国連事務総長 “マリウポリ 取り残された市民の避難に全力”

ロシアによる軍事侵攻が始まってから初めてウクライナを訪れている国連のグテーレス事務総長は、ゼレンスキー大統領と会談し「ロシアによる侵略は明らかな国連憲章違反だ」と厳しく非難したうえで、東部マリウポリに取り残されているとみられる市民の避難に向け国連として全力を尽くす姿勢を強調しました。

ロシアに続いてウクライナを訪れている国連のグテーレス事務総長は28日、ロシア軍の激しい攻撃にさらされた首都キーウ近郊を視察したあとゼレンスキー大統領と会談しました。

会談後の共同の記者会見でグテーレス事務総長は「ロシアによる侵略は他国の領土の侵害で明らかな国連憲章違反だ」と改めて軍事侵攻を厳しく非難しました。

そのうえで「国連の安全保障理事会は侵攻を止めることができず失望している。自分には安保理を変える力はないが、その失敗を乗り越えるためあらゆる努力をする」と述べ、国内外に避難している人への人道支援や多くの市民が殺害され戦争犯罪に当たると指摘されていることについて真相究明を進める姿勢を示しました。

またロシア側と合意した東部のマリウポリで取り残されているとみられる市民の避難への国連の関与について「人々を救出するため全力を尽くしている」と強調したものの、具体的な方法や日程などは一切明らかにしませんでした。
一方のゼレンスキー大統領は「事務総長が現場を視察した民間人の虐殺について国連の調査に期待したい」と述べたうえで、ロシアが一部の州の占領を正当化するために住民投票を実施する懸念が出ていることについて「断じて受け入れられない」と強く反発しました。

事務総長訪問のキーウで2回の爆発音

グテーレス事務総長が訪れているウクライナの首都キーウで28日夜、2回にわたって爆発音が響き渡りました。

これについてキーウのクリチコ市長はSNSで「キーウのシェフチェンキウスキ地区にロシア軍のミサイル2発が撃ち込まれ、集合住宅付近に着弾した。救助活動が進められ、これまでに3人が病院に運ばれた」と投稿しました。

グテーレス事務総長は今週、モスクワでプーチン大統領と会談したあと軍事侵攻後初めてウクライナを訪れていて、28日には多くの民間人が犠牲になったキーウ近郊を視察したほか、キーウでゼレンスキー大統領と会談して「ロシアによる侵略は明らかな国連憲章違反だ」とロシアを厳しく非難していました。

この影響でグテーレス事務総長はウクライナ政府の建物に数時間にわたって足止めされました。

グテーレス事務総長はその後、イギリスBBCの番組に出演し「私が訪れているキーウに2発のミサイルが着弾したと聞いてショックを受けている。私たちは絶対にこの戦争を終わらせる必要がある」と述べました。