フランス大統領選 マクロン氏勝利も 分断深く難しいかじ取りか

ウクライナ情勢への対応などが争点となったフランス大統領選挙は、現職の中道、マクロン大統領が、極右政党のルペン前党首を破り、再選を果たしました。一方でルペン氏も得票を伸ばして、国内の分断が深まっていることが浮き彫りになり、2期目を迎えるマクロン大統領は引き続き難しいかじ取りを迫られるという見方が広がっています。

フランス大統領選挙は24日、決選投票が行われ、
▼現職の中道マクロン大統領が58.54%
▼極右政党のルペン前党首が41.46%、
それぞれ得票し、マクロン大統領が再選を果たしました。

決選投票は前回5年前と同じ2人の争いとなり、マクロン大統領が連勝したかたちですが、ルペン氏も得票率を伸ばして前回と比べ大きく差を縮めました。

選挙から一夜が明けた25日、パリ市内の有権者からはさまざまな声が聞かれました。

このうちマクロン大統領に投票したという50歳の女性は「結果にとても満足しています。フランスをどう導きたいのか、マクロン大統領には展望があります。すべての国民を率いてほしい」と話していました。

一方、どちらの候補も支持できず白票を投じたという62歳の男性は「マクロン大統領のままではこれまでの5年間と何も変わらないのではないかと思います」落胆した様子で話していました。

また、フランスの新聞各紙のうち右派系のフィガロは「大きな勝利。大きな挑戦」という見出しで伝えているほか、左派系のリベラシオンは「大統領の再選はかつてないほど力を持った極右政党の候補を阻止しようと結集した民主的な声のおかげだ」と伝えています。

フランス政治に詳しいパリ大学講師のバンジャマン・モレル氏は「社会の分断が解消されたわけでなく、ウクライナ情勢を受け再び物価問題も浮上しており、国内で抗議行動が再び起きる可能性は十分ある」と述べ、マクロン大統領が2期目も難しい政権運営を迫られるという見方を示しています。

ロシアとの関係重視 リーダーシップ発揮できるか

マクロン大統領はこれまでロシアとの関係を重視し、ウクライナ情勢が緊迫してからも事態の外交的な解決に奔走してきました。

就任直後の2017年、パリ近郊のベルサイユ宮殿にプーチン大統領を招いて初めての首脳会談を行ったほか、その2年後にはプーチン大統領を南仏の保養地に招くなど、個人的な関係を築こうと努めてきました。

ウクライナ情勢が緊迫すると、ことし2月初めにモスクワを訪問。

「この対話から段階的な緊張緩和に向けて動き始めることができると思う」と述べ、事態の打開に向け、プーチン大統領に直接働きかけました。

しかし、プーチン大統領が軍事侵攻に踏み切ると、マクロン大統領は国民向けのテレビ演説で一転して厳しく非難しました。

マクロン大統領は「われわれの制裁はロシアの攻撃に見合ったものになる。手加減はしない」と述べ、EU=ヨーロッパ連合の議長国として、制裁に向けた議論を主導しました。

その一方でマクロン大統領は、ロシアを抜きにヨーロッパの安全保障は考えられないとしていて、ロシアとの対話を絶やすことには慎重な姿勢をとってきました。

アメリカのバイデン大統領が「プーチン大統領は権力の座から去るべきだ」と非難した際にも、みずからは「事態を悪化させるような言動には同調できない」として、プーチン大統領との関係を決定的に悪化させる発言は控えてきました。

選挙で勝利を収めたマクロン大統領は、このあとEUの結束を保ちながら停戦の実現やヨーロッパの長期的な安定に向けて、どこまでリーダーシップを発揮できるかが、問われることになります。

新型コロナ対応 評価分かれる

ヨーロッパで新型コロナウイルスの感染が拡大する中、マクロン大統領はおととし3月、厳しい外出制限や生活必需品を扱う店舗以外の営業の禁止に踏み切り、国民の生活は一時、大幅に制限されました。

こうした措置が突然導入されたことから、当初、国民の間に戸惑いも広がりましたが、マクロン大統領はテレビ演説で「われわれは『戦争』のさなかにある。感染の拡大を遅らせるため、犠牲を払ってほしい」と国民に理解を求めました。

一方で、感染拡大による経済や雇用への影響を最小限にとどめようと、休業を余儀なくされる飲食店や商店の従業員の賃金を政府が補償するといった対策をやつぎばやに打ち出しました。

この年の年末に行ったテレビ演説では、看護学校の卒業生の女性が率先して感染者の対応にあたったことや、厳しい感染状況の中でもごみ収集車の運転手が休みなく働き続けたことなどを紹介し「体を張って連帯した市民によってフランスは試練を乗り越えることができた。一人一人が希望であり、フランスそのものだ」と述べ、対応にあたった国民に敬意を表しました。

おととし12月、フランスは世界各国の中でも極めて早くワクチンの接種を始め、マクロン大統領はその後一貫してワクチン接種を柱とした感染対策を推し進めました。

さらに感染状況が落ち着き、飲食店などの営業が再開すると、経済と感染対策を両立させるためレストランなどでワクチンの接種証明の提示を義務づけ、国民の一部からは「接種の事実上の義務化につながるものだ」という反発も上がり、抗議デモも行われました。

しかし、今月21日の時点で国民のうち2回の接種を終えた人は79.6%、3回目の接種を終えた人は59%に上り、飲食店などでの接種証明の提示義務は撤廃されています。

新型コロナをめぐるマクロン大統領の対応について、リーダーシップを発揮したと評価する声がある一方で、感染して亡くなった人も14万人以上に上ることから対応が不十分だったのではないかという指摘もあり、評価が分かれています。

プーチン大統領 祝意のメッセージ

マクロン大統領が再選したことを受けて、ロシア大統領府は25日「成功と健康、幸福を心からお祈りします」とするプーチン大統領の祝意のメッセージを発表しました。