社会

観光船の捜索 救助された10人の死亡確認 北海道 知床半島沖

23日、北海道の知床半島の沖合で乗員 乗客26人が乗った観光船が遭難した事故で、これまでに救助されていた男女合わせて10人の死亡が確認されました。海上保安本部が身元の確認を進めるとともに、現場海域の周辺でほかに人がいないか引き続き、捜索にあたっています。
23日、北海道斜里町ウトロを出港し知床半島の沖合を航行していた観光船「KAZU 1(19トン)」から「船首が浸水し、沈みかかっている」と救助要請の通報があり、その後連絡が取れなくなった遭難事故では、子ども2人を含む24人の乗客のほか、斜里町に住む豊田徳幸船長(54)と甲板員の合わせて26人の行方が分からなくなっています。
海上保安庁や災害派遣要請を受けた自衛隊などが斜里町の「カシュニの滝」近くの海域で捜索を続けた結果、24日はこれまでに知床岬の先端付近の海上や岩場などで合わせて10人が相次いで救助されました。

第1管区海上保安本部によりますと、10人は病院に運ばれるなどしましたが、その後いずれも死亡が確認されたということです。

亡くなったのは男性7人女性3人で、いずれも大人とみられるということです。

海上保安本部が身元の確認を進めるとともに、現場海域の周辺でほかに人がいないか、引き続き自衛隊などと合同で捜索にあたっています。

10人発見の場所は重点捜索範囲の北側 船が北に流されたか

海上保安庁によりますと、通報があった北海道斜里町の「カシュニの滝」と呼ばれる場所の近くの海域を中心に捜索を進めていましたが、10人が見つかったのは、北におよそ14キロ離れた知床岬の周辺で、当初重点を置いた捜索の範囲より北寄りだったということです。

付近からは観光船が備えていたとみられる救命道具も見つかっています。知床半島の西側の海域は北向きの潮の流れで、観光船の乗員は「エンジンが止まっていて、自力で航行できない」と話していたということで、海上保安庁は観光船が通報した場所から動けないまま北に流された可能性もあるとみて詳しいいきさつを調べています。

乗客の年齢は10歳未満~70歳代

国土交通省は、観光船の乗客24人について、年齢は10歳未満から70歳代で、居住地は北海道から九州地方までの9つの都道府県であることを明らかにしました。

また、捜索活動については、観光船がすでに沈没している可能性もあるとして、水中音波探知機を使って海底の状況を調べているほか、捜索範囲を知床半島の先端から半径およそ20キロのエリアまで広げているということです。

一方、今回の事故を受けて全国の旅客船の事業者に対して、改めて船の点検や運航の安全を徹底するよう文書で求めたということです。

佐賀 有田町の男性と連絡取れず 同じ町内の男性2人と乗船か

この事故で、乗客のうち1人は佐賀県有田町の78歳の男性とみられ、事故のあと連絡が取れなくなっていることがわかりました。

この男性の長男によりますと、親族が観光船を運営する会社に問い合わせたところ、男性がこの観光船に乗っていたことがわかったということです。

男性は今月20日から町内の友人の男性2人とともに北海道旅行に出かけ、船にも3人で乗っていたと聞いたということです。

この男性の長男はNHKの取材に対し「状況はかなり厳しいと思うが、なんとか生きていてほしい。なぜこんなことになったのか会社に説明してほしい」と話していました。

救助された9人中5人は救命胴衣着用

NHKのヘリコプターで午後0時15分ごろ、知床岬の先端付近の上空から撮影した映像では、岩場に「KAZU 1」と書かれたオレンジと白の浮き輪が打ち上げられているのが確認できます。

また海上保安庁によりますと、午前中に救助された9人のうち、5人については、救命胴衣を着けた状態で見つかったということです。

運航会社は、乗客・乗員の全員が救命胴衣を着けていたと説明しているということで、海上保安庁は、ほかの4人については発見されるまでの間に救命胴衣が脱げるなどした可能性もあるとしています。

斜里町で家族対象の説明会 運航会社の社長が謝罪

事故を受けて行方不明になっている乗客の家族などを対象に会社や国の担当者などが、斜里町で説明会を開きました。

説明会は斜里町内の施設で午後から行われ、観光船の運航会社の社長のほか、斜里町の馬場隆町長、それに国土交通省や海上保安庁の担当者などが出席しました。

説明会のあと、馬場町長は取材に応じ、「きょうは20人余りの家族が出席し、捜索に関する情報が入ってこないことに強く憤っていると言われた。このため今後は、1日3回説明会を開くことにする」と説明しました。

町長によりますと、乗客の多くは道外の関東や関西、それに四国や九州地方から訪れていたということです。

また、説明会で運航会社の社長が家族に謝罪したのに対し、家族からは「しっかり責任を持って対応して欲しい」などと厳しい声が上がっていたということです。

馬場町長は「10人の方が犠牲になり、大変残念なことになってしまったが、まだ見つかっていない人たちが元気なかたちで発見されることを願うしかない」と話していました。

国交省 事故の観光船運航会社への特別監査始める

この事故を受けて斉藤国土交通大臣は、24日午後1時ごろ、北海道斜里町に設けられた現地対策本部を訪れました。そして、事故の調査にあたっている職員に対し、観光船を運営する会社に速やかに特別監査を行うよう指示をしました。そのうえで「遭難した方のご家族の気持ちに十分配慮し、できる限りの支援と情報提供をしてほしい」と訓示しました。

また、斉藤大臣は、現地対策本部で行方不明者の家族と面会し、一刻も早い救助を行うよう要請を受けたということです。

そして24日午後4時、国土交通省の担当者4人が観光船「KAZU 1」を運航する「知床遊覧船」の事務所に入り調査を始めました。

国土交通省によりますと、この会社が運航し、今回事故が起きた観光船は、去年5月には浮遊物にぶつかって乗客3人がけがをする事故を起こしていたほか、去年6月にも座礁事故を起こし、会社は国に改善報告書を提出していたということです。

国土交通省は再び事故が起きた事態を重くみて、法律の基準に基づき運航していたかや船の整備状況は適切だったかなどについて詳しく調べるほか、会社の代表などから聴き取りを行うことにしています。

北海道が災害対策本部会議

24日午前に開かれた道の災害対策本部会議は、鈴木知事のほか捜索にあたっている第1管区海上保安本部や自衛隊の担当者らが出席して行われました。

この中で鈴木知事は「海上保安本部、自衛隊、警察と連携して、安否が不明となっている人の一刻も早い救助活動に全力を挙げて取り組んでいく。救助が必要な人が発見された場合の医療救護活動や、家族が現地にいる際のきめ細かな対応など、人命を最優先として、家族の方々の気持ちに寄り添った支援をしてほしい」と述べました。

また会議では、網走厚生病院からDMAT=災害派遣医療チームが派遣され、斜里町ウトロの救護所で対応にあたる体制がとられていることが説明されました。

さらに、気象台の担当者は現場周辺の海域の海水温は5度以下の状況が数日続くため注意が必要だと報告しました。

鈴木知事 「人命救助を最優先 原因究明の徹底を」

北海道の鈴木知事は、災害対策本部会議のあと記者団に対し、「斉藤国土交通大臣と電話で対応を協議し、私からは、人命救助を最優先で連携して取り組むということを 申し上げるとともに、なぜ、こういった状況になったのか、指導・監督権限を持つ国土交通省として原因究明を徹底して行ってほしいとお願いした」と述べました。

そのうえで、「安否が不明とされる中で、乗客の家族の中には大変な不安を感じながら、現地に入られる方も出てくると思う。道として、そういった皆さんに寄り添った対応をしていきたい」と述べました。

また、鈴木知事は、大型連休を控え「各観光地で、連休に入る前に安全確認を再点検するよう呼びかけていくことが大事だ。安全、安心に北海道に来てもらえるよう、指導・監督権限を持っている国とも連携し、できるだけ早く呼びかけを行っていきたい」と述べました。

町民「無事であってほしい」

観光船に乗っていたとみられる人が発見されたことを受けて、斜里町内の飲食店で働く40代の女性は「ひと事とは思えないような気持ちです。無事であってほしい」と絞り出すような声で話していました。

また、ウトロ港の近くに住む60代の男性は、「見つかってよかったというのも半分あるし、心配しています。町の人もみんなそうだと思います」と話していました。

漁業関係者によりますと、24日午前6時ごろ、斜里町のウトロ港で消防や海上保安庁の関係者、それに漁業者らが話し合い、漁業者に捜索協力の要請がされたということです。
これを受けてウトロ港から次々と船が捜索に向かいました。

船長は去年6月 浅瀬に乗り上げる事故で書類送検

「KAZU 1」は、去年6月、浅瀬に乗り上げる事故を起こしていました。

第1管区海上保安本部によりますと、「KAZU 1」は、去年6月11日、斜里町のウトロ漁港を出港した直後に浅瀬に乗り上げました。

観光船には子ども2人を含む乗客21人と乗員2人のあわせて23人が乗っていましたが、けが人はなく、自力で浅瀬を離れて港に戻ったということです。

この事故では、今回の遭難で行方が分からなくなっている豊田徳幸船長(54)が業務上過失往来危険の疑いで書類送検されていました。

第1管区海上保安本部は当初、42歳の船長と説明していましたが、その後、発表を訂正しました。
※「KAZU1(ワン)」は正しくはローマ数字

家族対象の相談窓口(03-5253-8969)を設置

国土交通省は24日夜、対策本部会議を開きました。この中で斉藤国土交通大臣は、乗客の家族などへの支援について「現地対策本部で安否確認などの情報提供を求める痛切な声を聞いた。関係部局でご要望にしっかりと対応して欲しい」と述べ、24時間体制で支援を行うよう指示しました。

国土交通省では「公共交通事故被害者支援室」に乗客の家族などを対象にした相談窓口を設け、当面、24時間、相談を受け付けます。

▽電話:03-5253-8969
▽Mail:hqt-k-shien@gxb.mlit.go.jp

国土交通省は、25日から渡辺副大臣を現地の対策本部に派遣し、行方が分からなくなっている人の捜索に全力をあげるとともに観光船の運航会社への特別監査を引き続き実施して、安全管理体制に問題がなかったかどうかなどついて詳しく調べることにしています。

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