国連事務総長がモスクワ訪問 ロシアは欧米の軍事支援に反発

ロシアはウクライナ東部で激しい戦闘を続ける一方、東部や南部の都市でロシアの支配を既成事実化しようと動き始めています。
こうした中、国連のグテーレス事務総長がモスクワを訪れ、プーチン大統領に停戦を働きかける見通しですが、ロシアは欧米によるウクライナへの軍事支援に反発を強め、厳しい話し合いになる見通しです。

ロシア国防省は26日、東部ハルキウ州でロシア空軍が弾薬庫を攻撃したほか、東部ドネツク州ではウクライナ側の兵士およそ500人を殺害し、装甲車59台を破壊したなどと主張しました。

ウクライナ東部の戦況についてイギリス国防省は、26日ロシア軍が北と東から、東部ドネツク州のスラビャンスクとクラマトルスクに向かって前進しようとし、激しい戦闘がイジュームの南で報告されているとしました。

また、南東部のザポリージャでは、ウクライナ軍が、ロシア軍の南からの進撃に備えている、と指摘しています。

ロシアは、東部や南部の都市でロシアの支配を既成事実化しようと動き始めています。

このうち、ウクライナ南部のヘルソンでは25日、武装した人物らが市議会の建物に侵入し、警備員をロシア側の人物に入れ替えたと、市長がSNSで明らかにしました。

地元メディアは、ヘルソンの市議会がロシア側に占拠されたと伝えていて、ロシアが占領を正当化するためにヘルソンで住民投票を実施することへの懸念が強まっています。

また、ロシアが掌握したと主張するウクライナ東部の要衝マリウポリでも25日、親ロシア派の市長が、市内にある2つの病院を管轄下に置いたことを明らかにしました。

プーチン政権は来月9日、旧ソビエトが第2次世界大戦でナチス・ドイツに勝利した記念日に合わせて、マリウポリでロシア側による軍事パレードも計画するなど、支配の既成事実化を加速させています。

一方、首都キーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談したアメリカのオースティン国防長官は25日「ロシアがウクライナに侵攻して行ったようなことができなくなる程度まで弱体化することを望んでいる」と述べるなど、ウクライナへの軍事支援の継続を強調しました。

これに対し、ロシアのラブロフ外相は25日に公開されたインタビューで「もしNATO=北大西洋条約機構が事実上、代理国を通じて、ロシアと戦争をしようとし、そのために代理国を武装させるとしたら、そのときは、戦争には戦争で応じる」と非難し、ウクライナに武器を供与する欧米各国こそが、第3次世界大戦のリスクを高めていると主張しました。

こうした中、国連のグテーレス事務総長がロシアの首都モスクワを訪問し、26日、日本時間の午後6時半すぎにラブロフ外相との会談が始まったほか、プーチン大統領が開くレセプションにも出席する予定です。

グテーレス事務総長は停戦の実現に向けて働きかけたい考えですが、ロシアは欧米によるウクライナへの軍事支援に反発を強め、厳しい話し合いになる見通しで、停戦への道筋はみえていません。