【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(28日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる28日の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナからの国外避難者 537万人余 国連

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は27日の時点で537万人余りとなっています。
主な避難先はポーランドがおよそ296万人、ルーマニアがおよそ80万人、ハンガリーがおよそ50万人、モルドバがおよそ43万人などとなっています。
またロシアに避難した人はおよそ64万人となっています。

沿ドニエストル地方で爆発 ロシア「テロ行為とみなす」

ウクライナの隣国モルドバからの独立を一方的に宣言し、ロシア軍が駐留している沿ドニエストル地方で爆発などが起きたことについて、ロシア外務省のザハロワ報道官は28日「ここ数日、多くの砲撃や爆発が起きている沿ドニエストル地方の緊張の急激な高まりを懸念している」と述べました。そのうえで「われわれはこれを地域の不安定化を狙ったテロ行為とみなす」と非難しました。

これに先立って沿ドニエストル地方のロシア寄りの地元当局は27日に「ウクライナ側から弾薬庫がある村に向かって砲撃が行われた」などと主張していました。モルドバ政府はこれらの攻撃はロシア寄りの地元当局などによる自作自演の可能性を示唆しています。
それだけにロシアがテロ攻撃などを名目にして沿ドニエストル地方に介入してくるのではないかと懸念を強めているとみられます。

ウクライナ軍 “支援に感謝”の新動画を投稿 日本も紹介

ウクライナ軍は27日、SNSに各国からの支援に感謝する動画を新たに投稿しました。
およそ40秒の動画では「支援に感謝している」などというナレーションとともに37の国名が表示され、この中で日本も紹介されています。
また、投稿では「この困難のなかで支援と揺るぎないサポートをくれたパートナーに心から感謝する」などとコメントしています。

ウクライナ国防省などが25日に公開した別の動画では31の国名が紹介され、日本については言及されていませんでした。

ヘルソン州でロシア通貨 ルーブルに移行か “支配を既成事実化”

ウクライナの南部ではロシア側が支配を既成事実化しようとする動きが続いています。
このうち、国営のロシア通信などは28日、ロシアが掌握したと主張し、支配を強めている南部ヘルソン州で、5月1日からロシアの通貨ルーブルが導入されると伝えています。

長くても4か月の移行期間のあと、ウクライナの通貨フリブニャから完全にルーブルに替えるとしています。ヘルソンではロシアが占領を正当化するために住民投票を実施するのではないかという懸念が高まっていて、この地域で通貨ルーブルを流通させることで一層ロシアによる支配を強めようとしているものとみられます。

「戦争こそが最大の犯罪」 国連 グテーレス事務総長

国連のグテーレス事務総長はロシアに続いてウクライナを訪れ28日、ロシア軍の激しい攻撃にさらされた首都キーウ近郊を視察しました。このうちボロジャンカでは攻撃で焼け焦げたアパートの建物を視察し、地元の軍当局者から民間人の犠牲が相次いだ状況について説明を受けました。

また、多くの市民が殺害されているのが見つかり、戦争犯罪の可能性が指摘されているブチャでは、教会の敷地の中で多くの市民の遺体が埋められていた場所を視察しました。
グテーレス事務総長は記者団に対して「国際的な捜査と責任の追及がいかに重要かが分かる。戦争こそが最大の犯罪だ」としたうえで「ロシアが国際刑事裁判所の捜査に協力するよう求める」と述べ、ロシア側に戦争犯罪の捜査に協力するよう呼びかけました。

グテーレス事務総長はこのあと日本時間の28日夜遅く、キーウでウクライナのゼレンスキー大統領と会談する予定です。

“黒海にロシア海軍艦艇 約20隻” イギリス国防省

イギリス国防省は28日、公表したウクライナの戦況分析で「地中海と黒海をつなぐボスポラス海峡はトルコ軍以外の艦艇は通過できず、ロシア軍は沈没した黒海艦隊の旗艦『モスクワ』に替わる艦艇を派遣できていない」と指摘しました。

その一方で「黒海では、いまも潜水艦を含むロシア海軍の艦艇およそ20隻が作戦遂行可能な位置にある。ウクライナ沿岸への攻撃能力は依然として維持されている」と分析しています。

“東部の病院に攻撃で1人死亡” 知事が動画投稿し非難

ウクライナ東部ルハンシク州のガイダイ知事は27日、SNSに動画を投稿し、州の西部に位置するセベロドネツクの病院がロシア軍に攻撃され、女性1人が死亡したと非難しました。

投稿された動画はおよそ1分50秒の長さで、破壊された病院の内部が撮影されています。動画では、コンクリートの壁の一部や、窓などが吹き飛ばされ、吹きさらしになっている様子が分かります。

また、階段や廊下などにはがれきやガラスの破片が散らばっていました。ガイダイ知事は「州内で機能している2つの病院のうち、片方が攻撃された。ロシア軍は、病院に患者がいることを分かったうえで、意図的に攻撃を加えた」と非難しています。

ウクライナからの避難民 一時滞在施設で日本語教育

ウクライナからの避難民への支援をめぐり、古川法務大臣は閣議のあとの記者会見で、今週から国の一時滞在施設で生活に必要な日本語を習得してもらう取り組みを始めたと説明しました。

この中で、古川法務大臣は「ウクライナ情勢は依然として不透明で、避難民の方々の滞在は長期化する可能性もある。そのため、ニーズに応じて、一時滞在施設や受け入れ自治体で、生活に必要な日本語の教室などを実施していくことも重要だ」と述べました。

そのうえで「一時滞在施設で、今月25日から日本語教室を開始し、多くの方に参加をいただいていると聞いている。今後、日本語教育を所管する文化庁とも緊密に連携し、個々のニーズに応じて適切に日本語を習得いただけるよう対応していきたい」と述べました。

国際刑事裁判所 捜査協力求めるもロシアは拒否の姿勢

オランダのハーグにあるICC=国際刑事裁判所は、ロシア軍の侵攻を受けているウクライナで行われた疑いのある戦争犯罪や人道に対する罪について捜査を進めていて、多くの市民が殺害されているのが見つかった首都キーウ近郊のブチャなどの状況を調べています。

こうした中、国連安保理では27日、フランスやアルバニアの主催で、ウクライナでの残虐行為に対する説明責任をテーマにした非公式会合が開かれ、ICCのカーン主任検察官が報告しました。

この中でカーン主任検察官は、43か国からウクライナの状況を捜査するよう要請があったとして、ウクライナの協力も得て捜査を行っていると強調しました。
一方で、ロシアに対しては、これまでに3度、書簡を送ったものの、返答がないと明らかにしたうえで「われわれは真実を明らかにしたいだけで、政治的な意図はないと伝えたい。法律はひとしく適用される」と述べ、ICCによる独立した捜査に協力するよう求めました。

これに対しロシアの代表は「ICCは政治的な道具になっており、正義はない」と主張し、要請を拒否する姿勢を示しました。

マリウポリのウクライナ軍指揮官「市民はひん死の状態」

東部の要衝マリウポリにとどまるウクライナ軍の指揮官が27日、SNSに動画を投稿し、ロシア軍に包囲された市民や兵士の救出に向けて動くよう、各国の政府に訴えました。

ウクライナ海軍の歩兵部隊で指揮官を務めるセルヒー・ボリンスキー氏はフェイスブックに投稿した動画で「部隊には600人の負傷者がいるが、とても手当てができる状況ではない。われわれと一緒にいる数百人の市民の中には数十人の子どもや障害者、高齢者も含まれる。水も食料も不足し、事態は切迫している」と訴えました。
そのうえで、第2次世界大戦中、連合国側が、ナチス・ドイツの攻勢を防ぎながら大規模な撤退を行った「ダンケルクの戦い」を引き合いにし「どうかマリウポリの部隊を救ってください。ここにいる兵士や負傷者はこのままでは死んでしまう。生きている者も、じき戦闘で殺される。市民はシェルターの中でひん死の状態です」と述べました。

ロシアのプーチン大統領は21日、マリウポリへの攻撃の中止とともに、一帯の包囲は継続するよう命令しましたが、ウクライナ側は「攻撃が続いている」と批判し、市民や兵士の避難が実現するめどは立っていません。

UNHCR 531万人余がウクライナから国外に避難(26日時点)

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、26日の時点で531万人余りとなっています。
主な避難先は、
▽ポーランドがおよそ294万人
▽ルーマニアがおよそ79万人
▽ハンガリーがおよそ50万人
▽モルドバがおよそ43万人などとなっています。
またロシアに避難した人は、およそ62万人となっています。

米報道官 核兵器をめぐるロシア側発言「無責任」と批判

アメリカ国防総省のカービー報道官は27日、記者会見で、核兵器をめぐるこのところのロシア側の発言について「核の対立が起こるのではないかと不安にさせるのは無責任だ。この戦争がこれ以上、エスカレートするのも核の領域にまで発展するのも誰も見たくはないし、そうすべき理由もない」と批判しました。

そのうえで「われわれは毎日、できるかぎり監視しており、われわれの核の戦略的な抑止態勢を変えさせるようなことは引き続き何も見当たらない。われわれは国土や同盟国などを防衛する能力に自信を持っている」と述べました。

ロシアの大手金融機関の元幹部 “祖国ウクライナのために戦う”

ロシアの調査報道サイト「インサイダ-」は27日までに、ロシアの大手金融機関「ガスプロムバンク」の副社長だった男性が、故郷のウクライナに対するロシア軍の侵攻に抗議し、祖国で戦うことを決意したと伝えました。

「インサイダー」へのインタビューで、ガスプロムバンクの副社長だったイーゴリ・ボロブエフ氏は、ウクライナ北東部スムイ州の出身で「ロシアが祖国に対して行っていることを、もはや傍観できなかった」と述べています。そしてウクライナで志願兵の組織、領土防衛部隊に入る決意だとしています。

プーチン政権による軍事侵攻に対して、ロシアを離れて抗議する声はこれまでも出ていますが、大手金融機関の幹部を務めた人物がロシア軍と直接戦うと声をあげるのは異例です。

米報道官 天然ガス供給停止「ロシアの常とう手段」

ロシア最大の政府系ガス会社ガスプロムがポーランドなどへの天然ガスの供給を停止したことについて、アメリカ・ホワイトハウスのサキ報道官は27日、記者会見で「ロシアがこの紛争で、エネルギーを武器として使うことをわれわれは予想していた。ロシアの常とう手段のひとつだ」と批判しました。

そのうえで「ヨーロッパへの天然ガスの供給源を分散させようと、世界中の友好国と何か月も取り組んできた」と述べ、ロシアに依存しない世界的なエネルギー供給網の確立を急いでいると強調しました。

国連事務総長 キーウ到着 ゼレンスキー大統領と会談へ

ロシアでプーチン大統領と会談した国連のグテーレス事務総長は27日、ポーランドを経由してウクライナの首都キーウに到着しました。28日にはゼレンスキー大統領やクレバ外相と会談する予定です。

グテーレス事務総長はプーチン大統領との会談で、ウクライナ東部マリウポリで取り残されているとみられる市民を避難させるため国連が関与することで合意し、今後の具体的な協議はOCHA=国連人道問題調整事務所とロシア国防省の間で行うことになりました。

これに関連して国連の報道官は、OCHAの担当者が27日、ロシアとウクライナ双方の当局と、マリウポリからの市民の避難について協議を行ったと明らかにしました。グテーレス事務総長は、28日に行われるゼレンスキー大統領との会談で、市民の避難の実現に向けて話し合うことにしています。

ウクライナ南部 ヘルソンで住民がデモ

ウクライナ南部のヘルソンでは、ロシアが占領を正当化するために住民投票を実施することへの懸念が強まるなか、27日、住民によるデモが行われました。住民たちはウクライナの国旗を持って「ウクライナに栄光を」とか「ヘルソンはウクライナだ」などと声を上げていました。

現地の映像には、デモが行われている最中に突然、爆発音が鳴って煙が上がり、人々が逃げていく様子がうつっています。これについてウクライナの検事総長は、ロシア軍によって催涙弾やせん光弾が使用され、少なくとも4人がけがをし、調査を進めているとする声明を発表しています。

プーチン大統領「作戦に干渉なら電撃的で素早い対抗措置」

ロシアのプーチン大統領は27日、サンクトペテルブルクでロシア議会の議員を前に演説し「外部から進行中の作戦に干渉しようとするなら、ロシアにとって容認できない戦略的脅威であり、われわれは電撃的で素早い対抗措置をとる」と述べ、ウクライナをめぐってロシアが脅威と判断すれば即座に反撃すると強調しました。そのうえで「そのための手段はすべてそろっている。他にないものを持っており、必要であれば使用する」と述べました。

プーチン大統領はウクライナへの軍事侵攻を始めた直後に「現代のロシアは、ソビエトが崩壊した後も、最強の核保有国の1つだ」と核大国であることを誇示していて、今月20日には、複数の核弾頭を搭載できるという新型の大陸間弾道ミサイル「サルマト」の発射実験が成功したと発表し「わが国を脅かそうとする者に考えを改めさせるだろう」と述べていました。

今回のプーチン大統領の発言をめぐり、欧米メディアなどはロシアが核兵器の使用も辞さない構えを示したという見方も伝えていて、ウクライナへの軍事支援を強化する欧米側を強くけん制したとみられます。

国連世界観光機関 ロシアの加盟資格停止決議を採択

国連世界観光機関の事務局長は27日、ツイッターで、スペインのマドリードで開かれた臨時総会で、ロシアの加盟資格を停止する決議案の採決が行われ、採択されたと明らかにしました。決議案は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、フランスやポーランドなどが「平和のために観光を促進する」という機関の目的に反しているなどとして提出していました。

採決に先立ってロシアからは機関を脱退する意向が示されたということですが、採決は実施されました。国連世界観光機関は160以上の国や地域が加盟し、観光を通じた交流を進めています。決議案は、3分の2以上の国や地域の賛成で採択され、加盟資格が停止されると、機関の会合への出席や、観光関係者向けに提供される訓練などのサービスが受けられなくなるということです。

ロシアをめぐっては、国連人権理事会の理事国としての資格を停止する決議も、今月7日、国連総会で採択されています。

国連人権高等弁務官事務所 少なくとも2787人の市民死亡

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月26日までに、ウクライナで少なくとも2787人の市民が死亡したと発表しました。このうち202人は子どもだとしています。

地域別でみると、東部のドネツク州とルハンシク州で1314人、それ以外のキーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで1473人の死亡が確認されているということです。また、けがをした市民は3152人に上るとしています。

一方、国連人権高等弁務官事務所は東部のマリウポリなど激しい攻撃を受けている地域での死傷者の数について集計が遅れていたり、確認がまだ取れていなかったりして統計には含まれておらず、実際の死傷者の数はこれを大きく上回るとの見方を示しています。

米政府“ロシアで拘束のアメリカ人 解放”と発表

アメリカ政府は27日、3年前からロシアで拘束されていたアメリカ人が解放されたと発表しました。解放されたのは酒に酔って旅行先のモスクワで警察官とトラブルになったとして3年前から拘束されていたアメリカ軍の元兵士で、アメリカのメディアなどは、その交換として、麻薬の密輸取引をめぐってアメリカで収監されていたロシア人も釈放されたとしています。

ウクライナ情勢で米ロ関係が極度に悪化する中での収容者の交換についてアメリカ政府の高官は記者団に対し「これは、より大きな外交議論の一部ではない。ウクライナへの支援の継続や、ロシアに軍事侵攻の責任を取らせるわれわれの立場に変わりはない」と強調しました。