外出制限が続く上海 港の物流停滞する実態 データで浮き彫り

厳しい外出制限が続く中国 上海で、国際的なサプライチェーン=供給網の拠点になっている港の物流が停滞する実態がデータによって明らかになりました。長期化すれば、影響がさらに広がることが懸念されます。

上海港はコンテナの取り扱い量で世界最大の港で、国際的な物流の要になっています。

しかし、上海で続く厳しい外出制限でトラック運転手が不足していることなどから港の作業の稼働率が落ちて貨物船の動きが停滞していると指摘されています。

NHKは今回、衛星データの解析などを行う「IHIジェットサービス」から海や河川を航行する船舶の位置情報のデータの提供を受け、これをもとに貨物船の動きの分析を独自に進めました。

上海で外出制限が始まる前の3月1日の時点では貨物船の動きは活発で、入港のため船が待機する沖合の区域内で確認できた貨物船の数は、一日でおよそ730隻でした。
これに対して、今月16日時点で確認できた貨物船の数はおよそ940隻と3割近く増え、沖合にとどまる船が目に見えて多くなっています。
これについて国際物流に詳しい拓殖大学の松田琢磨教授は「上海の港の機能が低下した結果港から出入りしにくくなって沖合で待つ貨物船がとても多くなっている」と述べて入港できず待機を余儀なくされた貨物船によって混雑している状態だと指摘しました。

そのうえで松田教授は「こうした状態が続くと中国から各地に部品や最終製品が届かず、コロナ禍の物流の混乱を長引かせてしまうのではないか。外出制限が解除されたとしても港に荷物がたまっているので回復には1か月程度はかかるだろう」と話しています。

中国での物流の混乱によって、すでに日本でも一部の企業が工場の一時停止や減産を余儀なくされる事態が起きています。

中国政府は「上海港での船の運航は比較的正常だ」としていますが、国際的なサプライチェーンへの影響が一段と広がることが懸念されます。

倉庫に荷物を配送する人員の不足も

厳しい外出制限の影響で上海にある日系の物流会社も難しい対応を迫られています。

荷物の仕分け作業は倉庫と同じ敷地内にある施設で寝泊まりする従業員しかすることができず、この会社では防護服を身につけた担当者が荷物を消毒して仕分けにあたっていました。

また、倉庫に荷物を配送する人員が不足しています。

外出制限で運転手の確保が難しいことに加え、当局が発行する通行許可証の数が限られているためです。
さらに、荷物を運ぶトラックが港や市外とを行き来する高速道路では渋滞が起きています。

運転手に48時間以内に行ったPCR検査の陰性証明を求めるなど厳格な管理が続いているためです。

会社では上海以外の港や空港を活用したり鉄道輸送に切り替えたりして影響を最小限に抑えるよう努めていますが、仕分けから配送にいたるまでさまざまな業務に影響が出ています。

生産活動が停止していることもあって、日本向けの電子部品などの輸送も遅れているということです。

NX国際物流中国の下小野田恒副社長は「上海に関係する物流は5割から6割ぐらい減っている感じで、日本の消費者や工場の稼働に与える影響も非常に大きくなっている。情報収集して適切な事業継続計画を実行し非常事態を乗り切りたい」と話していました。