【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(24日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻は開始から2か月になります。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる24日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

キーウの教会では「復活祭」多くの人が祈り

ウクライナで多くの人が信仰するウクライナ正教会では24日が、重要な宗教行事である復活祭にあたり、首都キーウの教会には多くの人が祈りに訪れてました。

キリスト教のウクライナ正教会では、ことしは24日がキリストの復活を祝う復活祭にあたります。
ウクライナの首都キーウの教会では、朝早くから、復活祭に欠かせない、色づけしたゆで卵を入れたバスケットを持った人たちが列を作り、厳かな雰囲気の中で祈りをささげてました。

ロシアによる軍事侵攻が始まって以降、ウクライナでは国民の結束を示そうと、国旗の色である青と黄色をデザインした看板やポスターが街の至る所で見られるようになりましたが、ことしはゆで卵も、青と黄色に色づけする人が多くいます。
このうち、51歳の男性は「復活祭は最も重要な行事の一つですが、私がここで静かに過ごしている今この瞬間も、どこかで爆発が起き誰かが犠牲になっていて、とても複雑な気持ちです」と話していました。
また36歳の女性は「復活祭は『奇跡は起きる』ということを思い出す日ですが、私たちが今求めている勝利と平和は、奇跡ではなく、確実に訪れるものだと信じています」と話していました。

ポーランド側の国境に立ち続ける男性の思い

ロシア軍がウクライナへ侵攻した当初から、2か月にわたってポーランド側の国境に立ち続け、避難してくる人たちを支えるウクライナ人男性がいます。

アレクサンドル・フョードロフさん(47歳)は、ロシアが軍事侵攻を始めた時、チェコの建設現場で働いていましたが、ウクライナと国境を接するポーランド南東部のメディカまで来ました。

しかし、父親がロシア人であるフョードロフさんには、帰国して武器を手に取って戦うことはできず、ポーランド側の国境でウクライナから避難してきた人たちを支えることも1つの戦いと捉えて活動を続けています。

フョードロフさんの家族は東部マリウポリにいて、アパートは、ウクライナの「アゾフ大隊」が拠点とする製鉄所の近くにあります。当初、家族と連絡を取ることができていましたが、ロシア軍の攻撃が激しくなった1か月前からは音信が途絶えてしまいました。

フョードロフさんは、国境近くの倉庫で寝泊まりし、「マリウポリ」と書き込んだウクライナ国旗を身にまとって支援を続けながら、自身の家族の手がかりを得ようとしています。フョードロフさんは、家族の消息をつかむことができていないことに焦りを募らせながらもつとめて明るく振る舞い、避難してきた人たちに声をかけ、支援団体が提供する食べ物や飲み物を手渡したり、交通機関の案内をしたりしていました。

フョードロフさんは「私は、最後のマリウポリの住民が避難してくるまでここにいるつもりだ。ここでウクライナの人たちを出迎え、助け、そしてそれぞれが目指す国へと見送る。マリウポリの人たちは最も大事な仲間で、私にとって大きな家族のようなものだ」と話し、支援を続けていく決意を語りました。

ミサイル攻撃 生後3か月の女の子と母親も犠牲に

ウクライナのメディアは、ロシア軍による南部オデーサへのミサイル攻撃で死亡した人のなかに、生後3か月の女の子とその母親が含まれていると伝えています。

犠牲になったと伝えられているのは、バレリア・グロダンさんと生後3か月の娘です。グロダンさんの夫は23日、哺乳瓶をくわえた娘をグロダンさんがほほえみながら抱きかかえている写真などを投稿しました。

写真には、「愛する人たち、安らかに眠ってください。いつも私の心の中にいます」とコメントを添えています。

ウクライナの国営通信「ウクルインフォルム」によりますと、グロダンさんはヘルソン出身で、大学ではジャーナリズムを専攻したあと、民間企業の広報部門などで働いていたということです。グロダンさんが攻撃当時どこにいたのかは明らかになっていませんが、オデーサのトゥルハノフ市長は、SNSに動画を投稿し、「亡くなったひとのなかには生後3か月の子どもも含まれていた。ロシア軍は住宅を軍事施設と呼ぶようだ」と述べ、攻撃を受けたのは民間人が暮らす住宅だったとしてロシア側を非難しました。

“東部ハルキウ 民間施設に攻撃 1人死亡”ウクライナ公共放送

ウクライナの公共放送は動画投稿サイトのユーチューブで現地の状況を国内外に英語で発信していて、23日に新たな動画を公開しました。

このうち東部ハルキウでは22日、民間施設に攻撃があり、住宅地や倉庫などが被害を受け、1人が死亡し6人がけがをしたと伝えています。映像では消防隊員が活動する様子や骨組みがあらわになった建物などが映っています。

また16日、ミコライウの原子力発電所付近に設置された監視カメラに記録された映像として、ロシア軍が発射したとみられるミサイルが上空を飛んでいく様子を伝えています。

原発の近くを黒い飛行体が猛スピードで飛んで行く状況に「脅威が高かった」と指摘しています。

一方、24日の復活祭に合わせて伝統の「イースターブレッド」が、ウクライナ軍の兵士や避難している人に届けられるという話題も伝えていて、女性たちが生地を作ったり、子どもたちが仕上げの飾りつけをしたりして準備を進める様子が紹介されていました。

プーチン大統領 復活祭のミサに参列

ロシアの首都モスクワ中心部にあるロシア正教会の大聖堂では、キリストの復活を祝う24日の復活祭に合わせてミサが執り行われました。

ミサにはプーチン大統領がろうそくを手に参列し、ロシア正教会トップのキリル総主教らがささげる祈りに合わせて大勢の信者とともに十字を切るなどしていました。

南部オデーサでミサイル攻撃 8人死亡

ウクライナの地元メディアは、ロシア軍が23日、南部オデーサの住宅や軍事施設に対してミサイル攻撃を行ったと伝えました。

オデーサのトゥルハノフ市長はこの攻撃で生後3か月の女の子を含む8人の死亡が確認されたとSNS上で明らかにしました。

ロイター通信が配信した映像では高層ビルから煙があがり、救急車や消防車が集まっている様子が確認できます。

夫不在の復活祭「無事に目が覚めるだけで十分」

キリスト教のウクライナ正教会ではことしは24日がキリストの復活を祝う復活祭にあたり、それを前に首都キーウの教会では23日、伝統のケーキや生命の象徴として鮮やかに色づけされたゆで卵を持ち込む人たちの姿が見られました。

しかし、地元の人によりますと、多くの市民が国内外に避難しているため、ことしは教会を訪れる人がかなり少ないということです。

2歳の娘や、夫の両親とともに教会を訪れたアナスタシヤさん(29)は夫が兵士として戦地にいるということで「夫が一緒にいればもっとよい復活祭になったでしょう。今は、毎朝、無事に目が覚めるだけで十分でほかに望むことはありません」と話していました。

また、アナスタシヤさんの夫の父親は「多くの人が亡くなり、さらに犠牲者がどれだけ増えるかもわからず、悲しみを伴う復活祭になっています。勝利を祈り信じています」と話していました。

軍事侵攻から2か月

ロシアがウクライナに軍事侵攻してから24日で2か月となります。

ロシア軍は首都キーウの早期掌握を断念したあと、東部での作戦を強化していて、21日には要衝のマリウポリを掌握したと宣言しました。

ロシア軍は作戦が「第2段階」に入ったとして、大規模な戦闘に向けた部隊の移動を進めていて、ロシア国防省は23日、東部各地をミサイルなどで攻撃したと発表しました。

プーチン大統領は、旧ソビエトが第2次世界大戦でナチス・ドイツに勝利した来月9日の「戦勝記念日」に向け、今回の軍事侵攻の成果をロシア国民に印象づけたい思惑があるとされています。

これに対し、ウクライナ側は欧米からの軍事支援も受けてマリウポリを含む東部や南部で徹底抗戦する構えで、ゼレンスキー大統領は22日「私たちの声を聞き入れ、求めたものを提供してくれたすべてのパートナーに感謝する」と述べ、欧米との結束を強調しました。

ウクライナ側は欧米からの軍事支援も受けて徹底抗戦する構えで、戦闘が長期化する懸念も出ています。

ゼレンスキー大統領「米長官がキーウ訪問する」

ウクライナのゼレンスキー大統領は23日、首都キーウで行われた記者会見でアメリカのブリンケン国務長官とオースティン国防長官が24日にキーウを訪問する予定だと明らかにしました。

ゼレンスキー大統領は両長官と会談するとしたうえで「これはとても重要なことだ。私たちが必要としている武器や供与してもらえる時期について話し合うことになるだろう」と述べ、アメリカによる軍事支援などをめぐって協議が行われるという見通しを示しました。

これについて、アメリカ国務省と国防総省の報道担当者は、NHKの取材に対し「コメントを差し控える」としています。

“子どもの犠牲 少なくとも208人” ウクライナ検察当局

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で犠牲になる子どもが増え続けていて、ウクライナの検察当局は23日の時点で少なくとも208人の子どもが死亡したと発表しました。

また、387人がけがをしたとしています。

死傷した子どもが最も多いのは東部ドネツク州で120人、次いで首都があるキーウ州で113人、東部ハルキウ州で91人、北部チェルニヒウ州で66人などとなっています。

また、爆撃や砲撃による被害を受けた学校などの教育施設は1500にのぼり、このうち102の施設は完全に破壊されたということです。

ゼレンスキー大統領「マリウポリはもうない」

ウクライナのゼレンスキー大統領は23日、ロシアが侵攻する前の東部マリウポリの町並みなどを写したとする8枚の写真をSNSのテレグラムに投稿しました。

そのうえで「美しい都市だったが、そこにはいま被害を受けていない建物はほとんどない。マリウポリはもうないのだ。そして、この写真を撮った人ももういない」とつづっています。

写真を撮った人物について、ウクライナのジャーナリストで作る団体はテレビ局に勤めていたジャーナリストで、先月11日にマリウポリの自宅で爆撃を受け亡くなったとしています。

国境では歩いて避難する人、戻る人

ウクライナと国境を接するポーランドのメディカでは23日、入国手続きを済ませたウクライナの人たちがポーランドに歩いて避難してくる様子が見られました。

その一方でウクライナへ戻る人たちも多くいて、車の列が国境からおよそ6キロにわたって続いていました。

これまでベルギーで暮らしていたというウクライナ人のバシル・ボイコさんは「ウクライナで兵役に就くために戻り、自分の国を守ります」と話していました。

また、ウクライナ中部に残る家族とキリスト教の復活祭を過ごそうと、避難先のワルシャワから娘と2人で戻るルドゥミラ・パブルクさんは「ケーキを焼いてゆで卵に色をつけ、教会に行ってゆっくりしたいです。これまでウクライナの人たちが過ごしてきたように、普通に過ごしたいです」と話していました。

避難してきた人たちが祈り ポーランド

ウクライナ正教会の復活祭を前に、ポーランドの教会ではウクライナから避難してきた人たちが祈りをささげました。

ウクライナ正教会では24日が、キリストの復活を祝う復活祭で、これを前にポーランド南東部のジェシュフにある教会では23日ミサが行われ、ウクライナから避難してきた人たちも大勢教会を訪れました。

このうちオクサーナ・ビルトさんと、母親のマヤ・カニューカさんは2月下旬にリビウからポーランドに避難した親子で、復活祭に欠かせない色つきのゆで卵と「パスハ」と呼ばれるケーキを持参し、聖職者の祝福を受けていました。

オクサーナ・ビルトさんは「ウクライナに平和が訪れるよう祈った。すべてのポーランドの人たちが私たちを助けてくれている。アパートを無償で借り支援も受け、支えられていると感じる。しかし家族と離れ離れで、家からも遠く離れているのでつらい」と話していました。

また母親のマヤ・カニューカさんは「この2か月、私たちは家族がバラバラとなり、悲しみと怒りを経験した。平和になってほしい」と話していました。