上海 新規感染は減少傾向 市当局 外出制限など対策継続の姿勢

新型コロナウイルスの感染が拡大している中国の上海では新規感染者の数が減少傾向にありますが、市の当局は外出制限などの対策を継続する姿勢を強調し、感染の抑え込みに向け引き締めを図るねらいがあるとみられます。

中国の上海では21日、新たに1万7629人の感染と11人の死亡が確認されました。

一日当たりの感染者数は5日連続で減少し、上海市当局は感染対策の効果が出ていると強調しています。

こうした中、上海市当局は記者会見を開き、22日から全市民を対象としたPCR検査を再び実施すると発表しました。

直近1週間で感染者が確認された地区では毎日PCR検査を行うほか、2週間以上感染者が確認されていない地区でも抗原検査やPCR検査を行っていくとしています。
さらに各地で行われている厳しい外出制限など「ゼロコロナ」政策についても継続する姿勢を強調し、市民生活への制限が長期化する中、感染拡大の抑え込みに向け引き締めを図るねらいがあるとみられます。

一方で上海市当局は22日の会見で、経済活動への影響を抑えるため優先的に操業再開を認めた自動車や半導体関連などの企業666社のうちおよそ7割が業務を再開していると明らかにしました。

ただ現地に進出した日系企業など大部分は店頭での営業や操業再開などの見通しが立っておらず影響が広がっています。

「中国日本商会」が対応の改善要望

上海に進出している日系企業は工場の操業再開などの見通しが立たない中、影響がさらに長期化しないよう中国側に対応の改善を求めています。

このうち中国に進出している日系企業でつくる「中国日本商会」は欧米や韓国の経済団体の代表とともに今月18日、北京で中国の王文涛商務相と面会しました。

この中で「中国日本商会」の御子神大介会長は「上海では日系企業の工場がすべて生産を停止している。上海での生産停止は中国国内だけでなく世界のサプライチェーンに大きな影響を広げつつある」と指摘したうえで、中国側に支援を要請しました。

これに対し王商務相は課題に留意しているとして改善を図る姿勢を示した一方で「北京大学の研究ではゼロコロナ政策を緩めれば1年後に200万人の死者が出るという予測もある」と述べ、政策を堅持する姿勢を強調したということです。