日独首脳会談 ロシアによるウクライナ侵攻 “きぜんと対応”

岸田総理大臣は28日夜、G7=主要7か国の議長国、ドイツのショルツ首相と首脳会談を行い、G7をはじめとする国際社会がロシアによる軍事侵攻にきぜんと対応しウクライナを全力で支えることが両国共通の責務だという認識で一致しました。
また両首脳が参加する政府間協議を新たに立ち上げ、来年の開催を目指すことで合意しました。

岸田総理大臣は就任後初めて日本を訪れているドイツのショルツ首相と午後6時半すぎから1時間余り、総理大臣官邸で首脳会談を行いました。

冒頭、岸田総理大臣は「ロシアによるウクライナ侵略は国際社会の秩序の根幹を揺るがすものだ。日本は各国と連携、協調し、強力な対ロ制裁を実施するとともにウクライナへの支援を強化していく。ヨーロッパとインド太平洋の安全保障を切り離すことはできず、力による現状変更はどこであっても断じて許されない」と述べました。
これに対しショルツ首相は「ロシアによる侵攻は領土への侵害であり受け入れられない。世界の民主主義国家は緊密に連携しておりG7各国がどのようなメッセージを発信していくかが非常に重要だ」と述べました。

会談で両首脳はG7をはじめとする国際社会がロシアによる軍事侵攻にきぜんと対応することが重要だという認識を共有するとともに、ウクライナ政府と国民を全力で支えていくことが両国共通の責務だという認識で一致しました。

そしてショルツ首相が帰国する際、日本の国民から駐日ウクライナ大使館に寄せられたおむつや生理用品などの日用品をドイツの政府専用機で輸送することを確認しました。

また普遍的価値をもとに国際社会をけん引するG7の重要性がかつてないほど高まっているとして、議長国ドイツと、来年その立場を引き継ぐ日本の両国で緊密に連携していく方針を確認しました。

さらに岸田総理大臣は「ドイツが近年インド太平洋地域への関心と関与を強めていることを歓迎する」と述べ、外務・防衛の閣僚協議、いわゆる「2プラス2」の早期開催を含め自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、引き続き緊密に協力していくことを確認しました。
そして両首脳が参加する政府間協議を新たに立ち上げ、来年の開催を目指すことで合意しました。

さらに両首脳は地域情勢をめぐっても意見を交わし、中国を念頭に東シナ海や南シナ海での力を背景とした一方的な現状変更の試みに強く反対することで一致するとともに、香港情勢や新疆ウイグル自治区の人権状況について深刻な懸念を共有しました。
岸田総理大臣は共同記者会見で「ことしと来年のG7の議長国である両国が緊密に連携し国際社会の危機に効果的に対処すべく、G7のかじ取りをしっかりと担っていく決意を新たにした」と述べました。

独首相「インド太平洋地域へ関与強化するシグナルだ」

ドイツのショルツ首相は岸田総理大臣との共同会見で「ドイツと日本の関係の重要性を示す訪問が実現できてうれしい。今回の訪問はドイツとEU=ヨーロッパ連合がインド太平洋地域への関与を強化する政治的なシグナルだ」と述べ、日本との関係を一層強化することでインド太平洋地域への関与を強めていきたい考えを示しました。

そしてG7の議長国の立場からショルツ首相はロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対して日本がG7の参加国と歩調をあわせていることに感謝の意を示し「われわれの共通の関心事はウクライナだ。今ある制裁を確実に実行に移し、さらなる制裁についても緊密に連携していくことで一致した」と述べました。

また「このような難しい局面において共に協力することは非常に重要だ。日本との協力関係を拡大させたい」と述べ、日本との間で新たに政府間協議の場を設け、経済安全保障や気候変動対策などの分野で協力関係を発展させたいという意向を示しました。

さらにショルツ首相は「経済的なつながりを切り離す『デカップリング』に反対することで一致した。われわれは一つの国にサプライチェーンを依存しないためあらゆることをする。これはウクライナ危機で学んだことだ」と述べ、ロシアへのエネルギー依存からの脱却などに向けて連携していくことで一致したことを明らかにしました。