ワクチン4回目接種 推奨対象は60歳以上などの見通し 厚労省

新型コロナウイルスワクチンの4回目の接種について、厚生労働省は25日、専門家部会を開き、ファイザーとモデルナのワクチンを使用することを認める方針を決めました。接種を推奨する対象は▼60歳以上の人と▼基礎疾患がある人とする見通しです。

25日夜開かれた、厚生労働省の専門家部会ではファイザーとモデルナのワクチンについて、4回目の接種に使用するかどうかが審議されました。

厚生労働省は部会での議論を踏まえていずれも使用を認める方針を決め、27日、専門家でつくる分科会に諮った上で無料で受けられる公的接種にも位置づけることにしています。

ワクチンを使用できるのは、3回目から5か月がたった人とする方針ですが、接種を推奨する対象は先行している海外のデータなどから▼60歳以上の人と▼基礎疾患がある人とする見通しです。

先行する国では対象などにばらつき

4回目の接種をめぐっては、先行するイスラエルや欧米でも対象や接種間隔などにばらつきがあります。

去年12月30日、最も早く接種を開始したイスラエルでは、
▽対象を60歳以上か、18歳以上の重症化リスクのある人、医療従事者などとし、3回目からの間隔を4か月としています。

ことし2月に接種が始まったドイツでは
▽70歳以上か、5歳以上の免疫不全のある人、介護施設の入所者はいずれも3か月、
▽医療従事者などが6か月となっています。

ことし3月に始まったフランスでは、
▽80歳以上の人や免疫不全のある人で3か月、
同じく3月に始まったイギリスでは、
▽75歳以上か、介護施設で暮らす高齢者、12歳以上の免疫不全のある人で、おおむね6か月となっています。

アメリカでは先月末から、50歳以上の人や臓器移植を受けるなどして免疫不全の状態にある人を対象に4か月の間隔で緊急使用が許可されています。

専門家「科学的な根拠も含めて分かりやすく説明を」

新型コロナワクチンの4回目の接種について、国際医療福祉大学の松本哲哉教授は「まず高齢者に対象を絞ることは世界的な傾向だ。海外では重症化しやすい人を中心に追加の接種を進めて重症化を抑えていくというふうに方針を転換してきている」と指摘しています。

そのうえで「何回も打たなければいけないとなると、不安や不満も多くなってくる。高齢者がなぜ打たなければいけないのか、科学的な根拠も含めて分かりやすく説明し、打ったほうがいいと理解してもらえるような説明が必要だ。4回目を打てば終わりなのか、今後も接種が必要ならどれくらいの間隔で打っていくのか、明確なデータがないにしても、国は今後の感染の予測も踏まえて国民に説明していくべきだ」としています。

各自治体は急ピッチで準備

厚生労働省は、5月下旬をめどに会場の手配や接種券を送る準備などを終えるよう、3月、自治体に通知しました。

各自治体では急ピッチで準備が進められていて、
このうち東京 江東区は最短で
▽5月1日から医療従事者と高齢者施設の入所者に、
▽6月18日から高齢者に4回目の接種を始められるよう、
接種券の手配などを行っています。

26日には、去年のうちに3回目の接種を終えた医療従事者と高齢者の接種券合わせて3500人分が印刷会社から区役所に届く予定です。

国からは希望者全員が対象となることを想定して準備を進めるよう求められていますが、対象者が変更される可能性があるため、最終的な連絡を待って接種券を発送することにしています。

また、対象が変更された場合に備え、さまざまなパターンを想定して接種計画を策定しているということです。

一方、基礎疾患のある人に接種を推奨することになった場合は、自治体で個別に把握できないため、ポスターなどで一律に呼びかけることを検討しています。

江東区の根本将司ワクチン接種管理担当課長は「対象者の範囲しだいで、集団接種の会場をいつからいつにかけて何か所開設するかが決まってくる。早めに接種間隔や対象などを示してほしい」と話していました。