北朝鮮キム総書記 韓国ムン大統領と親書交換 揺さぶりの思惑か

北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記は、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領と親書を交換し、互いが努力すれば南北関係は改善されるという見解で一致したということです。北朝鮮としては、5年ぶりに保守政権を率いることになるユン・ソギョル(尹錫悦)次期大統領が来月就任するのを前に、硬軟織り交ぜた対応を見せることで揺さぶりをかける思惑がありそうです。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は22日、キム・ジョンウン総書記が、来月退任する韓国のムン・ジェイン大統領から送られた親書に返答する形で、21日親書を送ったと伝えました。

この中でキム総書記は「民族の大義のために心をくだいたムン大統領の苦悩と苦労を高く評価した」としていて、ムン大統領からは退任後にも引き続き協力していく考えが示されたということです。

そのうえで「互いが希望を抱き努力していけば、民族の願いと期待にそって関係は改善し、発展するという見解で一致した」としています。

一方で北朝鮮は、朝鮮半島の有事を想定して今月18日から韓国で行われているアメリカ軍と韓国軍による合同軍事演習を連日、強く非難しています。

北朝鮮としては5年ぶりに保守政権を率いることになるユン・ソギョル次期大統領が来月就任するのを前に、硬軟織り交ぜた対応を見せることで韓国側に揺さぶりをかける思惑があるとみられます。

ムン大統領「対話で対決の時代を越えて」

韓国のムン・ジェイン大統領が北朝鮮のキム・ジョンウン総書記と親書を交換したことを、韓国大統領府も22日午前、明らかにしました。

大統領府によりますと、ムン大統領は来月の退任を前に、最後のあいさつとして親書を送ったということで、この中でキム総書記に対し「共に手を握り、朝鮮半島の運命を変える確実な一歩を踏み出した」と伝えたということです。

その一方で、南北間の対話が希望したところまではいかなかったことは残念だとしたうえで「対話で対決の時代を越えていかなければならない」と強調し、キム総書記が次のユン・ソギョル政権と協力することや、アメリカとの対話の再開に期待を示したということです。

親書に関連し韓国大統領府の関係者は、北朝鮮が弾道ミサイルなどの発射を繰り返し7回目の核実験の可能性も指摘されていることを受けて、ムン大統領から具体的な要請をしたのかと記者から問われたのに対し「私たちは任期を終えるので、対決よりも対話を強調したことばを伝えた」と説明しました。

官房長官「引き続き状況を注視」

松野官房長官は午後の記者会見で「南北関係をめぐる動きの1つ1つにコメントは差し控えたいが、わが国は南北関係を含め北朝鮮をめぐる動向に重大な関心を持って平素から情報収集や分析に努めていて、引き続き状況を注視していく。また対北朝鮮政策を進めていくに当たり引き続き日米や日米韓で緊密に連携していく」と述べました。