めるねらいとみられます。

ウクライナへの侵攻を続けるロシアの国防省は29日、巡航ミサイル「カリブル」を発射し、キーウ州や南部オデーサ州などにある鉄道関係の変電所3か所を破壊したと発表しました。

国防省は、黒海から潜水艦が「カリブル」を発射したとも説明していて、ロシアのメディアは、潜水艦からウクライナへの攻撃は初めてとみられると伝えています。
一方、ウクライナ側は徹底抗戦する構えで、ゼレンスキー大統領は29日、首都キーウの宮殿で軍の幹部や戦死した軍人の遺族に勲章などを授与して「ここにいる英雄たちとわれわれの『自由に生きたい』という思いのおかげで闘い続けている」と激励しました。
ウクライナ東部の戦況について、イギリス国防省は29日「ロシア軍は東部のドネツク州とルハンシク州の支配を確保する目的のため、この地域の戦いが戦略的な焦点となり続けている」と指摘する一方「ウクライナ側の強い抵抗で、ロシアの領土獲得は制限され、ロシア軍は多大な犠牲を出している」として、一進一退の攻防が続いていると分析しています。

アメリカ国防総省の高官も29日、ロシア軍は、東部ハルキウ州のイジュームから南に向けて徐々に前進しているものの、ウクライナ側の激しい抵抗に直面しているうえ、前線部隊への物資の補給ルートを維持するため、慎重に進んでいると指摘しました。

そのうえで「彼らの東部での計画は当初の予定より遅れていると考えられる」と述べました。

またこの高官は、ロシア側が東部地域のウクライナ軍に対し北と東と南の3方向から圧力をかけるため、要衝マリウポリに展開していた部隊を北へ移動させているのが確認できるとしました。

ロシア軍としては、苦戦を強いられる中、部隊の一部を移動させ、来月9日のナチス・ドイツに対する「戦勝記念日」に向けて攻勢を強めるねらいがあるとみられます。