ロシア軍 ウクライナの鉄道施設攻撃 軍事支援の欧米けん制か

ロシア軍はウクライナ東部の戦闘で、激しい攻防が続く中、西部や中部の各地を攻撃し、アメリカなどの軍事支援の動きをけん制しています。26日には国連のグテーレス事務総長がモスクワを訪問し、プーチン大統領に停戦を働きかける予定ですが、外交交渉による解決は、依然、見通せない状況です。

ウクライナへの侵攻を続けるロシアの国防省は25日、軍事施設27か所をミサイルで攻撃したと発表しました。

このうち、ロシア軍が掌握を目指しているとみられる東部ドネツク州のスラビャンスク近郊では、指揮所や弾薬庫をミサイルで破壊したとし、東部や南部で攻勢を強めています。

さらに国防省は、西部から中部にかけて6か所で鉄道駅近くの変電所をミサイルで攻撃し破壊したとしていて「ここを通じて東部ドンバス地域のウクライナ軍に、外国からの武器や装備品が供給されていた」と主張しました。

西部、リビウ州のコジツキー知事は、SNSへの投稿で、25日午前、リビウから東に40キロ離れたクラスネにある鉄道の変電所が、ロシア軍によるミサイル攻撃を受け、爆発が起きたと明らかにしています。

ウクライナの首都キーウには、24日、アメリカのブリンケン国務長官とオースティン国防長官が訪問してゼレンスキー大統領と会談し軍事支援をさらに強化する考えを説明しています。

両長官は鉄道を使ってキーウを訪れていたということです。

ロシアは東部の軍事作戦を強化していますが、アメリカなどの軍事支援も受けるウクライナ軍の抵抗に直面して激しい攻防が続いていて、西部や中部への鉄道施設への攻撃は、欧米側をけん制するねらいもあるとみられます。

こうした中、国連のグテーレス事務総長は26日にモスクワを訪問しロシアのラブロフ外相と会談するほか、プーチン大統領が開くレセプションにも出席する予定です。

グテーレス事務総長はプーチン大統領らとの会談で、停戦の実現に向けて働きかけたい考えです。

ただ、プーチン政権は、およそ2週間後の来月9日に迫った、旧ソビエトが第2次世界大戦でナチス・ドイツに勝利した「戦勝記念日」に向けて、侵攻を加速させるものとみられ、外交交渉による解決は、依然、見通せない状況です。