【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(26日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる26日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

トルコ エルドアン大統領とプーチン大統領が電話会談

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐり、停戦に向けた仲介に積極的な姿勢を示すトルコのエルドアン大統領は26日、ロシアのプーチン大統領と電話会談を行いました。

トルコ大統領府によりますと、この中でエルドアン大統領は、先月イスタンブールで行われた、ロシアとウクライナの代表団による停戦交渉に触れ「交渉で得られた前向きな動きを継続することが重要だ。このプロセスを首脳レベルで行うことを提案した」と述べ、プーチン大統領に対し、ゼレンスキー大統領との首脳会談を改めて呼びかけたということです。

一方、ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は停戦交渉の現状についてエルドアン大統領に説明したということです。

また、ウクライナ東部のマリウポリについて「すでに解放され、敵対行為は行われていないことをプーチン大統領が指摘した」として、ロシア側が掌握したという見方を重ねて示したとしています。

国連事務総長「人道回廊提案」 外相「停戦交渉仲介時期尚早」

モスクワを訪問した国連のグテーレス事務総長は、ロシアのラブロフ外相との会談のあと共同で記者会見を行いました。

この中で、グテーレス事務総長は「国連は、民間人を守り、解決に向けた政治的な対話を実現するため、繰り返し停戦を呼びかけてきたが、まだ実現していない。ウクライナとロシアの双方の人たちにとって、この戦争を早く終わらせなければならないという信念を持っている」と述べました。

そのうえで「多くの民間人が殺され、命が危険にさらされ、人権が脅かされている。戦争犯罪の責任を明らかにするための独立した調査も必要だ」と指摘しました。

また「民間人が安全に避難できるように、ロシアとウクライナと国連が合同で、安全な人道回廊を設置することを提案した」と述べました。

さらに、ロシアが掌握したと主張するウクライナ東部のマリウポリについて「マリウポリの人たちの命を守るために、国連は人員と資源を投入する準備がある。赤十字国際委員会とも協力して安全な避難を可能にし、必要なところに人道支援を届けたい」と述べました。

一方、ロシアのラブロフ外相は「アメリカやその同盟国が、NATO=北大西洋条約機構を際限なく拡大し、一極主義をとった結果だ」と述べ、現在のウクライナ情勢をめぐる問題の原点は、欧米側にあると批判しました。

また、ロシアとウクライナとの停戦交渉について、「われわれの新しい提案をウクライナ側は確認しておらず、失望している。交渉の仲介について話すのは時期尚早だ」と述べ、停戦交渉に進展がみられないのは、ウクライナ側に原因があると主張しました。

また、ウクライナ東部の要衝マリウポリからの市民の避難について「われわれは何度も、市民を避難させるための『人道回廊』の設置を提案しているが、ウクライナのアゾフ大隊が無視している」と主張し、市民の避難が実現しないのも、ウクライナ側が原因だと批判しました。

国連事務総長 ロシア外相と会談 マリウポリの状況など話し合いか

国連のグテーレス事務総長がロシアの首都モスクワを訪問し、ラブロフ外相と会談しました。グテーレス事務総長はプーチン大統領とも面会する予定で、ウクライナ情勢をめぐり停戦の実現に向けて働きかけを強めたい考えです。

国連のグテーレス事務総長はモスクワを訪問し、26日、日本時間の午後6時半すぎ、ロシアのラブロフ外相と会談しました。

会談では、戦闘が続くウクライナの停戦や、人道危機が深刻化し市民の避難が大きな課題となっている東部の要衝マリウポリの状況などが話し合われているとみられます。

会談の冒頭、ラブロフ外相は「過去数十年にわたり、ウクライナ情勢はさまざまな問題の火種となっている」と指摘したうえで、「残念ながら欧米側が一極世界の状況を作り出している」と欧米を非難しました。

これに対し、グテーレス事務総長は「できるだけ早く停戦を実現し、平和的な解決策を得るため、効果的な対話の環境を見いだすことに非常に関心がある」と述べ、ロシアとウクライナの仲介に強い意欲を示しました。

ロシア ラブロフ外相「核戦争のリスク 非常に大きくなっている」

ロシア外務省は、ラブロフ外相が、国営の「第1チャンネル」に行ったインタビューを25日、公開しました。

このなかでラブロフ外相は、ロシアは核戦争を容認しないという立場を示したうえで「いま核戦争のリスクは、非常に大きくなっているが、私は、人為的にリスクを高めることを望まない。核戦争を望む者は多い。危機が深刻化し、現実となりつつあることを、過小評価してはならない」と述べ、欧米をけん制しました。

そして「第3次世界大戦を引き起こしてはならないと、各国が呪文のように唱えているにも関わらず、ゼレンスキー政権は挑発行為を続けている」と主張しました。

さらに「各国はウクライナに武器を供与しようとしているが、これも火に油を注ぐことにほかならない」と欧米を非難しました。

またラブロフ外相は、冷戦時代の1962年におきたキューバ危機と現在の情勢を比較して「当時は2人の首脳の間に対話のチャンネルがあったが、今はそれがなく、誰も作ろうとさえしていない」と指摘しました。

そのうえで「もしNATO=北大西洋条約機構が事実上、代理国を通じて、ロシアと戦争をしようとし、そのために代理国を武装させるとしたら、そのときは、戦争には戦争で応じる」と述べ、ウクライナへの軍事支援を強めるNATOを非難しました。

ウクライナ南部ヘルソン市議会 ロシア側に占拠されたか

ロシア軍が制圧したウクライナ南部、ヘルソンの市長は、武装した人物が市議会の建物に侵入して鍵を奪い、警備員がロシア側の人物に入れ替えられたと25日SNSで明らかにしました。

地元メディアは、ヘルソンの市議会がロシア側に占拠されたと伝えています。

イギリス国防省は、24日に公表したウクライナの戦況の分析の中で「ロシアはヘルソンで占領を正当化するための住民投票を計画している」と指摘していました。

国連事務総長 モスクワ訪問 ロシア外相との会談始まる

国連のグテーレス事務総長がロシアの首都モスクワを訪問し、26日、日本時間の午後6時半すぎ、ラブロフ外相との会談が始まりました。

グテーレス事務総長が、モスクワを訪問するのは、ことし2月、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから初めてで、プーチン大統領とも面会し、停戦の実現に向けて働きかけを強めたい考えです。

ただ、ロシアは欧米によるウクライナへの軍事支援に反発を強め、厳しい話し合いになる見通しで、停戦への道筋はみえていません。

米主導 ウクライナ軍事支援協議する会合始まる

NATO=北大西洋条約機構の加盟国など40か国以上が参加して、ウクライナへの軍事支援などを協議する会合がドイツで始まり、会合を主導したアメリカのオースティン国防長官が、各国に軍事支援の強化を呼びかけました。

ウクライナの戦況や軍事支援のあり方などについて協議するため、アメリカの主導で開かれた今回の会合には、ウクライナのレズニコフ国防相やNATOの加盟国などがオンラインも含めて参加しています。

会場となったドイツ西部のラインラント・プファルツ州にあるアメリカ軍の基地では26日、厳重な警備が敷かれる中、各国の高官を乗せた車両が続々と到着していました。

会合は、日本時間の午後5時すぎから始まり、アメリカのオースティン国防長官は、冒頭、40か国以上が会合に参加しているとしたうえで「われわれはロシアの不当な侵略をウクライナが打ち負かせるように支援するためここに集まった。ウクライナは勝利のために助けを必要としている」と述べ各国に軍事支援の強化を呼びかけました。

アメリカのバイデン政権は、この会合に先立ってオースティン国防長官とブリンケン国務長官をウクライナの首都キーウへ派遣し軍事支援を強化するため、ウクライナとヨーロッパ東部などの15の国に対して7億1300万ドル以上、日本円にして900億円以上の支援を行うことをゼレンスキー大統領に伝えています。

アメリカとしては、会合を通じて、各国が連携してウクライナへの軍事支援の強化を確認することで、軍事侵攻を続けるロシアをけん制するねらいがあるとみられます。

ウクライナ 各国の支援に感謝する動画 日本は言及なし

ウクライナ外務省は25日、公式ツイッターに各国からの支援に感謝する動画を投稿しました。

動画ではアメリカやカナダなど31の国名が紹介され、「私たちの友情は私たちの勝利だ」としています。

紹介された国のほとんどはNATO=北大西洋条約機構の加盟国で、アゼルバイジャンやエジプトなど加盟していない国もある一方で、日本は言及されていませんでした。

投稿ではウクライナ軍幹部の名前で「このような困難な時期に、揺るぎない支援をしてくれたわれわれのパートナーに心から感謝している」と記しています。

また、ウクライナ外務省の投稿に先立って、国防省も同じ動画を公式ツイッターに投稿していました。

今回の動画について、日本にあるウクライナ大使館は「武器を提供してくれた国に対する感謝を示すためのものだ」としたうえで「日本の支援や協力にはもちろん感謝している」とコメントしています。

ウクライナからの避難民 719人に 出入国在留管理庁

出入国在留管理庁によりますと、ウクライナからの避難民は今月24日時点で719人に上っています。

内訳は、▽今月5日に政府専用機で避難してきた人が20人、▽今月9日と16日、それに23日に政府が座席を借り上げた民間の航空機で避難してきた人が合わせて37人、▽そのほかの手段で避難してきた人が662人となっています。

政府はウクライナからの避難民を積極的に受け入れる方針で、90日間の短期滞在を認める在留資格を付与し、本人が希望すれば就労が可能で1年間滞在できる「特定活動」の在留資格に変更できます。

この在留資格に変更すると、住民登録をして、国民健康保険に加入したり、銀行口座を開設したりすることができ、出入国在留管理庁によりますと今月24日時点で262人の変更を認めたということです。

出入国在留管理庁には自治体や企業などから住居や就労先などの支援の申し出が、今月22日の時点で1295件寄せられていてこれらの申し出に基づいて、本格的に支援が始まるのは来月以降になる見通しです。

避難生活の長期化が予想される中、ことばの壁や就労などへの不安にどう対応し、必要な支援を行えるかが課題となっています。

ウクライナから国外に避難した障害者の支援 約100人派遣

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、ウクライナから国外に避難した障害のある人たちの生活を支えるため、日本財団は、日本の学生ボランティアおよそ100人を派遣するなどの新たな支援策を発表しました。

支援策は日本財団が記者会見して発表しました。

それによりますと、日本財団は、ウクライナから国外に避難した障害者の生活を支援するため、来月末から、ポーランド南部のクラクフやオーストリアの首都ウィーンなど多くの人が避難している地域に日本の学生ボランティア105人を派遣し、医薬品や食料品の配布などの生活支援を行うとしています。

また、イスラエルに本拠地のある国際NGOに助成して、ウクライナ国内に残された障害者の救出や医薬品の提供、それに国外の避難先での生活支援を行うとしていて、今回、合わせて4億円余りを拠出するということです。

日本財団によりますと、ウクライナ国内にはおよそ270万人の障害者がいて国外に避難した人もいますが、移動手段がなく、攻撃を受けている地域から避難できずにいる人も少なくないということです。

樺沢一朗常務理事は「ウクライナの障害者の避難や生活支援はこれまでほとんど行われておらず、私たちには長年の経験があるので取り組むべきだと考えた。日本の多くの学生にもぜひ参加してもらって支援につなげたい」と話しています。

政府 ウクライナ周辺国への救援物資輸送 経由地をUAEのみに

ウクライナからの避難民を受け入れる周辺国に自衛隊機で救援物資を輸送する計画について政府は、インドとUAE=アラブ首長国連邦にある施設で備蓄された物資を積み込む方針でしたが、インドから自衛隊機を受け入れる同意が得られませんでした。

このため政府は、再検討した結果、26日の自民党の会合で、物資を積み込む経由地についてインドをとりやめ、UAEのみに見直した計画を示し了承されました。

政府は、28日閣議決定し、実施に移す方針ですが、見直しが生じたことで、物資の輸送開始は、想定していた今月下旬から来月上旬にずれ込む見通しになりました。

支援業務を担当する内閣府の赤池副大臣は、26日の会合で「政府の不手際で、計画を見直す事態になったことを大変申し訳なく思っている。政府全体として襟を正して取り組みたい」と述べました。

政府 ウクライナに初の直接食料支援へ

ロシアによる軍事侵攻が続き、多くのウクライナ市民が厳しい生活を余儀なくされていることから日本政府は魚の缶詰やパックご飯などの食料支援を行う方針を固めました。

政府によるウクライナへの直接の食料支援は初めてとなります。

ロシア軍の侵攻を受けて特にウクライナ東部では食料支援の需要が高まっているほか、UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ウクライナから国外に避難した人の数は、24日の時点で523万人余りとなっています。

農林水産省は先月、ウクライナ側から非常用の食料支援などの要請を受けて調整を進め、直接、支援を行う方針を固めました。

具体的には▼魚の缶詰3万3000缶、▼パックご飯を3万6000個、▼缶詰パン1600缶、それに▼牛乳から水分を除去して乾燥させた全粉乳を2800袋など合わせておよそ15トンです。

農林水産省が国内の企業から買い上げて、来月上旬にもチャーター機で隣国ポーランドに送ることにしています。

これまで日本は国連のWFP=世界食糧計画などを通じてウクライナへの支援を行っていましたが、政府による直接の食料支援はこれが初めてとなります。

米国防長官「できるかぎりのことをする」

ウクライナの首都キーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談したアメリカのオースティン国防長官は25日、ポーランドで記者会見し「勝つための第一歩は自分が勝てると信じることだ。ウクライナ側は適切な装備と支援があれば勝てる。われわれはできるかぎりのことをするつもりだ」と述べて、ウクライナへの軍事支援を続ける考えを強調しました。

そのうえで現在のアメリカの目標を問われたのに対し「われわれはウクライナが主権国家であり続けることを望んでいる。そしてロシアがウクライナに侵攻して行ったようなことができなくなる程度まで弱体化することを望んでいる。率直に言って彼らはすでに多くの戦力と部隊を失っている。そして彼らがすぐに戦力を回復できないことをわれわれは望んでいる」と述べました。

また、ともに記者会見したブリンケン国務長官はロシアによる軍事侵攻について「ロシアはすでに失敗し、ウクライナは成功している。なぜならプーチン大統領の主な目的はウクライナを完全にロシアに組み込み、主権と独立を奪うことだったがそれは実現しなかったし、明らかに今後も実現しない」と強調しました。

ドネツク州知事「子ども2人含む市民4人死亡」

ウクライナ東部のドネツク州の知事は、25日、子ども2人を含む市民4人が死亡したと自身のSNSで明らかにしました。

発表によりますと、死亡した2人の子どもは、9歳の女の子と14歳の男の子だということです。侵攻を続けるロシア軍は、ドネツク州などウクライナ東部に戦力を集中的に投入し、攻勢を強めています。

ロシア外務省 ドイツの外交官など40人追放

ロシア外務省は、25日、ロシアに駐在するドイツの外交官など40人を追放すると発表しました。ドイツ政府は、4月4日、ドイツに駐在するロシア人外交官40人を追放していて今回は、これに対する報復措置だとしています。

ロシアの発表に対してドイツのベアボック外相は、25日、声明を出し、「ドイツが追放したロシアの外交官は、外交には一切関わらず、ドイツ社会の自由や共生に反する行為を組織的に行っていた。われわれの同僚は追放に値する行為は何もしていない。ロシアはみずからをおとしめているだけだ」としてロシアの対応を批判しました。

ロシア国営のタス通信などは、ウクライナへの軍事侵攻をめぐり、これまでに、28か国に駐在していたロシア人外交官など、合わせておよそ400人が追放されたと伝えていて、これに対してロシアは、報復措置をとると警告していました。

ロシア国防省「人道回廊 誰も使わなかった」

ウクライナ東部のマリウポリで、多くの市民が避難しているとされ、人道的な危機が続くアゾフスターリ製鉄所について、ロシア国防省は25日、市民を避難させるための「人道回廊」を設置すると発表しましたが、その後、「ウクライナ側がこの活動を台なしにし、人道回廊を誰も使わなかった」と主張しました。

アゾフスターリ製鉄所を巡っては、ロシアのプーチン大統領が21日、攻撃を中止し、一帯の包囲を続けるよう命令しましたが、ウクライナ側は、攻撃は続いていると批判しています。

そして、ウクライナ側は、ロシアが設置したと主張する「人道回廊」についても「安全が保証されていない」として反発していました。

“鉄道施設への攻撃で5人死亡” ウクライナ中部の検察当局

ウクライナ中部と西部にある鉄道施設が、25日、攻撃を受けたことについて、ウクライナ国内の鉄道を運営する会社は、攻撃されたのは合わせて5か所だとSNSへ投稿しました。

このうち、西部の攻撃について、リビウ州のコジツキー知事はSNSへの投稿で、25日午前、リビウから東に40キロ離れたクラスネにある鉄道の変電所が、ロシア軍によるミサイル攻撃を受け、爆発が起きたとしています。

また、ウクライナ中部の検察当局は中部の2か所への攻撃によってこれまでに合わせて5人が死亡し、18人がけがをしたと25日、明らかにしました。

一連の鉄道施設への攻撃についてウクライナ軍の高官は、「外国から提供される兵器や支援の供給ルートを破壊しようとしている」という分析をSNSに投稿しています。

ハルキウ アパートから黒煙

ロシア軍が攻撃を強めているウクライナ東部のハルキウでは25日、アパートから炎と黒煙が上がっている様子が撮影されました。

消防隊員が消火活動にあたっている様子が捉えられているほか、黒く焼け焦げたアパートの室内が確認できます。アパートの住民の男性は、「想像もつかない状況で、恐ろしい」と話していました。

アメリカによるウクライナへの軍事支援 計約37億ドルに

アメリカ国務省によりますとアメリカのブリンケン国務長官とオースティン国防長官は、24日にウクライナの首都キーウを訪問して行ったゼレンスキー大統領との会談で新たな軍事支援を行うことを伝えました。

具体的にはウクライナへの軍事支援を強化するため、ウクライナとヨーロッパ東部などの15の国に対して7億1300万ドル以上、日本円にして900億円以上の支援を行うとしています。

このうち、ウクライナに対しては3億2200万ドル以上、日本円にして400億円以上を直接支援し、残りはウクライナに兵器を供与した国々への支援にあてられるということです。

また、ウクライナ軍の兵士に対してアメリカが供与している兵器についての軍事訓練を拡大するほか、兵器の輸送をさらに加速させる意向も伝えたということです。

アメリカ国務省によりますと、2月24日にロシアが侵攻を開始して以降、アメリカによるウクライナへの軍事支援は合わせておよそ37億ドル、日本円にしておよそ4700億円に上るということです。

英国防相 追加で兵器供与へ

イギリスのウォレス国防相は25日、ウクライナ情勢について、議会下院で声明を発表しました。

この中で、ウクライナに対し、追加で兵器を供与することを明らかにし「対空ミサイルの発射装置を備えた少数の装甲車を送る予定だ。これらの装甲車は日中でも夜間でもウクライナ軍の短距離の対空能力を高めることになるだろう」と述べました。

また、ウォレス国防相は、ロシア軍の被害についてこれまでに、およそ1万5000人の兵士が死亡したという分析を明らかにしました。

▽2000を超える装甲車が破壊されるなどしたほか、▽60を超えるヘリコプターや戦闘機を失ったとしています。

少なくとも2665人の市民死亡と発表 国連人権高等弁務官事務所

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から4月24日までに、ウクライナで少なくとも2665人の市民が死亡したと発表しました。このうち195人は子どもだとしています。

地域別でみると、▼東部のドネツク州とルハンシク州で1217人、▼それ以外のキーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで1448人の死亡が確認されているということです。

また、けがをした市民は3053人にのぼるとしています。

しかし、東部のマリウポリなど激しい攻撃を受けている地域での死傷者の数について国連人権高等弁務官事務所は▼集計が遅れていたり、▼確認がまだ取れていなかったりして今回の統計には含まれていないとしていて、実際の死傷者の数はこれを大きく上回るとの見方を示しています。

ロシア マリウポリ支配の既成事実化を加速

ウクライナ東部の要衝マリウポリで、親ロシア派の武装勢力が一方的に市長に任命したイワシェンコ氏は25日、地元の通信社に対し、親ロシア派が市内にある2つの病院を管轄下に置いたことを明らかにしました。

イワシェンコ氏は病院では集中治療もできるとアピールしているほか、親ロシア派の管轄下で学校も開校し、600人以上の児童や生徒が学び始めたと主張しています。

ロシアのプーチン政権はマリウポリの掌握を主張し、5月9日には旧ソビエトが第2次世界大戦でナチス・ドイツに勝利した記念日に合わせて現地でロシア側による軍事パレードの実施も計画するなど、マリウポリ支配の既成事実化を加速させています。

バイデン大統領 ウクライナ大使を発表

アメリカのバイデン大統領は25日、ウクライナに駐在する大使に、現在、スロバキアで大使を務めるブリジット・ブリンク氏を指名すると発表しました。

ウクライナに駐在するアメリカの大使は、3年前から空席になっていて、24日に首都キーウを訪問したブリンケン国務長官が、ウクライナへの支援強化の一環としてバイデン大統領が近く、大使を指名すると明らかにしていました。

ブリンク氏はアメリカ議会上院で承認されれば大使に就任することになります。

プーチン大統領 「欧米がロシア報道機関にテロを計画」

ロシアのプーチン大統領は25日モスクワ市内で行われた検察当局の会合で演説し「ウクライナでの軍事作戦によって、ウクライナのネオナチ組織や外国のよう兵などによる国際法に違反する犯罪などが明らかになっている。外国のメディアやSNSを利用した、ロシア軍に対する挑発行為も徹底的に調査されるべきだ。ロシアでの犯罪に対処しなければならない」と述べました。

そのうえで、プーチン大統領は、ロシアの著名なジャーナリストを暗殺しようとするテロ計画を、25日にロシアの治安機関FSB=(エフ・エス・ビー)連邦保安庁が未然に防いだと述べました。

これについて、FSBは25日、ネオナチ思想を持つロシアの組織が、ウクライナの治安当局の指示で、プーチン政権に近い著名なキャスター、ウラジーミル・ソロビヨフ氏を暗殺しようとしたものの、犯行グループを拘束したと発表しました。

また、プーチン大統領は演説で、アメリカなど欧米の諜報機関がロシアとの情報戦を制するためにロシアの報道機関に対するテロを計画しているなどと一方的に主張しました。

ウクライナから国外避難523万人(24日時点)

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、24日の時点で523万人余りとなっています。

主な避難先は、
▼ポーランドがおよそ290万人、
▼ハンガリーがおよそ49万人、
▼モルドバがおよそ43万人などとなっています。

また、▼ルーマニアには23日の時点でおよそ77万人が避難しています。

▼ロシアに避難した人は、24日の時点でおよそ60万人となっています。