そのメール連休中じゃなきゃダメですか?

「仕事の連絡ばかりで休んだ気がしない」
あ、またか。休みなのに、仕事のメールが…
うんざりしますよね。
コロナ禍でオンラインでのやり取りが増える中、休日にも仕事の連絡が届くようになったという声が相次いでいます。
ストレスなく過ごすためにはどうすればいいのでしょうか?
(大阪放送局 西澤友陽 ネットワーク報道部 秋元宏美 芋野達郎)
あ、またか。休みなのに、仕事のメールが…
うんざりしますよね。
コロナ禍でオンラインでのやり取りが増える中、休日にも仕事の連絡が届くようになったという声が相次いでいます。
ストレスなく過ごすためにはどうすればいいのでしょうか?
(大阪放送局 西澤友陽 ネットワーク報道部 秋元宏美 芋野達郎)
メッセージが来るたびに現実に
「休日に業務連絡、本気でうっとうしい」
「休日まで気軽に連絡してくる人がいる」
SNSでは業務時間外の仕事の連絡に対して、憤りの声が相次いでいます。
今の若い人たちはどう思っているのか。渋谷駅前で聞きました。
20代から30代の17人にインタビューすると、13人が「業務時間外に会社から連絡を受けることがある」と話していました。
「別に気にならない」という人もいましたが「不満を感じている」という人が7人と半数以上でした。
その1人、東京都内のシステム開発会社に勤める34歳の男性です。
「休日まで気軽に連絡してくる人がいる」
SNSでは業務時間外の仕事の連絡に対して、憤りの声が相次いでいます。
今の若い人たちはどう思っているのか。渋谷駅前で聞きました。
20代から30代の17人にインタビューすると、13人が「業務時間外に会社から連絡を受けることがある」と話していました。
「別に気にならない」という人もいましたが「不満を感じている」という人が7人と半数以上でした。
その1人、東京都内のシステム開発会社に勤める34歳の男性です。

男性
「気軽にメッセージのやり取りができるようになったせいか、休日でもささいな問い合わせが来ることが増えました。『今、私に聞かなきゃいけないことなの?』といらだつこともしばしばで…」
「気軽にメッセージのやり取りができるようになったせいか、休日でもささいな問い合わせが来ることが増えました。『今、私に聞かなきゃいけないことなの?』といらだつこともしばしばで…」
男性はエンジニアとして働いていて、自分にしかわからない技術的な問い合わせであれば、休日であろうと問い合わせてほしいと考えています。
しかし、調べれば誰でも分かるようなことについて質問してくる上司もいるといいます。
しかし、調べれば誰でも分かるようなことについて質問してくる上司もいるといいます。
男性
「そういうメッセージを見ると『自分で調べてくれ』と思いますし、それができなくても『ほかの人に聞いてくれ』と思います。後輩なんかが誰に聞けばわからず、私に聞いてくるのならしかたないですが、上司なら把握できているでしょうから」
「そういうメッセージを見ると『自分で調べてくれ』と思いますし、それができなくても『ほかの人に聞いてくれ』と思います。後輩なんかが誰に聞けばわからず、私に聞いてくるのならしかたないですが、上司なら把握できているでしょうから」
またコロナ禍で、複数人でメッセージをやり取りするグループチャットに入る機会も増えました。
中には2、30人でやり取りしているものもあり、自分とは関係のない質問のやり取りが、いちいち通知されてくるのです。
とは言え、中にはすぐに反応しなくてはならないものもあるため、放っておくわけにはいきません。
中には2、30人でやり取りしているものもあり、自分とは関係のない質問のやり取りが、いちいち通知されてくるのです。
とは言え、中にはすぐに反応しなくてはならないものもあるため、放っておくわけにはいきません。
男性
「私は自宅で映画やアニメを鑑賞するのが趣味なのですが、メッセージが来るたびに現実に戻されて、せっかくの気分がしぼんでしまいます。大型連休の間は、不急のメッセージが少なくなることを祈っています」
「私は自宅で映画やアニメを鑑賞するのが趣味なのですが、メッセージが来るたびに現実に戻されて、せっかくの気分がしぼんでしまいます。大型連休の間は、不急のメッセージが少なくなることを祈っています」
念のための確認で…
なぜ、相手が休みなのに連絡するのでしょうか。
「業務時間外に仕事の連絡をしてしまうのはしかたない」
そう話していたのは、デザイン会社で働く女性です。
取引先の都合で、夜間や土日に急いで資料をまとめなくてはならない仕事も多いと言います。
自分ではたぶん問題ないだろうという内容であっても、間違うと取引先に迷惑がかかるため、念のために部下にも確認しながら作業を進めています。
「業務時間外に仕事の連絡をしてしまうのはしかたない」
そう話していたのは、デザイン会社で働く女性です。
取引先の都合で、夜間や土日に急いで資料をまとめなくてはならない仕事も多いと言います。
自分ではたぶん問題ないだろうという内容であっても、間違うと取引先に迷惑がかかるため、念のために部下にも確認しながら作業を進めています。
女性
「取引先に満足してもらうため、遅い時間の連絡もある程度は仕方ないんじゃないかと思います。部下もよりよいアウトプットを出したいと思っているはずなので、納得していると思います」
「取引先に満足してもらうため、遅い時間の連絡もある程度は仕方ないんじゃないかと思います。部下もよりよいアウトプットを出したいと思っているはずなので、納得していると思います」
リモートワークでメールが急増中
そもそも私たちは一日、どれくらいの時間、メールを使っているのでしょうか。
調べている団体がありました。
ビジネスメールのマナーやスキル研修を行っている「日本ビジネスメール協会」です。
調べている団体がありました。
ビジネスメールのマナーやスキル研修を行っている「日本ビジネスメール協会」です。

協会が仕事のメールの利用実態を調査したところ「コロナ禍を境に仕事のメール利用が増えた」という人は合わせて49.61%。
電話が敬遠されるようになったことや、コロナ禍でリモートワークも進む中、2人に1人がメールが増えたと感じています。
電話が敬遠されるようになったことや、コロナ禍でリモートワークも進む中、2人に1人がメールが増えたと感じています。

1日に受信するメールは、平均で51.1通にのぼりました。
メール1通読むのにかかる時間は、平均で1分21秒。
計算してみると、51.1通×1分21秒=68分58秒。
一日、1時間以上メールを読んでいる計算です。
さらに、メールを書く時間も加えると、メールの読み書きだけで一日平均およそ2時間30分を費やしていました。
さらに連絡手段はいまやメール以外にも、SNSやメッセージアプリなど、多岐にわたっています。
メール1通読むのにかかる時間は、平均で1分21秒。
計算してみると、51.1通×1分21秒=68分58秒。
一日、1時間以上メールを読んでいる計算です。
さらに、メールを書く時間も加えると、メールの読み書きだけで一日平均およそ2時間30分を費やしていました。
さらに連絡手段はいまやメール以外にも、SNSやメッセージアプリなど、多岐にわたっています。
つながらない権利 条例を目指したけれど…
私たちも日々、大量のメールやメッセージの処理に追われています。
緊急性のない社内連絡をなんとか減らせないか。
そう思っていると、同僚記者からこんな言葉が。
「つながらない権利に積極的に取り組んでいた自治体を、かつて取材したことがある」
つながらない権利
働く人が業務時間外の仕事の連絡をシャットアウトする権利で、フランスなど海外で法制化されています。
日本では神戸市が3年前に、全国で初めて、外部の有識者会議を設置。つながらない権利に関する努力義務などを盛り込んだ条例の制定を目指しました。
緊急性のない社内連絡をなんとか減らせないか。
そう思っていると、同僚記者からこんな言葉が。
「つながらない権利に積極的に取り組んでいた自治体を、かつて取材したことがある」
つながらない権利
働く人が業務時間外の仕事の連絡をシャットアウトする権利で、フランスなど海外で法制化されています。
日本では神戸市が3年前に、全国で初めて、外部の有識者会議を設置。つながらない権利に関する努力義務などを盛り込んだ条例の制定を目指しました。

この考え方を各職場に取り入れてもらうことで、すべての働く人のプライベートの充実につなげたい。市長肝いりの政策に、すぐに庁内でも議論が始まりました。
しかし、新型コロナウイルスで状況が一変しました。
「企業の活動に関するルールを行政が決めるべきではない」
「コロナの影響で業務時間を区切る働き方が続くかわからない」
担当部署の会議では否定的な意見も多く上がり、意見がまとまりませんでした。
有識者会議のメンバーからは
「重要なテーマなので、取り組む企業を支援するのが望ましい」
といった意見もありました。
結局、神戸市としては条例を定めることは社会情勢とあわないと判断し、ほぼ立ち消えに。議論は今も進んでいないといいます。
しかし、新型コロナウイルスで状況が一変しました。
「企業の活動に関するルールを行政が決めるべきではない」
「コロナの影響で業務時間を区切る働き方が続くかわからない」
担当部署の会議では否定的な意見も多く上がり、意見がまとまりませんでした。
有識者会議のメンバーからは
「重要なテーマなので、取り組む企業を支援するのが望ましい」
といった意見もありました。
結局、神戸市としては条例を定めることは社会情勢とあわないと判断し、ほぼ立ち消えに。議論は今も進んでいないといいます。
休日は働くよりも休ませた方がいい
つながらない権利はやはり難しいのか…
そう思っていると目に止まったのが、大阪市のシステム開発会社のホームページ。
「ゴールデンウィーク期間の業務休業のお知らせ」
堂々と10連休宣言をしていました。
「ゴールデンウィークの間の平日を1日出たところで、生産性も上がらないので休みにしています」
この会社では、祝日がない6月に自分で休日を作れる「祝日作っちゃおう休暇」や、誕生日の月の「バースデー休暇」など、ふだんから休みが取りやすくなるようにしているそうです。
従業員40人ほどのこの会社。休みが増えると、その分社員と連絡がつきにくくなりそうですが、業務連絡はどうしているのでしょうか。
そう思っていると目に止まったのが、大阪市のシステム開発会社のホームページ。
「ゴールデンウィーク期間の業務休業のお知らせ」
堂々と10連休宣言をしていました。
「ゴールデンウィークの間の平日を1日出たところで、生産性も上がらないので休みにしています」
この会社では、祝日がない6月に自分で休日を作れる「祝日作っちゃおう休暇」や、誕生日の月の「バースデー休暇」など、ふだんから休みが取りやすくなるようにしているそうです。
従業員40人ほどのこの会社。休みが増えると、その分社員と連絡がつきにくくなりそうですが、業務連絡はどうしているのでしょうか。

アジャイルウェア 川端光義社長
「私は業務時間外の連絡はしないようにしていますし、もし周りの人が送ってしまったとしても、業務時間外の連絡に反応しなくても誰も何も言いません。それが職場の雰囲気ですね」
「私は業務時間外の連絡はしないようにしていますし、もし周りの人が送ってしまったとしても、業務時間外の連絡に反応しなくても誰も何も言いません。それが職場の雰囲気ですね」
業務時間外に連絡しないように、まず社長から実践。
夜間連絡したいことがあった場合も、翌日に予約投稿するなどして対応しているそうです。
平日の休みの社員の情報はチャットで共有。
夜間連絡したいことがあった場合も、翌日に予約投稿するなどして対応しているそうです。
平日の休みの社員の情報はチャットで共有。

休んでいる人に対しては、理由がどうであれ、誰もその人に連絡はとらないようにしているということです。
なぜ、そこまで休みを大切にするのか。
休みを取りやすいことが社員のモチベーションにもつながり、勤務時間内での仕事のパフォーマンスがあがるといいます。
その結果、会社にとってもプラスになっています。
なぜ、そこまで休みを大切にするのか。
休みを取りやすいことが社員のモチベーションにもつながり、勤務時間内での仕事のパフォーマンスがあがるといいます。
その結果、会社にとってもプラスになっています。
アジャイルウェア 川端光義社長
「幸い今期は黒字の見通しで、社員も増えています。連絡をすぐに返さないといけない雰囲気があると、上下関係が生まれやすいと考えています。正直、統制がとれないことは多々ありますが、逆に自由な発想で、自発的に考えて動く社員が増えています。組織作りは優秀な人材の獲得にも重要なので、かなりこだわっています」
「幸い今期は黒字の見通しで、社員も増えています。連絡をすぐに返さないといけない雰囲気があると、上下関係が生まれやすいと考えています。正直、統制がとれないことは多々ありますが、逆に自由な発想で、自発的に考えて動く社員が増えています。組織作りは優秀な人材の獲得にも重要なので、かなりこだわっています」
連休にメールを送って嫌われないために
せっかくの大型連休。
休日の連絡が必要な仕事や緊急時はしょうがないとしても、そうじゃないときはお互いにメールを送らずに穏やかに過ごしたい。
そのためには普段から計画的に仕事を進めておくことが大切です。
そのうえで日本ビジネスメール協会の平野さんがポイントとしてあげるのは「根回しと見極め」です。
まずは、根回し。
自分の取引先や顧客に対しては、できれば連休に入る前日の早い時間帯までに、自分が休みに入るということをメールなどで知らせる根回しが大切だといいます。
お互いのために、終業ギリギリの時間帯に送らないことも大切だそうです。
次に、見極め。
メーリングリストなどで全員に送ってしまうと、ふだんやりとりの無い人に“なんでわざわざ私にまで送ってくるんだ”という不快感を抱かせてしまう可能性もあるということです。
このため、安易に一斉送信するのではなく、商談中の相手や進行中のプロジェクトのメンバーなど、必要な人を見極めて送ることが大事だそうです。
最後に、連休を快適に過ごすためのメールの極意を聞きました。
休日の連絡が必要な仕事や緊急時はしょうがないとしても、そうじゃないときはお互いにメールを送らずに穏やかに過ごしたい。
そのためには普段から計画的に仕事を進めておくことが大切です。
そのうえで日本ビジネスメール協会の平野さんがポイントとしてあげるのは「根回しと見極め」です。
まずは、根回し。
自分の取引先や顧客に対しては、できれば連休に入る前日の早い時間帯までに、自分が休みに入るということをメールなどで知らせる根回しが大切だといいます。
お互いのために、終業ギリギリの時間帯に送らないことも大切だそうです。
次に、見極め。
メーリングリストなどで全員に送ってしまうと、ふだんやりとりの無い人に“なんでわざわざ私にまで送ってくるんだ”という不快感を抱かせてしまう可能性もあるということです。
このため、安易に一斉送信するのではなく、商談中の相手や進行中のプロジェクトのメンバーなど、必要な人を見極めて送ることが大事だそうです。
最後に、連休を快適に過ごすためのメールの極意を聞きました。

日本ビジネスメール協会 平野友朗 代表理事
「自分だけでなく、相手がどういう状況かを最優先に考えることをおすすめします。メールは機械的処理ですが、思いやりも大切です。見極めと根回しで気遣いができる人、仕事ができる人だなという印象を持ってもらえるかもしれませんし、何よりも自分も相手も、快適に連休を過ごせるのではないでしょうか」
「自分だけでなく、相手がどういう状況かを最優先に考えることをおすすめします。メールは機械的処理ですが、思いやりも大切です。見極めと根回しで気遣いができる人、仕事ができる人だなという印象を持ってもらえるかもしれませんし、何よりも自分も相手も、快適に連休を過ごせるのではないでしょうか」
コロナ禍でリモートワークが一気に進み、働く時間も場所も広がりました。
オンオフの切り替えが進むように、お互いに気をつかっていきたいですね。
それでは皆さん、よい休日をお過ごしください。
オンオフの切り替えが進むように、お互いに気をつかっていきたいですね。
それでは皆さん、よい休日をお過ごしください。