物価高騰受けた緊急対策 予備費1兆5100億円余支出を決定 政府

政府は、ウクライナ情勢に伴う物価高騰を受けた緊急対策を実行するための費用などとして、今年度の予備費から1兆5100億円余りを支出することを決めました。

政府は、26日開いた関係閣僚会議で、原油や物価の高騰を受けた緊急対策を決定しました。

これを踏まえ、政府は28日の閣議で、対策を実行するための費用などとして、今年度の一般の予備費と新型コロナ対策の予備費から合わせて1兆5110億円を支出することを決めました。

内訳をみますと、ガソリンなどの燃料価格の上昇を抑えるため、石油元売り会社に1リットル当たり35円を上限に支給する補助金の来月分として2774億円。

原材料や食料の安定供給対策では、
▽家畜の餌となる穀物の価格高騰に伴って畜産農家への補填(ほてん)金を支給するための基金の積み増しに435億円。

▽需要が高まっている国産木材の増産にかかる輸送費などの支援に40億円。

さらに、コロナ禍で物価高騰に直面し、生活に困っている人への支援では、低所得の子育て世帯に対し、子ども1人当たり5万円の給付金を支給するための費用に2043億円を充てます。

政府は、6月分以降の石油元売り会社への補助金の費用や、予備費の積み増し分を盛り込んだ2兆7000億円規模の今年度の補正予算案を来月中に編成するなど、一連の対策に総額6兆2000億円程度を充てる方針です。

鈴木財務相「経済社会活動の回復を確かなものに」

予備費の支出を決めたことについて、鈴木財務大臣は、閣議のあとの記者会見で「ウクライナ情勢などに伴う原油価格や物価の高騰による国民生活や経済活動への影響に緊急かつ機動的に対応し、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとしていく」と述べました。

一方、国会の承認を得ずに使いみちを決められる予備費を巨額に支出することへの批判が出ていることについては「コロナ禍からの経済社会活動の順調な回復を妨げないためにも今回の予備費使用は緊急性があり、適切だ。財政民主主義の観点で、問題があるとは考えていないが、国会の場などで丁寧に説明していくことが大切だ」と述べました。