アメリカ主要2閣僚がキーウ訪問 軍事支援さらに強化の考え

アメリカのブリンケン国務長官とオースティン国防長官が、ウクライナの首都キーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談しました。
ロシアによる軍事侵攻後、アメリカの主要閣僚がウクライナの首都を訪問したのは初めてで、両長官は、ロシア軍が攻勢を強める中、ウクライナへの軍事支援をさらに強化していく考えを示しました。

アメリカのブリンケン国務長官とオースティン国防長官は25日、ポーランドで記者会見し、前日の24日、ポーランドから陸路でウクライナの首都キーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談したと明らかにしました。

ブリンケン長官は、会談は3時間に及んだとしていて、この中で「われわれの関与のさらなる表れとして、ウクライナに外交官を戻すことを発表するつもりだ。さらにバイデン大統領は、次のウクライナ大使を指名する意向を表明する予定だ」と述べました。

ブリンケン長官によりますと、退避していたアメリカ大使館の要員は、来週から戻し始める予定だということです。

さらに両長官は、ウクライナや周辺国が武器を購入できるよう、アメリカが合わせて7億1300万ドル、日本円で900億円余りを提供するなど、軍事支援をさらに強化する考えも説明したとしています。

オースティン国防長官は会見で「会談は建設的だった」としたうえで「われわれの会談のねらいは、現在の戦闘にいかに勝利し、あすにどう備えるかにあった」と説明しました。

ロシアによる軍事侵攻が始まってからのこの2か月で、アメリカの主要閣僚がウクライナの首都を訪問するのは初めてです。

ロシア軍は、首都キーウの早期掌握を断念したあと、作戦が「第2段階」に入ったとして、東部での大規模な戦闘に向けて部隊の移動を進めています。

ウクライナ東部は見晴らしのよい広大な土地が広がり、砲撃による戦闘が激化することが予想されていて、アメリカ政府は21日、りゅう弾砲72門や14万発を超える砲弾などの追加支援を発表しています。

バイデン政権としては、主要2閣僚が首都を訪問し、追加の軍事支援を約束することで、ウクライナとの連帯を示し、ロシアをけん制するねらいがあったとみられます。

両長官のキーウ訪問は、安全に配慮して秘密裏に行われ、両長官がウクライナを出国するまで、アメリカメディアは報道を控えるよう求められていたということです。

このあと、オースティン国防長官は、26日にドイツにあるアメリカ空軍の基地でNATO=北大西洋条約機構の加盟国など関係国を集め、ウクライナの戦況や安定的な軍事支援の在り方などについて協議することにしています。

ロシア軍 東部中心に攻撃 南部で実効支配の動きも

一方、ウクライナでは24日、キリストの復活を祝う復活祭の日を迎えましたが、こうした中でも、ロシア軍は東部を中心に広い範囲で攻撃を行っています。

東部ルハンシク州の知事は24日、州西部にある住宅街がミサイル攻撃を受け、8人が死亡し2人がけがをしたと明らかにしました。

また東部ハルキウ州の当局も24日、ロシア軍による砲撃で子どもを含む3人がけがをしたと発表しました。

さらに、東部マリウポリについて、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は24日、ツイッターに投稿し、ウクライナ側の部隊が拠点としてきたアゾフスターリ製鉄所のある地域について「復活祭の日を迎えたまさに今も、ロシア軍はアゾフスターリを攻撃し続けている。市民や部隊がいる場所が攻撃にさらされている」と明らかにしました。

こうした中、イギリス国防省は24日、ウクライナでの戦況について「ロシアは南部のヘルソンで、占領を正当化するための住民投票を計画している」とする分析を公表し、実効支配に向けた動きを強めているとみられます。

ウクライナは、アメリカなどに対して一層の軍事支援を求めながら、徹底抗戦をする構えで、これに反発するロシアが攻撃を一段と激化させることも懸念されます。