ロシア マリウポリの掌握宣言 国連事務総長がモスクワ訪問へ

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアは、東部の要衝マリウポリの掌握を宣言し、さらに今後、東部を中心に支配地域の拡大を目指すものと見られます。こうした中、国連はグテーレス事務総長が26日にモスクワを訪問すると発表し、停戦に向けた交渉の進展につながるかが焦点となります。

ロシアは、攻勢を強めていたウクライナ東部のマリウポリをめぐって、プーチン大統領が21日、掌握したと宣言し、国防省のコナシェンコフ報道官も22日「マリウポリの状況は正常に戻った。住民はウクライナ側の砲撃から身を隠すことなく自由に移動できる」と述べ、ロシアの支配下にあると主張しました。

これに対しウクライナ側は、マリウポリの製鉄所にウクライナの部隊がとどまっているとして、抵抗する構えを見せるとともに、残された市民を避難させるよう訴えています。

しかしロシア軍は製鉄所の包囲を続け、22日には市民が避難するための一時的な停戦の条件として、製鉄所にとどまるウクライナ側の部隊の降伏を求めるなど、揺さぶりをかけています。

また、ロシア国防省は22日、東部ドニプロペトロウシク州の鉄道駅付近でウクライナ軍の部隊を巡航ミサイルで攻撃したなどと発表しました。

ロシア軍の中央軍管区の高官は「特別軍事作戦の第2段階が20日に始まったばかりだ。任務の1つは、東部のドンバス地域と南部を完全に掌握することだ。南部クリミアからの回廊を確保でき、ウクライナ経済にも大きな影響を与えるだろう」と述べ、ロシア側は今後、東部のほかの地域に部隊を投入し支配地域の拡大を目指すものと見られます。

こうした中、国際社会からは停戦に向けた働きかけが続いていて、EU=ヨーロッパ連合のミシェル大統領は22日、プーチン大統領と電話で会談し、EU側によりますと、ウクライナのゼレンスキー大統領と直接、対話するよう促しました。

しかし、ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は、首脳間の直接対話は停戦交渉の進展しだいだという考えを改めて強調したほか、ウクライナ側の姿勢には一貫性がなく、双方が受け入れられる解決策を模索する用意がないと批判したということです。

さらに国連は22日、グテーレス事務総長が26日にモスクワを訪問し、ラブロフ外相と会談するほか、プーチン大統領が開くレセプションに出席すると発表しました。

グテーレス事務総長は今月19日、停戦の実現に向けロシアとウクライナを訪れて話し合いたいとして、プーチン大統領とゼレンスキー大統領それぞれに対し、訪問を受け入れるよう要請していました。

モスクワへの訪問でプーチン大統領との会談が実現し、停滞する交渉の打開につながるかが焦点となります。