ワクチン4回目接種 60歳以上などを対象に5月末に開始へ 厚労省

新型コロナウイルスワクチンの4回目の接種について、厚生労働省は、対象を当面、60歳以上の人や18歳以上の基礎疾患のある人などに限定することを決めました。来月末から全国で接種を始める方針です。

厚生労働省は27日、専門家でつくる分科会を開き、3回目の接種から5か月たった人に4回目の接種を行うことを決めました。

使用するのはファイザーとモデルナのワクチンで、対象は当面、60歳以上の人に加え、18歳以上の、基礎疾患のある人か医師が重症化リスクが高いと判断した人に限定するとしています。

これらに当てはまらない人は接種を受けられないということです。

対象を絞った理由は、重症化を防ぐ効果が報告されている海外のデータが、60歳以上に限られていることや、多くの国が高齢者などに対象を限定しているためなどとしています。

厚生労働省はすでに、会場の手配や接種券を送付するための準備を進めるよう自治体に求めていて、来月末から全国で接種を始めることにしています。

ただ、基礎疾患がある人については、自治体が把握していないことから個別に接種券などを送るのが難しく、分科会の委員からは周知の方法を国が示すべきだとか、接種券が届かなくても速やかに接種できる仕組みを作るべきだといった意見が相次ぎました。

厚生労働省は、基礎疾患のある人への周知をどう徹底するかについて、今後、自治体と協議を進めるとしています。

対象の基礎疾患など

厚生労働省によりますと、4回目接種の対象となる基礎疾患などは以下のとおりです。

▽慢性の呼吸器の病気
▽高血圧など慢性の心臓病
▽慢性の腎臓病
▽肝硬変など慢性の肝臓病
▽インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病または、ほかの病気を併発している糖尿病
▽鉄欠乏性貧血を除く血液の病気
▽がんなど免疫の機能が低下する病気
▽ステロイドなど免疫の機能を低下させる治療を受けている人
▽免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患
▽神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えて呼吸障害などになった人
▽染色体異常
▽重度の身体と知的の障害が重複した状態の重症心身障害
▽睡眠時無呼吸症候群
▽重い精神疾患です。
また、
▽肥満の程度を示す「BMI」が30以上の人も重症化リスクが高いとして対象になります。

このほか、医師が重症化リスクが高いと判断した人も対象になるとしています。

がん患者団体 “対象判断できるガイドラインを”

4回目のワクチン接種で基礎疾患のある人が対象となったことについて、全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長は「これまで基礎疾患のある人は、優先接種の対象に含まれないこともあったので、リスクが非常に高い患者を救うという意味でもよかった」と歓迎しています。

そのうえで「そもそも患者自身が対象の基礎疾患なのか分からなかったり、同じような症状の患者でも、医療機関や地域によって対象かどうかの判断が分かれることもあった。国はガイドラインなどを作って患者などが迷わないようにしてもらいたい」としています。

また「4回目ともなると、中にはまた接種しなくてはいけないのかという患者も増えてきているように感じる。接種の必要性について、科学的な根拠に基づいてわかりやすく示してほしい」と話しています。

厚労相 “自治体と連携し準備進める”

新型コロナワクチンの4回目接種の対象について方針を決定したことを受けて、後藤厚生労働大臣は、記者団に対し「来月末から接種を開始できるよう必要な手続きを進めていく。あす自治体の担当者に対する説明会を開催し、接種実施に向けた準備について説明するとともに、引き続き、緊密に連携して準備を進めていく」と述べました。

また、基礎疾患がある人などへの対応について「データを一元的に管理しているところがないため、なにがしか手上げをしていただく必要がある」と述べ、接種を受けるにあたっては、自己申告が必要になるという認識を示しました。

一方後藤大臣は、基礎疾患がない60歳未満の人への対応について「接種は認めないということになるが、今後科学的知見の収集に努める中で状況が変わり、接種したほうがよいとなれば、検討をさらに進める」と述べました。