ウクライナへ軍事支援強化の欧米側とロシア 対決の構図鮮明に

ロシア軍は、欧米各国がウクライナに供与した武器や弾薬をミサイルで破壊したと発表するなど、欧米側の軍事支援を強くけん制しています。
これに対しアメリカなどは、支援をさらに強化する構えで、ロシアと、ウクライナを支援する欧米側が対決する構図が、一層鮮明になっています。

ロシア国防省は27日、ウクライナ南東部ザポリージャにある施設を巡航ミサイルで破壊したと発表しました。

この施設には、アメリカやヨーロッパからウクライナ軍に供与されていた武器や弾薬が大量に保管されていたと主張しています。

一方、ウクライナの隣国モルドバからの独立を一方的に宣言し、ロシア軍が駐留する沿ドニエストル地方で26日、爆発があり、2つの電波塔が破壊されたということです。

これについて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は26日に「ロシアとその代理勢力が、攻撃を受けたかのような情報をねつ造する、いわゆる偽旗作戦による攻撃を企てた。プーチン大統領が、ロシア系住民が多く住むこの地方の独立を一方的に承認し、その求めに応じて軍隊を派遣しようとするかもしれない」とする見方を示しています。

これに先立ってロシア軍の高官は、軍の今後の目標として、ウクライナ東部と南部の掌握を挙げたうえで「沿ドニエストル地方に新たにアクセスする方法を得ることになる」と述べ、モルドバ政府などは警戒を強めています。

ウクライナの周辺国からもロシアの脅威を訴える声が強まるなか、アメリカやヨーロッパ諸国など30か国以上からのウクライナへの軍事支援は総額で50億ドル、日本円にして6300億円余りに上るということで欧米側は、支援をさらに強化する構えです。

これに対して、ロシアのプーチン大統領の最側近の1人、パトルシェフ安全保障会議書記は26日、「アメリカはロシアを抑圧するためウクライナを利用している」と述べ、アメリカなどが武器を供与することでロシアの弱体化をねらっていると批判しました。

軍事侵攻から2か月以上が経過するなか、ロシアとこれに抗戦するウクライナを徹底的に支援する欧米が、対決する構図が一層鮮明になっています。