【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(21日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる21日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

バイデン大統領 ウクライナへ8億ドルの追加軍事支援発表

アメリカのバイデン大統領は21日、ホワイトハウスで演説しウクライナを支援するため砲撃のための兵器や無人機など8億ドル、日本円にしておよそ1000億円の追加の軍事支援を行うと発表しました。

バイデン大統領は今月13日にも8億ドルの追加の軍事支援を発表しています。

また、バイデン大統領はワシントンを訪れているウクライナのシュミハリ首相と意見交換したことも明らかにしました。

ウクライナから国外に避難 508万人余りに

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、20日の時点で508万人余りとなっています。

主な避難先は、
▽ポーランドがおよそ284万人、
▽ルーマニアがおよそ76万人、
▽ハンガリーがおよそ47万人、
▽モルドバがおよそ42万人などとなっています。

また、▽ロシアに避難した人は、およそ56万人となっています。

ウクライナ大統領府顧問「攻撃中止命令は製鉄所を奪えないから」

ロシアのプーチン大統領がマリウポリを掌握したなどと主張したことについてウクライナ大統領府の顧問のアレストビッチ氏は21日、動画で「プーチンがアゾフスターリ製鉄所への攻撃の中止を命じたのは、物理的に製鉄所を奪えないからだ。ロシア側は大打撃を被った。ウクライナの部隊は、製鉄所の防衛を続けている」と述べ、ロシア軍が製鉄所を掌握するのは難しいと強調しました。

マリウポリ市長顧問「ありもしない勝利報告したいプーチン」

ロシアのプーチン大統領がマリウポリを掌握したなどと主張したことについてマリウポリ市長の顧問は21日、SNSで、「プーチンのことばを信じると、攻撃は終わらないというのではなく、完全な包囲だ。アゾフスターリにいる兵士と市民の状況は何も変わらない」と訴えました。

そのうえで「破壊された場所を背景に、ありもしない勝利をなんとかして報告したいというプーチンの希望があるだけだ」とコメントしました。

プーチン大統領 “マリウポリ掌握” 製鉄所への攻撃中止を命令

ロシア大統領府は21日、プーチン大統領が、ショイグ国防相からウクライナ東部の要衝マリウポリを掌握したという報告を受けたと発表しました。

ロシアのプーチン大統領は「マリウポリを解放するための戦闘は完了し、成功した」と述べ、ウクライナ東部の要衝マリウポリを掌握したと主張しました。

一方、ウクライナ側の部隊が拠点とする市内の製鉄所については「これ以上の攻撃は適切とは思えない」と述べ、攻撃を中止し、製鉄所がある一帯の包囲は継続するよう命令しました。

そのうえで「ハエが飛ばないよう、製鉄所がある一帯を封鎖するように」と述べ、ウクライナ軍の部隊が残っている製鉄所がある工業団地一帯の包囲は継続するよう指示しました。

ウクライナ副首相「人道回廊を一刻も早く設置を」

ウクライナのベレシチュク副首相は21日、SNSにマリウポリの製鉄所をめぐり「ロシア側に対してアゾフスターリ製鉄所からの人道回廊を一刻も早く設置するよう求める。製鉄所にはおよそ1000人の民間人と500人のけがをした兵士がいて、彼らは全員きょう、製鉄所から出る必要がある」と投稿しました。

モスクワの食料品店 買い物客から不安の声

ウクライナへの軍事侵攻を受けてロシアに対して欧米などから厳しい経済制裁が科されるなか、ロシア国内の食料品店では、買い物に訪れた客から今後への不安の声が聞かれました。

ロシアの首都モスクワにある大型チェーンのスーパーの担当者、ジャンナ・ガーリナ氏は、「一時期、買い占めの騒ぎはありましたが解決しました。今では、商品が豊富にそろっています」と話していました。

一方、買い物客からは、物価の上昇に対する不安の声が聞かれ、年金生活者の女性は、「値上がりを感じます。野菜ひとつとってもこれからは目に見えて深刻になるでしょう」と話していました。

また、7人の子どもを育てているという女性は、「以前は、100ルーブルだったものがいまは150ルーブル以上に値上がりしています。毎日その日暮らしで、きょうはお金がありますが、あすは分かりません」と話し、政府から支給される子育ての支援金なども使ってやりくりしているものの生活費は不足していると今後の生活への不安を訴えていました。

ウクライナから避難の女の子 日本語を学ぶ

横浜市では市内に住む親戚を頼って、先月、ウクライナから避難してきた6歳の女の子が日本語を学び始めています。

横浜市によりますと、これまでにウクライナから市内に避難してきた人は22人いて、このうち3人が市内の小・中学校に通っているということです。

6歳のムリャフカ・ミロスラヴァさんは先月、ウクライナ首都キーウから南東におよそ300キロ離れたクレメンチュクから、母親と2歳の妹と一緒に横浜市の親戚を頼って避難しました。

市内の小学校に入学しましたが、日本語がわからないため、先週から横浜市中区にある、外国から来た児童や生徒が日本語を学ぶ施設へ通い始めました。

ほかの児童と一緒に五十音や物の名前を覚えたり、自分の名前をひらがなで書いたりしていて、この施設に来月まで合わせて7日間通う予定です。

ウクライナから避難の研究者 東京大学で研究始める

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、東京大学は研究を続けるのが難しくなったウクライナの人たちを受け入れることになり、21日、最初の1人が研究を始めました。

東京大学の研究員として、21日から研究を始めたのは、ウクライナの首都キーウにあるキーウ国立言語大学の研究者、イリーナ・ペトリチェンコさんです。

ペトリチェンコさんはロシアによる侵攻を受けてウクライナを離れ、先月21日から日本に避難していましたが、東京大学がウクライナの学生や研究者を受け入れることを知人から聞いて応募したということです。

ペトリチェンコさんは日本への留学経験があるため日本語を話すことができ、「受け入れてくださりありがとうございます。戦争で人生が狂いましたが、温かい真心をかけてくれた東京大学に深く感謝しています」と話していました。

ウクライナから埼玉に避難の女性 新型コロナのワクチン接種

ウクライナから埼玉県越谷市に避難してきた女性がウクライナ国内で新型コロナのワクチンを接種できなかったことから、21日、越谷市内で接種を受けました。

越谷市に避難しているのは、ブリトキナ・ナタリアさん(50)です。

ブリトキナさんは、ウクライナ南部に住んでいましたが、戦火を逃れるため、隣国のポーランドに移ったあと今月9日に来日し、越谷市に住む娘のもとに身を寄せています。

新型コロナウイルスのワクチンの接種を希望していたことから、21日、娘の夫に付き添われて越谷市内にある接種会場を訪れ、問診を受けたあと接種を受けました。

ブリトキナさんは、ワクチンの接種が可能になった時期がロシアによる軍事侵攻と重なったため、ウクライナ国内で接種できなかったということです。

ブリトキナさんは「ウクライナではガスや電気が使えないなど戦争の与える悪い影響が広がっています。今回、このような機会を与えていただいて、大変安心しています」とコメントしています。

鈴木財務相 G20の場で「ロシアの侵略 最も強いことばで非難」

ワシントンで開かれていたG20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議などのあと、鈴木財務大臣が記者会見し、G20の場でロシアによる軍事侵攻について「国際秩序の根幹を揺るがす行為で、明白な国際法違反だ。国際協力にあたって平和の維持は不可欠であり、これに反するロシアの行為は断じて容認できず、最も強いことばで非難した」ことを明らかにしました。

G20での議論については「ウクライナへの侵略については基本的には同じ考えだった。G20が機能を失ってしまうとかバラバラになってしまうとは会議を通じて感じなかった」と述べました。

また、G20でロシアの代表が発言する際、複数の国の代表が席を立ったと明らかにしていることに関連して、鈴木大臣も退席したのかを問われたのに対して退席はしなかったことを明らかにしました。

そのうえで「会議の場において、現下の情勢でロシアがG20に参加すべきでないという考えをはじめとして、ロシアを厳しく批判した」と説明しました。

政府 救援物資の輸送計画見直し 経由地インドの同意得られず

ウクライナ情勢をめぐり、政府は、避難民を受け入れている周辺国に、今月下旬から自衛隊機で毛布などの救援物資を輸送する計画でした。しかし、物資を積み込むための経由地のインドから同意が得られなかったため、計画を見直すことになりました。

政府の担当者は「事前の事務レベルの調整段階では、インドから同意が得られていたが、昨夜になって『受け入れられない』と伝えられた」と説明しています。政府は、経由地を再検討するなど、計画を見直すことにしています。

ゼレンスキー大統領「東部と南部 依然として厳しい状態」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、20日、公開した動画で激しい戦闘が続いている東部と南部の戦況について、「依然として厳しい状態が続いている。ロシア側が新たな大規模攻撃で彼らにとってのいくばくかの勝利をつかもうとすることを諦めていない」としました。

そのうえで、マリウポリやハルキウ、それにミコライウなど東部や南部の複数の地名を挙げつつ、各地で前線に立つ人々に感謝しました。

また、武器の補充のため、一丸となって尽力しているとしたうえで、「各国は、私たちがいままさに、何を必要としているかを以前と比べ、よく認識しつつある」と述べ、ロシア側からの攻撃がいっそう激しくなると見られる中、ただちに、さらなる支援を実施してほしいと各国に求めました。

米高官「東部でロシア軍が戦力増強の動き」

アメリカ国防総省の高官は20日、ロシア軍がウクライナ東部で攻撃を強めながら、引き続き追加の部隊をこの地域に投入するなど、戦力を増強する動きがみられると指摘しました。

この高官によりますと、ロシア軍の部隊が東部ハルキウ州のイジュームからさらに南下して東部ドネツク州のクラマトルスクなどに向けて移動しているのが確認できるとしています。

ウクライナ軍の東部の拠点となっているクラマトルスクは交通の要衝となる鉄道の駅があり、今月8日には多くの市民が避難のために駅に集まる中、ミサイル攻撃が行われ市民に犠牲者が出ました。

またロシア軍はイジュームの周辺や東部の要衝マリウポリなど、ウクライナ東部と南部の地域に爆撃機などを投入して集中的な空爆を行っているとしています。

ロシア 物価上昇続く“17%から20%の上昇率になる可能性”

各国から厳しい経済制裁を科されているロシアの国内では物価の上昇が続いていて、ことしに入ってからの上昇率が11%を超えました。ジャガイモが1.05%バターが0.91%、小麦が0.72%など、暮らしにかかせない食品がさらに値上がりしています。

ロシア国内の物価上昇のスピードは、一時、大きく値下がりした通貨ルーブルが軍事侵攻前の水準に値を戻していることを背景に、徐々に鈍化しています。

ただ、ロシアの会計検査院のクドリン長官は「ことしの物価上昇率が17%から20%の範囲になる可能性がある」という見解を示していて、市民生活や経済活動への影響が続く見通しです。

米国務長官 ロシアに追加制裁発表 40超の個人や団体の資産凍結

アメリカのブリンケン国務長官は20日、軍事侵攻を続けるロシアに対する追加制裁について声明を出し、ロシアの銀行や「オリガルヒ」と呼ばれる富豪に関係する合わせて40以上の個人や団体の資産を凍結したと発表しました。

このうち、ロシアの民間銀行「トランスキャピタルバンク」は制裁対象となった顧客に対し、制裁による取引の制限を回避するため、国際的な決済ネットワーク「SWIFT」に代わるインターネット上の独自の取引システムなどを提供したとされています。

ブリンケン長官は声明の中で、引き続き、制裁回避を阻止していく姿勢を強調したうえで「われわれは国際的なパートナーと緊密に連携しながら、制裁によってロシアの軍事侵攻を続ける力を弱体化させていく」としています。

ウクライナ大統領府顧問「製鉄所に地下貫通弾による攻撃」

ウクライナのポドリャク大統領府顧問は、自身のツイッタ-に「ロシアがアゾフスターリ製鉄所に対して強力な地下貫通弾による攻撃を続けている」と投稿しました。

地下貫通弾は「バンカーバスター」とも呼ばれ、厚いコンクリートなどを突き破ったあとで爆発を起こし、地下施設などを破壊する、特殊な爆弾です。

そのうえで「世界は子どもたちが殺されるのを見ながら、沈黙を保っている。指導者たちは避難ルートを設けることで、これを止めることができる」として、製鉄所内に残る民間人の避難の実施を訴えました。

さらに、ポドリャク大統領府顧問は、東部の要衝マリウポリの状況について、20日、ツイッターに投稿し「マリウポリで交渉のための特別な会合を無条件で直ちに行う用意がある。アゾフ大隊や兵士、民間人、子どもたち、生存者、けが人、全員を救うためだ」として、ロシア側と交渉する用意があることを明らかにしました。

G20閉幕 ロシア代表の発言時 米英などが席を立つ異例の展開

ロシアによる軍事侵攻以降、G20としては初めての閣僚級の会合となった財務相・中央銀行総裁会議は、ワシントンで日本時間の20日夜開幕し、5時間余りにわたって討議を行い、21日朝、閉幕しました。

会議では、ウクライナ情勢が世界経済に与える影響が議論され、多くの参加国は軍事侵攻がもたらす人道危機と世界経済に及ぼす影響を懸念し、侵攻を今すぐやめるよう求めたということです。

これに対し、オンラインで出席したロシアのシルアノフ財務相は「ロシアに対する制裁がすでに生じていたインフレ圧力を強めているだけでなく、経済の新たなリスクになっている」などと述べ、欧米などによる経済制裁を批判しました。

会議に出席したイギリスのスナク財務相は、ツイッターへの投稿で、ロシアの代表が発言する際、アメリカやイギリスなど、複数の国の代表が席を立ったことを明らかにし、異例の展開となりました。

また、議論の成果をまとめる共同声明も採択されず、対立の構図が鮮明になりました。

インドネシアのスリ・ムルヤニ財務相は、閉幕後の記者会見で「軍事侵攻が世界経済の回復をより複雑にしており、感染症への対応や気候変動などへの努力を阻害しているという見方は参加国の間で共有された」と述べました。

米国防総省 ウクライナ軍事支援「航空機は受け取っておらず」

ウクライナへの軍事支援をめぐり、アメリカ国防総省のカービー報道官は19日、記者会見で「ウクライナが追加の航空機と航空機の部品を受け取った」と述べ、航空機の供与が行われたとの認識を示していました。

これについてカービー報道官は20日、記者団に対し「ウクライナは他国から航空機そのものは受け取っていなかった」と述べて、先の発言を訂正しました。カービー報道官は、他国から航空機を供与するとの申し出があり、実際に行われたと考えていたものの、まだ実現しておらず、間違いだったと説明しました。

一方、航空機の部品はウクライナ側に供与されたとしたうえで、これによって運用可能な戦闘機を増やすことができたと説明しました。

ゼレンスキー大統領 停戦交渉の草案 “聞いても見てもいない”

ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、キーウを訪れたEU=ヨーロッパ連合のミシェル大統領と会談しました。

会談後、記者会見したゼレンスキー大統領は、EUがすでに表明した15億ユーロ、日本円で2000億円余りの軍事支援に感謝の意を示したうえで「ウクライナが必要としている兵器を手に入れるために使うことで合意した。手遅れにならないうちにこれらの兵器が必要だ」と述べました。

また、ロシア軍が攻勢を強める東部マリウポリをめぐって、状況を打開するには、ウクライナ側が十分な兵器を得るか、外交を通じての2つの方法があるとしたうえで「今のところ、われわれには十分な兵器がない。また、ロシアは平和的に解決する用意ができていない」と述べ、打開の見通しが立っていないとの認識を示しました。

そして、ロシア大統領府の報道官が停戦交渉をめぐる草案をウクライナ側に提示したと述べたことについては「そのようなものは聞いていないし、見てもいない。彼らからは何も渡されていないと確信している」と述べました。

国連事務総長 “停戦へロシアとウクライナ訪れ話し合いたい”

ウクライナ情勢をめぐり、国連のグテーレス事務総長は、停戦の実現に向けてロシアとウクライナを訪れて話し合いたいとして、プーチン大統領とゼレンスキー大統領それぞれに対し、訪問を受け入れるよう要請しました。

国連のデュジャリック報道官によりますと、グテーレス事務総長は19日、ニューヨークにあるロシアとウクライナの国連代表部に書簡を送り、双方に対し「ウクライナに平和をもたらすための緊急の措置と、国連憲章や国際法に基づく多国間主義の未来について議論したい」と伝えたということです。

ロシアがウクライナに軍事侵攻して以降、グテーレス事務総長は、停戦の実現に向けて仲介の役割を果たす考えを繰り返し強調していて、19日には、正教会の復活祭に合わせて21日から4日間の人道的な停戦を呼びかけました。

ウクライナ副首相 “人道回廊 きょう計画どおりに機能せず”

ウクライナのベレシチュク副首相は20日、戦闘が続くマリウポリからの避難について「残念ながらマリウポリからの人道回廊はきょう計画していたとおりには機能しなかった」とSNSに投稿しました。

マリウポリのボイチェンコ市長は、地元メディアに対し、20日におよそ6000人の市民を90台のバスを使って避難させる計画だと明らかにしていました。

ベレシチュク副首相は「占領者たちが停戦を守らず、われわれがバスや救急車を待機させている地点まで人々を輸送できなかった」とロシア軍を非難したうえで、翌日、改めて取り組む考えを示しました。

ポーランド 400人以上が避難している都市では

ウクライナから最も多くの人たちが避難している隣国ポーランドでは、避難の長期化に伴う今後の生活への不安や、国内に残る家族の安全を心配する声が多く聞かれました。

このうち、南部の都市、カトヴィツェでは、大学の寮に避難所が設置され、20日の時点でウクライナから400人以上が避難しています。避難してきた人たちは、家族や知人などと同じ部屋で寝泊まりしていて、建物の入口で食料などを受け取っていました。

近所の人とともに東部ハルキウから避難した52歳の女性は「ポーランド語を話せないのと、何も仕事が見つからないので困っています。できるだけ早くこの戦争が終わってくれることを願っています」と話していました。8歳の息子と姉とともにハルキウから避難した30歳の女性は「ポーランドの人が親切にしてくれて、とても感謝しています。ただ、夫がまだハルキウに残りボランティア活動をしていて、いつか殺されてしまうのではないかと心配でなりません」と話していました。

ロシアのドル建て国債 ルーブル払いは“債務不履行”

ロシア政府は、アメリカやヨーロッパが外貨準備の凍結といった厳しい経済制裁を科す中で、今月4日に期限を迎えたドル建て国債の利払いや償還をルーブルで実施したと発表しています。
これについて、世界の主要な金融機関の代表などでつくる「クレジットデリバティブ決定委員会」は、20日、潜在的なデフォルト=債務不履行にあたると判断しました。
今回の国債の利払いなどには30日間の猶予期間があり、それまでにドルによる支払いがなければ、デフォルトと判断されるとみられています。

ロシアなどへの制裁強化との回答は4割 外務省実施の世論調査

外務省が日本国内で行った世論調査で、ウクライナ情勢をめぐり、日本が特に力を入れるべき措置を複数回答で聞いたところ、G7=主要7か国をはじめとする国際社会との連携強化と答えた人がおよそ65%となった一方、ロシアなどへの制裁強化と答えたのはおよそ42%でした。

調査は、3月17日から22日にかけて電話で行われ、全国の18歳以上の男女1000人から回答を得ました。それによりますと、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について日本が特に力を入れるべき措置を複数回答で聞いたところ、「G7をはじめとする国際社会との連携強化」が64.6%、「避難民の受け入れの推進」が63.7%などとなった一方、「ロシアとベラルーシへの制裁措置の強化」と答えたのは41.6%でした。

ロシア 大陸間弾道ミサイル「サルマト」の発射実験に成功

ロシア国防省は20日、新型の大陸間弾道ミサイル「サルマト」の発射実験を行い、成功したと発表しました。

モスクワのクレムリンで発射実験の映像とともにオンラインで報告を受けたプーチン大統領は「現代のあらゆるミサイル防衛を突破することができる。ロシアの安全保障を強化し、わが国を脅かそうとする人々に再考を促すだろう」と述べて軍事力を誇示し、対立を深める欧米を強くけん制しました。

国連人権高等弁務官事務所 “少なくとも2224人の市民が死亡”

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から4月19日までに、ウクライナで少なくとも2224人の市民が死亡したと発表しました。このうち173人は子どもだとしています。

地域別でみると、
▼キーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで1399人、
▼東部のドネツク州とルハンシク州で825人の
死亡が確認されているということです。

また、けがをした市民は2897人に上るとしています。

しかし、ロシア軍による激しい攻撃が続いている東部のマリウポリなどでの死傷者の数について、国連人権高等弁務官事務所は、集計が遅れていたり、確認がまだ取れていなかったりして、今回の統計には含まれていないとしていて、実際の死傷者の数はこれを大きく上回るとの見方を示しています。

イジュームの副市長「人々は川の水を生活用水として利用」

ウクライナ東部のドンバス地域の北側にあり、重要な戦略拠点とされるハルキウ州イジュームのマツォーキン副市長がNHKの取材に応じました。

マツォーキン副市長は「イジュームはロシア軍によって占領された。われわれは常に攻撃されていた。市内中心部の80%は破壊されたほか、収容できない遺体が2週間にわたって放置されたままだった。複数の病院が攻撃され、どれくらいの人々が亡くなったか把握できていない」と述べました。
そして「5万人いた住民の中にはすでに避難した人もいるが、今も1万3000人から1万5000人が取り残されている。1か月半以上、電気、水道、ガス、通信などが寸断されていて、人々は、川の水を生活用水として利用している」と現地の状況を語りました。